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夢幻水滸伝

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第四十八話 再戦その八

「軍勢も星の子もな」
「六万の軍勢と六人で、ですか」
「奇襲仕掛けてきますか」
「それはやばいですね」
「結構以上に」
「そやさかい備えをしといてな」
 今からというのだ。
「そしてや」
「その全戦力での奇襲をですね」
「退けてそして」
「そこから反撃ですね」
「それを仕掛けますね」
「そや、やるで」
 まさにと言う綾乃だった。
「奇襲は怖いけど逆にな」
「それを凌いだらですね」
「反撃が出来る」
「まさにその時ですね」
「逆に言えば」
「そういうことやで、ほな備えとこうな」
 こう言ってだった、綾乃は密かに備えておいた。北ノ庄城でも国境でもそれにかかった。
 東海と北陸は軍勢を転移の術でその殆どを加賀に移した、それは一日のうちに行って星の者達もだった。
 加賀の金沢城においてだ、坂口は共に天守閣にいる室生に対して言った。
「やっとだがや」
「加賀に兵を移せたな」
「それが出来ただがや」
「やはり六万の兵を移動させるとなるとな」
「術を使ってもだぎゃ」
「時間がかかる」
 尾張や美濃から加賀までだ、六万の兵の五万七千程を移動させたのだ。
「そして陰陽師達術を使える者には苦労をかけたな」
「全くだがや、しかし」
「そうだ、兵は集まった」
 鋭い目でだ、室生は坂口に答えた。
「一気にな」
「それでだがや」
「この天気だ」
 室生は空を見た、雨がわりかし激しく降り空は厚い雲で完全に覆われている。
「夜まで続くと風水師が言っていた」
「そうだがや」
「気候もわかるからな、風水師は」
 自然を操って敵を攻撃するだけでなくだ、彼等はそうしたこともわかるのだ。だからこの世界では天気予報の様なこともしている。
「その風水師の言葉だ」
「ならだがや」
「今夜仕掛けるか」
「ああ、雅ちゃんの策通りにのう」
「そう言うと思っていた、それでだ」
 室生は坂口にこうも言った。
「鈴子君に食事の用意をする様に言っておいた」
「今からじゃな」
「そうだ、食べてな」
 そうしてというのだ。
「夜になればな」
「攻めるだがや」
「勝つぞ」
 室生は坂口に強い声で言った。
「いいな」
「勿論だがや、攻めるならだがや」
 まさにとだ、坂口も返事を返した。
「勝つだがや」
「そういうことだ、相手は強いが」
 関西の軍勢は侮っていなかった、特に綾乃は。
「奇襲を仕掛けてな」
「そうしてだがや」
「北ノ庄城と国境の軍勢を徹底的に破りだ」
「越前を攻め取ってそうして」
「近江からだな」
「一気に都を目指すだがや」
「一旦勝てばそこから立ち止まることはしない」
 室生はエルフのその顔を真剣なものにさせて言った。
「決してな」
「そうじゃ、補給は出来るしのう」
「兵糧や武器も移動させた」
 そこも抜かりなくというのだ。 
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