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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第五幕その十二

「言うまでもないね」
「というか皇室の方がそのまま仏教も信じられているからね」
「今は神道の方が強いけれど」
「歴史的にはそうだしね」
「これで民族と宗教があるね」
「そうして文明も」
「日本は一つの文明という考えもあるし」
 アジアの中にある中国、インド、アラブと並ぶ文明だというのです。他にも北米と中南米、西欧、東欧、そして王子のお国もあるアフリカとなるのでしょうか。
「ハンチントンという人の考えだけれど」
「そして文明だから」
「日本の天皇はね」
「皇帝なんだね」
「王は文明の上には立たないね」
「うん、僕の父上もね」
 今の王様もとです。
「一つの民族でね」
「そして宗教もだね」
「基本一つだよ、勿論他の民族や宗教も国の中にあってね」
「差別はしない様にしていても」
「それでもね」
 あくまで基本はというのです。
「一つの民族、宗教の上にあって」
「文明の上にはだね」
「ないよ、そう思うとね」
「王であってだね」
「僕の家はね、皇帝じゃないよ」
 そこは全然違うというのです。
「本当にね」
「そしてその格をだね」
「僕はよくわかっているつもりだよ」
 王子自身もというのです。
「その違いは意識しているよ」
「いつもだね」
「格が違うと思っていないというとね」 
 それはといいますと。
「やっぱり違うよ」
「意識しているね」
「うん、そしてその王と皇帝の違いよりもずっとね」
「君主、国家元首としてだね」
「もうね」
 それこそというのです。
「昭和帝、そして明治帝とはね」
「格が違うとだね」
「今上陛下もだよ」
 この方もというのです。
「皇太子殿下ともね」
「同じ位を継承する立場として」
「あの方々みたいにはね」
 とてもと言う王子でした。
「なれないよ」
「そう思っているんだね、王子は」
「本当にね、けれどね」
「なれないと思っていても」
「それは今の時点でだからね」
 この辺りとても前向きな王子です。
「今は無理でもね」
「努力すればね」
「僕もきっと昭和帝みたいになれるよ」
 この方の様にというのです。
「あれだけの方にね」
「そう思うならね」
「努力だね」
「勉強をしていくことだよ」
「君主としての在り方を」
「そしてそのうちのお一人にね」
「吉宗さんもいるよ」
 王子は先生に微笑んで答えました。
「この将軍様もね」
「それは何よりだよ」
「何か悪い奴を自ら成敗しているイメージが強いけれど」
「それは時代劇だからね」
「あくまでだね」
「実際の吉宗さんは違うよ」
 先生は王子にこのこともお話しました。 
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