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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第五幕その二

「どの国でもね」
「日本でもあってね」
「頼朝さんなんか酷いよね」
「鎌倉幕府のね、あの人は極端だったよ」
 源氏のこの人についてはこうお話した先生でした。
「義経さんも他の身内の人もどんどん倒していったからね」
「平家と戦うよりまずだったね」
「この人もお父さんの義朝さんもお子さんとお孫さん達もそうでね」
 身内で争ってばかりだったからというのです。
「結局最後はね」
「源氏は誰もいなくなったんだよね」
「うん、身内でのいざかいばかりしていたせいでね」
「酷い話だよね」
「イギリスでも王位や爵位を巡って親兄弟親族の間でのいがみ合いはあったしね」
「シェークスピアの戯作でもありますしね」
 トミーはこの人の作品をここで思い出しました。
「それで日本もですね」
「うん、それで幕府も怪しんでね」
 和歌山城の築城にです。
「止めたんだ」
「大きくすることはですね」
「そうしたんだよ」
「そうした歴史があったんですね」
「うん、あとこの天守閣は三代目だよ」
 このこともお話した先生でした。
「初代は落雷で焼けて二代目は空襲でね」
「大戦中の」
「それで焼けてね」
「今は三代目ですか」
「そうだよ、コンクリート製だよ」
 木造ではなく、というのです。
「今の天守閣はね」
「大坂城と同じだね」
「それじゃあね」
 動物の皆はコンクリート製の天守閣と聞いてこう思って言いました、それならというのです。
「そういえばあのお城の天守閣も三代目だね」
「そうよね」
「初代は大坂の陣で焼けて二代目は落雷で」
「二代目が落雷で焼けたのも一緒じゃない」
「それで三代目がコンクリート製って」
「歴史が似てるね」
「僕もそう思うよ、何か因縁めいたものがあるね」
 先生もこう言います、動物の皆に。
「大阪城と和歌山城は」
「同じ関西にあるしね」
「何か似てるよね」
「そうだよね」
「どうにも」
「そうだね、もっとも今の大阪城の天守閣は運がいいのかね」
 先生はあのとても立派な、大阪の人達にとっては通天閣と並ぶ心の象徴であるあの天守閣を心の中に思い浮かべつつお話しました。
「大阪の空襲、特に大阪城には帝国陸軍の建物もあって周りは工業地帯でね」
「物凄い爆撃を受けたのね」
「そうだったのね」
「うん、東京の空襲が有名だけれど大阪もかなりやられたんだ」
 相当な爆撃を受けたというのです。
「長い間不発弾が見付かっていた位ね」
「戦争が終わっても」
「そうだったのね」
「そこまで凄い爆撃受けてたのね」
「大阪城の周りは」
「そうだよ、けれど周りが瓦礫の山になってもね」
 それでもというのです。
「大阪城の今の天守閣は無事だったんだ」
「それ凄いね」
「確かに物凄い強運だね」
「周りが瓦礫の山になっても天守閣だけは無事って」
「とんでもないお話だね」
「そこまで運がいいんだ、今の大阪城の天守閣はね」
 そうだというのです。
「そこは和歌山城と違うね」
「そうなんだね」
「それで今のこの天守閣は三代目ね」
「空襲で焼けたけれど復活した」
「三代目なのね」
「そうだよ、その天守閣に今から入ろうね」
 そうしようというのです。 
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