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リング

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140部分:ヴァルハラの玉座その二十一


ヴァルハラの玉座その二十一

「今の戦乱の全ての原因があの男にあると言ってもいい」
「はい」
「あの男を討てば。それで戦いは大きく変わる。終わらないまでもな」
「ではニーベルングの旗艦を目指して」
「そうだ。今回の作戦の攻撃目標はまずは敵艦隊を殲滅する」
「はっ」
「そしてあの男の旗艦を発見したならば乗り込んででも討つ。よいな」
「わかりました。それでは」
「全軍補給が整い次第ラインゴールドへ向かう」
 作戦が指示される。
「そしてそこで敵艦隊を討つ。よいな」
「了解」
 ジークフリートの艦隊は彼の言葉通り補給を終えるとその軍をラインゴールドに進めた。すると早速帝国軍がやって来たのであった。
「早いな」
「敵も必死ということなのでしょう」
「このラインゴールドは渡すわけにはいかないというのか」
「おそらくは」
「オフターディンゲン公爵の軍もこちらに来ています」
 ここで報告が入った。
「彼の軍もか」
「はい。そしてこちらに向かって来ております」
「帝国と戦うという意味において我々は同じか」
「ですが彼等は若しかすると我々を」
「今はそれを考えるな」
 ジークフリートはその危惧を捨てさせた。
「よいか」
「はっ」
「オフターディンゲン公爵の軍が攻撃を仕掛けて来たならばすぐに戦場を離脱する」
「はい」
「そして態勢を立て直し彼と戦端を開く。だが彼が攻撃して来なかったならば」
「その時は」
「共闘する。よいな」
「わかりました。それでは」
「このまま帝国軍に対して攻撃を仕掛けるぞ」
「敵は我等を鶴翼の陣で覆おうとしております」
「鶴翼か」
「そうです。しかも上下からも。広く薄くです」
「成程な」
 ジークフリートはその報告を聞いて不敵に笑った。
「ではこちらにも考えがある」
「一体何を」
「こちらは守れ」
「守るのですか」
「そうだ。上下左右に全砲門を向けよ」
 彼は命令を出す。
「それで覆おうとする敵軍を叩く。いいな」
「包囲されるというのですか」
「一旦はだ」
 ただし彼はそのまま敗れるつもりはなかった。そこが違うのである。
「まずは思いきり引き付ける」
「そして」
「敵が攻撃を仕掛けるその瞬間に一撃を浴びせる。それからまた指示を下す」
「了解しました」
「いいか、決して焦るなよ」
 彼は艦橋で仁王立ちになり腕を組んでいた。その態勢で部下達に対して言う。
「僅かでも速ければそれで作戦が崩れる」
「はい」
 ワルキューレの全艦に緊張が漂う。
「今ここが正念場だ」
「辛いですね、何か」
「そうか?私は面白いが」
 見れば彼は笑っていた。腕を組み楽しげな笑みさえ浮かべていたのである。
「これが戦いなのだからな」
「これが」
「ギリギリのところで戦うのがな」
 彼は言う。
「この上なく楽しいのだ。さあ、そろそろだぞ」
 敵軍はもうそこまで来ていた。ジークフリートはモニターでそれを見据えていた。
「全軍攻撃用意」
 彼はここで指示を出した。
 
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