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蒼穹のカンヘル

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十七枚目

朱と蒼の魔方陣…

「こんな時に援軍かよ!」

今はワームに意識を割いている、そちらへの攻撃は出来ない。

やがて光が虚無に触れ…なかった。

ワームと光、その間に一枚の障壁が張られていた。

紅い紅い障壁、それに触れた光は消滅していった。

後ろから声が聞こえた。

「少年、よくぞ耐えた。
後の事は我々に任せて欲しい」

「そうね☆あとでヨシヨシしてあげる☆」

そこには紅い髪で貴族服をきた青年と…

黒髪紫眼でコスプレのような衣装に身をつつんだ少女が居た。

「嘘だろ…」

彼等を…作品の人物として読んだのはもう十年近く前だ。

しかし彼等の特徴は覚えていた。

クリムゾン・サタン…サーゼクス ルシファー。

魔王少女…セラフォルー レヴィアタン。

四大魔王が二人も何故…?

疑問に思っているとサーゼクスが口を開いた。

「リリン!人間界於ける此度の騒動!
如何なる意志があっての事か聞かせて貰おう!」

威厳のある声で、彼は尋ねた。

「あーらあら!これはこれはサーゼクス君じゃあーりませんか!
おぉ!セラフォルーちゃんも居るじゃないか!
おじさん嬉しーなー!」

茶化すリゼヴィムにセラフォルーが無表情で言い放った。

「ねぇおじさん…ぶっ殺すよ?」

「おぉ!おじさんこわーい!流石に魔王二人を相手取れるほどじゃないからねぇ…
んじゃ!
まーたーくーるねー!」

言った通り魔王二人を相手取れないのか、リゼヴィムは何処かへ転移していった。

「セラ」

「わかってるよサーゼクスちゃん」

魔王二人は何やら話し合っている。

三十秒ほどしてこちらに歩いて来た。

「今晩は☆少年!いやー凄かったよ!」

「ああ、君が持ちこたえてくれたお陰で奴の居場所を特定できた」

俺は、とりあえず距離を取りカンヘルを構える。

「ちょっと…サーゼクスちゃん!警戒されてるよ!そんな堅い服来てるせいだよ!」

「お前の格好も十分怪しいぞセラ」

と、気の抜ける会話をする魔王二人。

俺の方から話を出す。

「此度の件は感謝する…しかし現魔王二人がここに来た意図が知りたい!」

「うーん…君…子供なんだからもう少し子供っぽい口調で話したら?」

とセラフォルーに言われた。

良い歳こいてコスプレしてる魔王少女に言われたくねーな…」

「プフッ!……せ…せら…くく…」

いきなりサーゼクスが笑いだした。

どうしたんだ?

俺が疑問に思っているとサーゼクスが教えてくれた。

「いや…君、さっきの声に出てたよ…くく…魔王少女…コスプレ…プフッ!」

あ…マジか…

爆笑するサーゼクスの隣でセラフォルーはプルプル震えていた。

「いいじゃん!可愛いんだから!」

とセラフォルーが叫んだ。

弄ってみるか?上手く行けば空気を握れるかも…

「さっき子供っぽい口調でとか言われたからそれでいくけどさ…
『ねーねー!おねーちゃん!なんで大人なのにそんなはずかしい格好してるのー?』
これで満足か?」

「恥ずかしくないもん!ミルキーだもん!」

と言って泣き出した。

うわぁ…魔王少女のガチ泣きだ…

「あっはっはっはっは!セラ!一本取られたな!」

ああ、くそ…話がそれた…

「サーゼクスルシファー」

「なにかね少年?」

「何故にこのような場所へきた?」

「ふむ……その答えは君が思っている通りだ」

「リゼヴィムを追ってきたと?」

「ああ、ここ数ヶ月リリンに不審な動きがあった…」

そしてリゼヴィムを追っていたらここへたどり着いたと…

「こちらに来た理由は理解した。
しかし…これからどうする気だ?」

カンヘルを向けながら問う

「安心して欲しい、我々は君達と戦うつもりはない。
直ぐにでも冥界へ帰るつもりだ」

俺達…堕天使と開戦の為ではないらしい。

「わかった…では直ちに帰れ」

まぁ…彼等が…原作通りならば大人しく帰るだろう…

「少年」

「なんだサーゼクスルシファー?」

「年上には敬語を使おうね?」

サーゼクスから、莫大なプレッシャーが放たれた。

なんてプレッシャーだ!さっきのリゼヴィムの比じゃねぇ!

だが…膝を折る訳にはいかねぇな!

「ハッ!敵対勢力のトップに敬語を使う程大人じゃないんでな!」

「ふむ……今のを耐えたか。
気に入ったよ少年。
あと、君は十分大人だと思うがね…
しかしやはり君にそんな口調は似合わない。
さっきセラが言ったように気を抜くといい」

うるせぇな…

「『うわー魔王が堕天使の子供を脅してるー!
くりむぞんさたん(笑)って子持ちだったよなー!
そうやってしつけるのかなー?
うわー魔王って大人げないなー(棒)』」

「ぐはぁ!?」

嫌味を込めた俺の言葉にサーゼクスは崩れ落ちた。

「「……………」」

弱っ!?魔王弱っ!?セラフォルーといいサーゼクスといい弱すぎじゃね!?

近くに落ちていた木の棒を拾う。

つんつん…

「返事がない…ただの屍のようだ」

「少年…ドラクエの骸骨扱いはやめてくれないかい?」

あ、生きてた。

てか冥界にドラクエあんの?

「いや…御約束じゃん?
ていうかさっきの障壁とか殺気とか嘘見たいに凹んでるけどさ。
なに?自爆すんの好きなの?マゾなの?」

「………………………マゾではない」

今の間はなんだ?嫁とSMプレイでもしてんのか?

サーゼクスは立ち上がり未だ泣いているセラフォルーのもとへ向かった。

「セラ…帰ろう…彼は強すぎる…」

「そうだね…」

待てや、お前らそれ真面目かノリかどっちだ?

サーゼクスとセラフォルーは魔方陣を展開した。

「少年、我々は冥界へ戻る…コレを渡しておこう」

サーゼクスが差し出したのは紙切れだった。

「なにこれ?………は?」

その紙切れには紋様が描かれていた。

「じゃぁ私もあげちゃうよ☆」

セラフォルーからも渡された。

そちらにもやはり紋様がある。

陣の外側にはそれぞれ

CHARZECHS、SELAFOROUXとある

サーゼクス、セラフォルーと読める…

「は?」

「君は我々が駆けつけるまでリリンを抑えた。その報酬だ」

「いいのか?軍勢を揃えた真ん中で召喚するかもしれないぜ?」

「君はそんな事はしないでしょ☆」

えらく信頼されてるな…

「ただの報酬ではあるまい、何が望みだ?」

「ふむ…」

サーゼクスは母さん達の方を一瞥した。

「あそこに居るのはリリンの孫なのだろう?
ならば奴がまたここに現れる可能性がある。
ちょうどいいエサになるだろう」

俺はその言葉の意味を理解し…激昂した。
 
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