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ロボスの娘で行ってみよう!

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第3話 クリスマスで苦しみます


アッテンボローが苦しみます。
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第3話 クリスマスで苦しみます

宇宙暦785年12月24日

■自由惑星同盟首都星ハイネセン テルヌーゼン市

 地球時代ではキリストの生誕日の祭りであったこの日も宇宙時代になってもお祭りであることには変わりがなかった、自由惑星同盟では各種民族の集まりであるが上、銀河帝国と比べてクリスマスが大きなイベントとして各地で祝られていた。

また男女のカップルも多く見られ、今日此からの日々を期待して居る者達などが多くいるのであった。
その中に、銀灰色の髪の毛をセミロングに纏めた17歳ぐらいの少女と、もつれた毛糸のような鉄灰色の髪の毛でソバカスが未だ目立つ青年が連れだって歩いていた。

「さああ、ダスティー行くわよー」
「先輩、何処行くんですか?」
「あら、先輩じゃなくて、リーファって呼んでよね」

「リーファ先輩、ディナーって言っても、自分じゃ店をよく知らないですよ」
「ふふふ、そこは任して、良い店を予約してあるから付いて来なさい」
「はあ」

「ダスティーそんなに私が嫌なのかしら?」
「いえ、そう言う訳じゃ無いんですが」
「苦手なんでしょう。だから誘ったんじゃない。少しは女性になれておかないと何れ大変よ」

「さあ着いたわ」
「此処ですか。随分高そうな店ですが」
「ダスティー行くわよ」

アッテンボローはリーファに腕を組まれて連れて行かれる。
ボーイにリーファが話しかける。
「予約しているロボスですけど」

「はい、お待ちしておりました、お連れ様は既にお待ちでございます」
「リーファ先輩、自分以外に誰か呼んで居るんですか?」
「会ってのお楽しみよ」
「はぁ」

「此方でございます」
「ありがとう」
「リーファ遅かったな」

そこにいたのは父親のロボス提督であった。
その隣にはリーファが年を取ったような感じの令夫人がにこやかに座っていて、
その他20代後半のロボス提督によく似た青年が座っていた。

「お父さん、お母さん、お兄さん、久しぶりです」
「リーファ、彼が話してくれた人ね」
「そうよ、お母さん、ダスティー、両親と兄に挨拶して」

アッテンボローは、うげー嵌められたと思ったが退路を絶たれて逃げようがないので腹を括った。
「初めまして、ダスティー・アッテンボローと申します、
本日は御家族の団欒にお邪魔して申し訳ありません」

ロボス大将が値踏みするように、ジロリとアッテンボローを見ている。
「儂がリーファの父のラザール・ロボスだ」
「私はリーファの母のマリーヤ・ロボスよ」
「小官はリーファの兄で同盟軍少佐、シャルル・ロボスです」

アッテンボローは完全にリーファに捕らえられた蝶々の様になっていた。
「まあ座りたまえ」
「はっ」

「所でリーファと付き合い始めてどの位になるのかね?」
「嫌だわお父さん、未だ健全なお付き合いだよ」
「はっ」

「まあまあ、アッテンボローさんも堅くならないで、家族になるかも知れないんですから」
いや家族には成りたくありませんとは、口が裂けても言えない状態である。
普段の伊達と酔狂で生きているのが嘘のように真剣な状態に成っている。

そして思ったリーファ先輩の戦略にやられたと。
食前酒が運ばれてきて、もうOUTだと知り飲むことにした。
「アッテンボロー君は士官学校の後輩らしいが、何故士官学校へ入ったのかね?」

「お父様、ダスティーのお爺様が730年マフィアと同級生なのよ、
それで768年のバタゴニア星域会戦で戦死してその意志を継いで軍人になったのよ」
「ほう、でお爺様のお名前は何というのですかな?」
ラザールの目が輝き、質問してくる。

アッテンボローは仕方なく答えることにした。
「母方の祖父なのですが。ダスティー・コッパーフィールドと言います」
「おお、あのコッパーフィールド提督のお孫さんか」

途端にロボス提督の機嫌が良くなる。
それ以前は新進気鋭のウィレム・ホーランド中尉とのお見合いを進めてきたのであるが、
アッテンボローの祖父が第2次ティマト会戦で活躍した事を知ると、
娘よ良くやったと喜び始めていた。

「コッパーフィールド提督には新米の頃にお仕えしたことがあってな。
良い方だった。そうか君が提督のお孫さんか」
ロボス提督は、しみじみと若い頃を思い出しているのだろう。

「まあまあ、ダスティーさんはお酒はいけるんでしょう」
マリーヤが朗らかに話してくる。
「はあ。嗜むぐらいなら」
するとシャルルがにこやかに酒をついでくれる。
「じゃあ飲んでくれ、妹を宜しく頼むよ」

考え込んできた、ラザールが真面目な顔をしてアッテンボローへ話しかけて来た。
「アッテンボロー君。私が言うのも何だが、娘は良い子だと思う。
此からも宜しくおねがいするよ。今度ご両親の元へお伺いしなければ成らないな」

慌て出すアッテンボロー。
「いえ、未だ両親には知らせていませんので、何れまたの機会に」
なんとか、誤魔化そうとしまくる。

「もう、ダスティーったら、恥ずかしがっちゃって」
リーファは知ってて、態とシナを作る。
「ダスティーさん、家族と思って家にも遊びに来て下さいね」

「アッテンボロー君。君のような青年がリーファの婿になってくれるのは嬉しい事だ、頼むよ」
ぐわー、リーファ先輩、規定の範囲ですか!
「お父さん、未だ私たち学生だし未成年よ、ダスティーが卒業するまで待ってあげてね」

「そうですよ、貴方気が早すぎますよ」
アッテンボローは、お母さん、フォローありがとうございますと心の中で拝んでいた。
「うむ、アッテンボロー君、君の卒業直前にまた話し合おう、宜しく頼むよ」

「そうよお父様、卒業後にしましょうね」

その後次々に出される料理を食べたが、あまり味を覚えて居ないアッテンボローは、
ロボス夫妻と別れて、シャルルの車で士官学校寮まで送り届けて貰った。
「兄さん、ありがとうね」
「ああ、またな」

車が見えなくなると、リーファが笑い出した。
「フフフフ、ダスティー御苦労様」
「先輩、酷いですよ」
「まあ此でお見合い話も潰れたから、OKね」

「お見合いですか」
「そうなのよ。ウィレム・ホーランド中尉とか言う自意識過剰な勘違い男が相手でさうんざりしていたんだよね」
「それで、ダミーが俺ですか、酷いな」
「あら、8割以上は本気よ」

「先輩冗談はよしましょうね」
「女が冗談でこんな事言うと思うの」
「マジ勘弁」

「逃がさないわよ」
「先輩酔っぱらってるんですよね、正気に戻って下さいー」
「逃げるな!」

アッテンボローは遂に壁に追い詰められた。
リーファがアッテンボローの肩を押さえて、いきなりキスしてきた。
「んーー」
「ん^」

「プファ−」
目がパチクリするアッテンボロー。
「ダスティー、ご馳走様。因みに私のファーストキッスだから」
そう言って、リーファは颯爽と寮へと入っていった。

残されたアッテンボローは呆然としながら、
押し付けられた柔らかな胸の感覚と唇の柔らかさに戸惑っていたのであった。

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ロボスの階級が微妙なので大将から提督へ呼び方を変えました。
 
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