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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  230 3月1日


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

あっという間に二ヶ月の時が過ぎ、ホグワーツにもクリスマスが目前にまでやって来ていた。

二ヶ月前にあった二回目のダンブルドア校長からの〝個人授業〟の内容をアニーに()いてみれば、その概要はダンブルドア校長が孤児院にトム・リドルを迎えに行くと云うもので、俺の〝知識〟にもある内容だった。

そしてその二ヶ月の間にはクィディッチのスリザリン戦もあって、マルフォイ出場していなかったのが気になったが──ケイティの痒いところに届くような采配で快勝。ネックレスを手ずから〝消失〟させた甲斐があったと云うものだ。

現時点でダンブルドア校長は〝お辞儀さん〟の討滅に〝自身の死〟すらも考慮していると見ていい。……故に、ダンブルドア校長に〝姿をくらますキャビネット棚〟についてリークしてもマルフォイを悪い様にはしないだろう。

(その内、マルフォイについてもダンブルドア校長と話を詰めとかないとな…)

そんな事をつらつらと考えながら、ロミルダ・ベインやラベンダー・ブラウン等からこれ見よがし送られてくる秋波を無視しつつ、アニーとハーマイオニーを盾にする様に図書館へ向かう。

その逃走──もとい、戦略的撤退の道中。俺のヘタレた態度に辟易したのか近くに居たハーマイオニーが溜め息を一つ()き、「ロン、貴方なら判っていると思うけど」と前置きしてから忠告してくれる。

「……あの二人、貴方に〝愛の妙薬〟でも盛るつもりよ。スラグホーン主宰のクリスマス・パーティーに誘われたいのよ。女子トイレでそんな風に話しているのを聞いたわ。……まぁ、そんな娘はもっといるでしょうけど」

「そう言えばそんな事もあったっけか。……確かにロンは〝顔良し〟〝性格良し〟〝高身長〟〝高所得〟〝決闘強し〟〝クィディッチ強し〟と──パッと見、非の打ちどころが無いからね。多分【ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ】の〝ふくろう通信販売サービス〟で取り寄せたんでしょ」

「それ、どこの完璧超人だよ…」

アニーの言葉にどこか揶揄(やゆ)が混じっていて、げんなりとした気分になる。アニーは──なぜかハーマイオニーも〝よく言うよ〟とでも言いたげな目で見る。……俺は誤魔化す様に話題を変えた。

「……んで、アニー。確かフレッドとジョージの話じゃ、フィルチは魔法薬の類は判別出来ないらしいんだよな?」

「うん」

アニーは軽く頬を染めながらそんな風に語る。大方フレッドとジョージから「お嬢さんには全く必要の無いシロモノだろうけどな」とでもからかわれたのだろう。……二人のお陰で話題を変えられたので、ダイアゴン横丁にいるであろう双子の兄に感謝の念を送っておいた。

だがしかし…

(〝愛の妙薬〟、効かないと思うんだがなぁ…)

だがしかし──俺にはそんなある種の確信があった。昔、俺は〝このテの薬〟で痛い目を見た事があり、今は一応ながら〝対抗手段〟が有るので〝愛の妙薬〟は俺には効かない公算が高かったりする。

……(もっと)も、用心に越した事はないが…。

「……だが、取り敢えずハーマイオニーの忠告通り、クリスマス休暇が明けるくらいまで女子からの食い物には気を付けておこうかね」

「それが良いわね。フィルチがもう少しだけ有能だったらそこまで気を揉まなくても良かったのかもしれないけど」

「そりゃあ酷ってものだよ、ハーマイオニー」

「現実って時々凄く残酷だわ」

そんなこんなで三人で四方山(よもやま)話をしながら歩いている内にいつの間にか図書館の前に着いていて、三人仲良く〝さぁ宿題をやろう〟とな気概で入館しようとしたのだが、なぜかマダム・ピンスからはきついお言葉と共に入館お断りをくらった。

……と云うのも、マダム・ピンスとフィルチが、こんな表現だと些かアレだが──(ねんご)ろな関係なのはホグワーツに()いて割とポピュラーな噂で、きっとハーマイオニーのフィルチへの悪口をマダム・ピンスが聞いたのだろうと推測した。

手持ちぶさたとなった俺達三人は図書館に入れなかった腹いせ代わりにフィルチとマダム・ピンスの関係を話のタネにしながらグリフィンドール寮の談話室へ戻るのだった。

その道中、俺達と顔を会わせたくなかったのか──マルフォイの気配が離れていくのを確認したり、グリフィンドールの三年生以上のほぼ全員の女子から〝我先に〟と、〝口に入る物〟をプレゼントされたのはご愛敬か。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

結局のところ、俺はアニーとハーマイオニーを左右に(はべ)らせ〝両手に花〟状態でスラグホーン先生主催のクリスマスパーティーへ出席した。

〝溢れていた者同士〟と云う括りなのか、ラベンダーを誘って来ていたマクラーゲンの視線が鬱陶しかったが──スラグホーン先生の紹介でドラゴンに関する研究者を何人かとの良いコネクションが出来たり、料理が美味しかったりと(つつが)無くパーティーは終了した。

逆に割りを食ったのも二人ほど居た。……アニーとパーティーには招待されていなかったマルフォイである。

後者のマルフォイは〝知識〟通り、スラグホーン先生経由でダンブルドア校長に毒を盛ろうと毒と酒をすり替えて、いざ退散しようとしたところをあえなくフィルチに発見されて、一旦スネイプ先生に連れ出された。

〝その後の事〟も一応〝見聞色〟で聞いていたが、マルフォイがスネイプ先生から詰問(きつもん)されていて──特に〝知識〟と変わりが無かったので割愛。

そして、前者のアニーだが、アニーがパーティーで苦労したのは主催者のスラグホーン先生の所為である。……スラグホーン先生はアニーに、方方(ほうぼう)の人をひっきりなしに紹介してアニーを困らせた。

……とな風に、スラグホーン先生主催のクリスマスパーティーは、恙無く終わったのだ。……少なくとも俺の主観では…。

そんなこんなでクリスマスが過ぎ、年が明けてアニーにダンブルドア校長からの〝個人授業〟もあったりしたが──それから更に二ヶ月が過ぎた3月1日の〝別荘〟の夜半。ベッドルームの時計は3時30分を示していた。

……ちなみにアニーの話では3度目の〝個人授業〟の内容はマグルのトム・リドルが殺されたと云う旨の内容とスラグホーン先生が若きトム青年に〝分霊箱(ホークラクッス)〟について訊ねられている内容だったとか。

閑話休題。

キングサイズのベッドには変わり果てた姿のアニーとハーマイオニーが寝息を()てていて、白亜のベッドシーツはこれ以上ないほどに乱れている。……そして極め付けに、シーツには二人の未踏の地を初めて侵した証である2つの染みが…。

「……ヤっちまったぜ…」

「……〝ヤられちまったぜ〟──とでも言えば良いのかな」

まぁ、つまりは〝そういう事〟だ。

〝いつかこんな日が来るかもしれない〟と予想していなかった訳では無いが、だがそれでも〝納得出来るか?〟と問われれば首を傾げざるを得なくて、15分ほど時計をぼんやりと眺めてからベッドの縁に腰掛けつつ何となしに呟けば、アニーの(リアクション)が。どうやらベッドの縁に移動する時の反動か何かで起こしてしまったらしい。

「まだ夜だぞ」

「……あー、もうすぐ4時か」

アニーはシーツで程よいサイズの胸元を隠しながら苦笑している。……そのサマがどうにも扇情的で、アニーを押し倒し4ラウンド目に突入しそうになるが──何とか我慢。禁欲的に過ごしてきたわけではないが、一度壊れた物は壊れやすくなるものだ。

……仙術で無理矢理副交感神経に働きかけて、俗に云われている〝賢者タイム〟に入る。……すると、湯だっていた頭も落ち着いてきて、情事の際にはすっかり飛んでいたアニーに(たず)ねなければならない事を思い出した。

「アニー」

「ん?」

「……自分が何をしたか判ってるか?」

「うん。……ハーマイオニーと一緒にロンを〝脅した〟」

あっけらかんと(のたま)うアニー。ある意味では、仙術で副交感神経に働き掛けておいて正解だった。でなければ俺はアニーを怒鳴り散らしていただろう。

どうして〝こんな事〟になったかと云うと、簡単に言えば媚薬を摂取したアニーとハーマイオニーに迫られただけである。

3月1日──今日は本来はホグズミード行きだったが荒天ゆえにそれは立ち消え、どうせなので久し振りに≪プロメテウス≫の会合を開こうと云う事になった。……それは良い。

……問題は俺がアニーとハーマイオニーに2時間以上早く呼ばれ、首を傾げながら〝別荘〟に入れば、そこにはベビードールを纏って頬──どころか肢体(からだ)すらも真っ赤に染めたアニーとハーマイオニーが居た事だ。

その時には二人が平静では無いと気付き、永琳印の万能薬を飲ませようとしたのだが二人は受け取らず。

しかも、あろう事かコーマック・マクラーゲンの名前すら出してまで俺に押し倒させたのだ。

……さすがにそこまで云われれば、俺としても腹を括るしかなかった。

「つーか、よくハーマイオニーが納得したよな」

「あー、うん。……まあね」

「……歯切れが悪いな」

ハーマイオニーは些か潔癖なところがあり、〝こんな事〟をするイメージとはそぐわなかったので、そう()いてみれば、アニーからはやはりと云うべきか歯切れの悪い返事が。

(……〝服従の呪い〟はもちろん論外だとして──よもや媚薬を盛ったわけでも無かろうに…)

他にも〝錯乱の呪文〟やらを考察の範疇に入れていくが、どれもピンと来ない。

(……いや、確かにアニーとハーマイオニーを同時に抱けるなんて幸福かつ幸運なんだが──ん? 〝幸運〟…?)

アニー・ポッターとハーマイオニー・グレンジャーと云う美少女の〝ハジメテ〟を同時に(しとね)で征服出来た俺は間違いなく果報者で、その事についての〝幸運〟に感謝していると、とある事を思い出した。

「……〝幸運の液体(フェリックス・フェリシス)〟か」

「あ、バレた?」

「はぁ~…」

イタズラが見つかった様な反応のアニーに思わず深い溜め息が出たが、〝とりわけ目くじらを立てるほどの事でもないことだと〟すぐ様思い直す。〝バックアップ〟は用意してあるので融通出来るからだ。

そして〝幸運の液体(フェリックス・フェリシス)〟の効能とは〝不可能(0)を可能(1)〟にするのではなく、〝可能(1)をほぼ確定(95)〟にすると云う印象だ。

……つまりハーマイオニーは、多かれ少なかれ俺に対して〝そういう想い〟を抱いてくれていたという事だ。

「なぁ、アニー」

「ん? どうしたの、ロン?」

絶対斃(たお)そうぜ。ヴォルデモート」

「うんっ!」

SIDE END 
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