| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ABULHOOL IN ACCELWORID

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

a=15

『昨日暴漢に襲われた。
応戦した時に左腕に傷が付いた。
そんな訳で今日は病院(東大付属)に行く。
家にはナツを残しておくから用が有ればナツに言っておいてくれ。
psあの人と一緒に行くから心配するな』

送信アイコンを押し、チユにメールを出す。

いや…違うな…チユのニューロリンカーにバックドアを仕掛けている奴にメールを送った。

「じゃ、行ってくるぞナツ」

「はいはーい。近い内に例の先輩紹介してね」

「おう」

玄関を出て廊下を歩く。

廊下から見える景色。

今までは何も思わなかった景色。

だけど…

「今も…この景色の中を誰かが戦ってるのかなぁ…」

加速…人間のビートを増幅し精神を加速させるオーバーテクノロジー…




おっと…少しボーっとしていたな…

そう思い、少し急いでエレベーターに向かう。

ショッピングモールがある階層を抜け、エレベーターは一階に到達した。

そしてエントランスを抜け、マンションの敷地を出る。

視界の端にグローバル接続のアイコンが浮かび…

バシィィィ!

世界が一変した。

「お、おぉう…コレが乱入か…」

視界の上…HPゲージを見る。

敵は…アッシュ・ローラー…

あぁ…あのバイク野郎か…

ガイドカーソルの方向は…マンション前の道路の右側からだな…

さてと…行くか…

ガシャン!と足を折り畳み、上空に飛び上がる。

ヒュウィィィィィン…と背中のパーツが現存するどの機器のエンジンとも違う音を発てる。

そのままどんどん上昇する。

体感的にはかなり登っている…

やがて雲を越えた。

つまり、この時点で高度1000メートルを裕に越えた。

「そろそろいいか?」

ガイドカーソルに従い、アッシュ・ローラーに向かう。

こちらは雲の上…あちらには見えていない筈だ…

そして…

ガイドカーソルが真下を指した。

俺はエンジンを切り…

自由落下を始める。

風が、鋼の体を撫でる…

「嗚呼!アァ!いい!実にいい!」

パラシュート無しのスカイダイビング!

はは…はは…ははっ…はは!ははははは!

「最高だ!最高だよシルヴァリオ・アブルホール!」

みるみる内に行動が下がっていくのが判る。

次第に地表の様子が判るようになってきた。

スラスター…点火!

自由落下にスラスターの加速が加わり、更に速度が上がる。

ドォン!と轟くような轟音が響いた…ソニックブームだ。

「はは!そうか!コレが音速の世界か!」

視界の中心にアッシュ・ローラーが見えて来た…

アッシュ・ローラーが何かわめいて居るのが見える…

「悪いけど…俺の糧になって貰うぞ!」

機首部分のフェイスを展開…

そして…

パシュシュシュシュシュシュシュ!

GNバルカンを浴びせる。

自由落下、スラスター、GNバルカンの弾速…それらが合わさり音速の数倍となった光弾がアッシュ・ローラーを襲う。

その光弾は次々にアッシュ・ローラーとバイクに突き刺さり…

「ファァァァァァァァッキィユゥゥゥゥゥ!」

"fack you"と言いながらアッシュ・ローラーは砕け散った。

…………この男はいちいち罵倒しないと気が済まないのだろうか。

ふと、アッシュ・ローラーのバイクの残骸が目に入った。

うん…ムカついたから壊そうかな…

一歩下がり…

パシュシュシュシュシュシュシュ!

ボガァン!

GNバルカンを受けたバイクは爆発した。

ザマァ!

そして、1800秒が過ぎる前にアイコンを操作し、俺は加速世界から離脱した。

「ふぅ…」

空を、見上げる。

雲があり、太陽があり、蒼い空がある。

今まで、飛んでいた場所…

「ふふ…」

バースト・リンカー…か…

生まれて13年と少し。

俺はやっと生き甲斐という物を見付けられたような気がした。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧