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第二章

「私の考えは」
「そうなのね」
「というか焦ってどうするのよ」
 弁当の鮭を食べつつ言うるりかだった。
「こうしたことは」
「家族のことは」
「そう、焦ってもね」
 それこそというのだ。
「何にもならないでしょ」
「そうかしら」
「そうよ、一日にして家族になれる?」
「一緒に住んで」
「そうなれるもの?」
「そう言われると」
「ほら、ローマもっていうじゃない」
 ローマは一日にして成らず、この言葉も出するりかだった。
「何でもそうだしね」
「家族もっていうの」
「話聞いてたら順調に仲良くなってるし」
 サンドイッチを食べる蒔絵に対して言うのだった。
「だったらよ」
「焦らずにっていうの」
「やっていけばいいじゃない。それよりもね」
「それよりも?」
「何か最近難波の方の魚市場に面白い人が出るらしいのよ」
「面白い人?」
「そう、あそこの駅の近くに魚市場あるでしょ」
「近くかしら」
 蒔絵はるりかのその言葉に眉を顰めさせて返した。
「あそこは地下鉄の方が近いじゃない」
「南海だと微妙っていうのね」
「ええ、南海だと新今宮と難波の丁度間にあるから」 
 その中間にというのだ。
「何かね」
「あんたのお家からじゃ自転車で行けるじゃない」
「けれど南海だとよ」
 この私鉄を利用して行くならというのだ。
「どうもね」
「行くに微妙だっていうの」
「そうよ、そういえばあんたの家って天下茶屋だったわね」
「駅の近くよ」 
 南海の駅のというのだ。
「そこよ、私のお家」
「それで南海で言うのね」
「そうなの、学校には地下鉄で行ってるけれどね」
 それが一番近いからである。
「そうしてるけれどね」
「じゃあ地下鉄で言えばいいじゃない、まあとにかくなのね」
「そう、魚市場にね」
 そこにというのだ。
「面白い人が出るらしいのよ」
「具体的にどんな人?」
「何でもやけにひょろ長くてお顔も細くてね」
 その外見から話するりかだった。
「着物着てて売ってるお魚はね」
「どんなお魚売ってるの?」
「鯉とか岩魚とか鮎とかね」
「川魚ばかりじゃない」
「そうでしょ、あそこじゃ珍しいでしょ」
「だから話題になってるの」
「そうなの、その人の容貌も含めてね」
 それと合わせてというのだ。
「話題になってるのよ」
「川魚を売ってるから」
「そう、しかもね」
「しかも?」
「その川魚がどれも凄く新鮮で美味しいらしいのよ」
 るりかは売りものの質のことも話した。
「これがね」
「そうなのね。それじゃあ」
「会いに行くのね」
「それで美味しそうだったら」
 蒔絵は自分のサンドイッチを食べつつ鮭で御飯を食べているるりかに話した。今食べているサンドは母が得意なツナサンドだ。 
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