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第31話 第5次イゼルローン要塞攻略戦


やっとかけました、この数日風邪で完全に寝込んでいました、今は何とか小康状態です。

御感想ありがとうございます。返事が遅れますがその旨ご了承下さい。

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第31話 第5次イゼルローン要塞攻略戦

宇宙暦792年4月29日

■イゼルローン回廊

自由惑星同盟軍第5次イゼルローン要塞攻略部隊五万一千隻は予定より早いスピードでティアマト星系を通過しイゼルローン回廊同盟側出口から回廊内へ怒濤の進入を開始した。
帝国軍も叛乱軍侵攻近しの為に警備艦隊を遊弋させていたが、僅か千隻程度であり鎧袖一触に撃破された。

警備艦隊から敵大艦隊進入戦闘中と悲鳴のような入電が続くが、有る境を経るとピタリと入電が消え幾ら呼びかけても何も返ってこなくなった。要塞司令部では、敵の現れる時期が早すぎるとの叫び声も聞こえながら、三時間に及ぶ密室での討議のすえ、取りあえずは駐留艦隊一万五千隻が出撃し迎撃の形を取る間に、僅か三日前に到着し整備や補給中の増援艦隊を後方待機させて隠し球に使う事が決まった。

しかし増援艦隊の将兵の大半が敵軍襲来までは半月有るとの上層部の考えで休暇を取ってイゼルローン要塞繁華街へ繰り出してしまっていた為に彼等を呼び戻すのにも多大な時間がかかるのである。さらに酔っぱらっている者達が多数居た為に役に立たない将兵が続出した。

その為増援艦隊の準備は中々進まない状態になりクライスト要塞艦隊司令官とゼークト増援艦隊司令官の間に口論が発生までした。

それでも駐留艦隊が反乱軍と最初の砲火を交わす間に反乱軍迂回艦隊迎撃のリュッチェンス少将艦隊四千隻が要塞側後方の待機位置に配備は出来たのである。帝国軍側は叛徒の作戦などは既にお見通しだと手ぐすね引いて待ち構えているのである。


回廊に進入した同盟軍は第四艦隊を先頭に第十一艦隊、第八艦隊、ミサイル艦隊、無人艦隊の順に侵攻していく。

4月30日自由惑星同盟軍は遂にイゼルローン要塞の前面に全軍を展開させた。それはトールハンマーの射程外6.4光秒の距離である。
艦艇総数四万五千隻強とイゼルローンの戦術コンピューターは推計した。

要塞から出撃した帝国軍は一万五千隻。此が立て続けに主砲を斉射し、火力応酬の火蓋を切る。10万にもにも及ぶビームの矢で虚空を切り裂いた。半瞬の差を置いて30万に達するビームが逆方向から飛来する。各所で爆発が起こりその光の中で幾多の人命が燃え尽きる。

苛烈な戦闘が要塞主砲射程外で展開されているなか、トールハンマーは膨大なエネルギーを充填させているが、同盟軍が行う【D線上のワルツ】の為に砲撃タイミングが全くつかめない、同盟軍の第四艦隊一万五千隻、第十一艦隊一万五千隻、第八艦隊九千隻がトールハンマーの射程限界を正確に測定し、その線上を軽快に出入りし敵艦隊の突出を誘う。同盟軍の艦隊運動は帝国軍のそれに比べて遙かに勝っていた。

帝国軍でもミサイル艦隊が主力であると認識している以上、突出する訳にも行かず艦隊司令官達は神経をすり減らしながら、如何にしてトールハンマーの射程に引きずり込むかを考えていた。

帝国軍が主力だと誤認している、二千隻のミサイル艦隊は全てが艦齢20年選手ばかりの老朽巡航艦の艦首のみ新品のミサイルユニットに変えた艦であり、それを率いる旗艦は昨年除籍されて解体待ちだった。元第十艦隊旗艦FBB23ヘカトンケイルに装甲板と防御兵装を増設したのである。

密かに危険宙域ギリギリを航行して要塞死角へ向かう、ヘカトンケイル艦橋では一人の阿呆が自信に満ちた顔で作戦発動を今や遅しと待っていた。阿呆の名はウィリム・ホーランド大佐、本来であれば二千隻の分艦隊であれば最低でも准将が指揮官でなければ可笑しいのであるが、率いる艦隊が旗艦を除き全て無人艦な為、戦艦艦長程度の役職で許可されたのであるが、実際はホーランドの鼻っ柱を折っておく為に仕込まれたのである。

その時の光景が滑稽であった。
シトレ総司令官とサダ総参謀長と数人の参謀や指揮官が掛け合いで嵌めたのである。

「ミサイル艦隊の指揮官だが誰か良い人物は居ないかね」
「小官を是非」
「いや、小官こそ」
「小官にこの名誉を」

その言葉に数人の士官が素早く手を挙げ始めると提案者であるホーランド大佐も手柄を横取りされると焦って手を挙げた。
「此処は提案者たる小官に御命じください」

すると、それまで手を挙げていた連中が一斉に発言した。
「「「どうぞ、どうぞ」」」
全員が辞退した為、あっさりとホーランド大佐が指揮官に決まったのである。

その後、受け取った艦隊がロートル艦ばかりであり、積んでいるミサイルも使用期限ギリギリか期限切ればかりだと言うのも気がつかずに張り切って攻撃後に昇進する自分を夢見ながらミサイル艦隊二千隻は粛々と進む、その中に書類上は第442陸戦連隊が乗っているはずの強襲揚陸艦と笑気ガスと無気力ガスを積んでいるはずの旧帝国軍戦艦10隻も含まれていた。

リーファの作戦によりローゼンリッターは前日から浴びるように酒を飲みまくり、リューネブルク隊長やシェーンコップ達は別として一般兵達はへべれけに成っている為に、参加不能であると連絡が来た為にワイドボーンが演技しながら第442陸戦隊参加を進言したのである。

2時間ほどD線上のワルツを行いつつ、帝国軍の動きを適格にリーファ、ヤン、ワイドボーンがトレースし、ミサイル艦隊の動きを重ね合わせていく。そろそろ要塞側面に辿り着く時間になると、シトレの副官業務を行っている、リーファがシトレ司令長官に耳打ちをした。

「閣下、そろそろです、後退命令の準備とウランフ提督に指示の用意をお願いします」
シトレは無言で頷く。

その頃、ホーランド大佐は要塞側面攻撃可能位置の手前まで辿り着きながら、攻撃開始の合図を出す準備をしていた。

「これで、歴史が変わる。ウィリム・ホーランドがイゼルローンを占領するのだ!
イゼルローンを占領後は帝国領へ侵攻し、オーディンを叩き皇帝を処刑し帝国を滅ぼすのだ!!」
此を独り言のように叫ぶのだから付き合わされている艦橋要員は決死隊の感覚で参加しているのであるからうんざりして堪らない状態である。

しかし帝国軍は適格にホーランド分艦隊の動きを追跡していた。そしてリュッチェンス少将艦隊四千隻が手ぐすね引いて奇襲しようと待ち構えていたのである。

ホーランドが攻撃開始と言おうとしたその瞬間、側方から2万を越すビームの嵐がミサイル艦隊を引き裂いた、搭載してきたミサイルを撃つことなく次々に爆沈していく、艦隊に呼応して要塞浮遊砲台の攻撃も激烈を極めた、特に旧帝国軍戦艦10隻と強襲揚陸艦は全艦が爆沈し消え去っていくが、ホーランドの悪運なのか装甲を厚くしたからなのか、ヘカトンケイルは無事でありしかも、リュッチェンス艦隊がその後同盟艦隊主力に突撃を敢行した為に逃げ帰ることが出来たのである。

帝国軍の戦法ではリュッチェンス艦隊が側方攻撃をかけ敵艦隊を混乱させつつトールハンマーの射程内に引きずり込み砲撃され混乱する敵艦隊を駐留艦隊と取りあえずの準備が終わり一万三千隻程度出撃可能になった増援艦隊と追撃する事にあった。

所が、同盟にリーファが居たが帝国の艦隊指揮官にラインハルトが居ない事が勝負を分けた。
シトレ司令官はリーファの進言どおり、ミサイル艦隊が攻撃されると直ぐさま全艦隊を8光秒下げるように命令を出した。

「全艦隊、全速で8光秒後退」
不意の命令にも各艦隊はすかさず命令に従い後退を始める。
その為、側方攻撃をしようと天底方向から急進してくるリュッチェンス艦隊は完全に肩すかしを食らう形で追撃を行う羽目になった。その為駐留艦隊との連動が出来なく成り両艦隊ともバラバラに追撃する事に成った。

第八艦隊が進撃時9千隻で有ったのは、ウランフ提督が統括指揮する二個分艦隊六千隻が回廊にある危険宙域のポケット状の安全地帯に隠れていたからである。此処は同盟側からは丸見えだが帝国側からは見えない宙域であり艦隊を隠すには完全な場所であった。

FBB 109 アッシリアの艦上でアップルトン提督が今や遅しとウランフ提督の命令を待っていた。FBB36クリシュナではウランフ提督がタイミングを計りながら攻撃開始の合図を出そうとしていた。
目の前をリュッチェンス艦隊が通過し更に駐留艦隊も通過する。その瞬間ウランフが命令を出した。

「全艦、全速敵艦隊の後側方から砲撃する。全艦砲撃開始!」
その命令に全艦が活きよいよくポケットから現れ敵艦隊に砲撃を加えていく。
突然後方に現れた敵艦隊に一方的に攻撃され、見る見るうちに戦力をすり減らしていく逃げようにも前方からは敵艦隊主力が戻ってきて攻撃してくるのである。

ウランフとアップルトンの分艦隊は敵艦隊の中央を突破し一旦後方へと下がっていく。その頃には駐留艦隊主力は既に四千隻以上が消え去り、リュッチェンス艦隊は数百隻を残すのみになっていた。
それに乗じて同盟軍は圧力をかけ始める。

余りに早く駐留艦隊とリュッチェンス艦隊が大被害を受けた為、増援艦隊が発進したときには、駐留艦隊は後退を始めていた。そこへ敵艦隊が追撃を行ってきた。

全艦隊にシトレ司令長官の指令が響き渡る。
「全速前進!敵の尻尾に食らいつけ!」
その言葉に特別任務艦隊四千隻が突撃を開始した。

その他の艦隊は何時でも天頂方向と天底方向へ逃げられるように準備をしながら追撃と攻撃を行う。特別任務艦隊はミサイルやビームを全く照準せずにただばらまくだけで突撃していく。」

要塞管制室ではトールハンマーの発射準備が出来ていたが、敵味方の艦隊が入り乱れて存在する状態では攻撃が出来無い事に砲術長が発射命令を出せないで居た。
無論増援艦隊もやっと出撃を開始したが、その港へ次々に敵艦が突っ込んできたのである。

有人艦隊に援護射撃を貰いながら前面装甲を厚くした戦艦群が艦内にミサイルやゼッフル粒子を満載状態で何隻も撃沈されながら、次々に敵艦に体当たりを敢行し、更に要塞に突撃を開始したのである。
それにより、イゼルローン要塞の流体金属が大きく凹みその下に有るドック群が丸見えと成った。そしてそこへ数は多くないが決して少なくない数の艦船が特攻をかけたのであるから、要塞内の人々には恐怖を感じたのである。

増援艦隊も途中で出撃が出来なく成り、虚しくドックで爆沈する艦が出て更に要塞に被害を与える。
外郭上で爆発が起こり衝撃が要塞を揺らす、イゼルローン要塞は不落の神話が崩壊寸前である様に思えた。

同盟軍総旗艦ヘクトル艦橋では、このまま行けばイゼルローン要塞を落とせるとの認識が参謀を中心に沸き上がっていたが、リーファが再度シトレ司令長官に耳打ちする。
「閣下、そろそろ、敵は味方ごと我が艦隊を撃つことを決断するでしょう、早急に後退可能な艦は後退を駄目な艦は、天底及び天頂方向へ即刻待避をお願いします」

その言葉にシトレも又頷き、命令を出す。
「全艦C4回路を開き撤退せよ」
当初からインプットされていたプログラムに従い同盟艦隊が無人艦隊を除き急速に射程内逃げ始める。しかし一部艦隊が命令を無視し、そのまま攻撃を続ける。

ほぼ同時にイゼルローン要塞司令官クライスト大将がうわずった声で叫んでいた。
「トールハンマー発射!」
「しかし、閣下、それでは味方が」
「かまわぬ!・・・・・いや、やむをえぬ。大儀の前だ」

「もしこの要塞が共和主義者どもの手中に落ちるような事があれば、それは神聖不可侵な銀河帝国そのものの滅亡に直結する。最早犠牲をいとっている余裕があろうか」

更に突っ込んで来る敵艦に恐怖しクライスト大将が砲撃を命令した。
「撃て!」

トールハンマーがその凶悪な破壊力を見せ突入してくる敵艦隊を味方駐留艦隊主力と共になぎ払った。しかし同盟軍は殆ど艦が無人艦であり、命令違反の千隻程度が消滅したのが痛恨であった。しかし帝国軍は駐留艦隊主力の五千隻ほどが巻き込まれて消滅した為大損害と言って良かった。

素早く後退した同盟艦隊は順次後退し敵の出方を見るが、今回は此までと当初の予定どうり後退することにした、参謀の中には未だ戦えると勇ましいことを言う者も居たが敵が味方撃ちをするほどで有れば、最早並行追撃も不可能で有るとの結論に黙るしかなかったのである。

シトレ司令長官が全軍の退却命令を出すと、リーファを呼び言った。
「ロボス少佐、やはりネズミは居るようだな」
「そうですね、今頃はバクダッシュ大尉が大忙しでしょう」

「惜しいことに、命令違反で千隻を失うとはな」
「致し方ありません、閣下のせいではありません」


こうして、政治屋共の票集めの為に始まった、第五次イゼルローン要塞攻略戦は終わった。

同盟軍参加戦力五万一千隻 兵員481万3750名
喪失艦艇 無人艦5895隻  有人艦艇3029隻(大破放棄艦も含む) 
戦死14万3588名

帝国軍参加戦力三万五千隻 兵員575万7249名(イゼルローン要塞在200万を含む)
喪失艦艇 1万6485隻(ドック内喪失も含む)
戦死リュッチェンス少将、プルーン少将以下168万8561名(イゼルローン要塞内人員も含む)

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ホーランドは悪運良く生き残りました。
 
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