夢幻水滸伝
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第四十九話 軍師の傾きその六
「巨人達が残した金塊ですが」
「ああ、そのことかいな」
「協力して頂いたので」
それでというのだ。
「全てお収め下さい」
「そやからそういうのはええって言うたやろ」
芥川はここでも笑って答えた。
「そういうのはいらんってな」
「そうですか」
「自分等のものにせえ、あれだけの巨人が出たんや被害は出てる筈や」
素早く全て倒したがというのだ。
「そやからな」
「こちらで、ですか」
「手に入れて使うんや」
そうしろというのだった。
「ええな」
「そうですか、では」
「そうせい、ほなまたな」
芥川は結局何も受け取らず兵を岐阜の西まで撤収させた、滝沢はその後姿を見送った。だが彼等が去ってからだった。
彼は真剣な顔でだ、自身の傍らにいた正宗に問うた。
「どう思う」
「はい、器ですね」
正宗は滝沢に顔を向けて答えた。
「あの方々は」
「正宗もそう思うか」
「先輩もですね」
「ああ」
その通りだとだ、正宗に答えた滝沢だった。
「今回のことで心からな」
「左様ですね、まずは復興にあたりますが」
「被害は出た筈だ」
芥川の言う通りにだ、朝になり明るくなってそれから確かめることだがあれだけの巨人達が出て被害が全くなかったとは思えないからだ。
「だからだ」
「巨人達を倒して手に入れた金で」
「復興にあたろう」
「そうしますね」
「それでだが」
さらに話す滝沢だった。
「このことはな」
「棟梁、室生さんにもですね」
「お話すべきだな」
「お話しなくてはならないです」
絶対にとだ、正宗は滝沢に答えた。
「では」
「復興は官吏達に命じてだ」
「そのうえで、ですね」
「棟梁達にお話しよう」
「わかりました」
「すぐに名古屋城に行くか」
「命を伝えた後で」
官吏達に復興のだ、彼等はまずは朝になり岐阜の被害の状況をその目で確かめ官吏達に的確な指示を出し巨人達を倒して手に入れた金を残してそのうえで名古屋城に術で向かった。すると名古屋城には。
室生と鈴子もいた、そうして彼等も坂口に話したのだった。
「それで岐阜でもだがや」
「はい、関西の軍勢が来てくれました」
「星の方々も」
二人は坂口に話した、当然軍師の雅もいる。
「そうしてです」
「岐阜の街と民達を助けてくれました」
「しかも何も受け取らず要求されず」
「終わると関西の領内に帰られました」
「名古屋でもそうだったがや」
「加賀でもだ」
坂口だけでなく室生も答えた。
「そうした、彼等はな」
「お陰で助かっただがや」
「そうですか、名古屋や加賀でもですか」
「そうだがや」
坂口は滝沢に答えた。
「それで助かっただがや、しかし」
「今回で、ですね」
「わかったがや」
坂口はそのわかったことを述べた。
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