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蒼穹のカンヘル

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六枚目

 
前書き
「朱璃さんTUEEEEEE !!」回。 

 
「HAHAHAHAHAHAHA!のめのめぇ!」

さて、いきなりオッサンの声で始まって訳が分からないだろう?

三行で説明しろだって?

いやいや、そんな事言うなよ…

『アザゼルがお気に入りの店ではしゃいでる』

コレだけの事をそんな三行も使えってか?

あの後ハイテンションなアザゼルに連れられた俺達は堕天使の街に繰り出した。

堕天使の街はニンゲンの街よりも進んでいた。

こっちに来たときはグリゴリ本部エントランスに直接転移したから外が見えなかったのだ。

そしてアザゼルのお勧めの店なのだが…居酒屋だった。

バーでもパブでもなく居酒屋、日本式の、しかも御座敷…

あんた等一応西洋圏が根城だろうが、と思った俺は悪くない筈だ。

「アザゼル、少し落ち着いたらどうだ?
まだ乾杯したばかりだぞ」

ちなみに俺はコーラ、姉さんはオレンジジュースで乾杯しました。

「堅ぇ事言うなよバラキエル!
もっと飲めよ!」

父さんはアザゼルに絡まれてるな。

にしてもアザゼルの奴はっちゃけてんなー…

そんなにストレス溜まってんのかねー?

「あらあら、ウフフ…」

母さんはニコニコしながら日本酒呑んでるし…

姉さん?姉さんは…

「篝~?羽だしてください~」

こんな感じだ。

さっきホールから出る前に触らせて欲しいと言われたので後でと答えて今現在我慢の限界らしい…

「今出したら邪魔になるよ」

「大丈夫ですわ。他に人はいませんから」

そうなのである、この居酒屋…アザゼル一行の貸し切りである。

「篝!出してやったらどうだ?」

アザゼルまで…まぁ身分最上位者が言うなら大丈夫なのだろう…

肩甲骨に意識を集中する…バサッ!

よし、出た。

「姉さん、触っていいよ」

そーいや今はカンヘル出してないけど翼だせるな…

一回出したから?早く翼大きくなんないかな…

「もふもふ…」

ご満悦で何よりです。

「あらあら…篝の白い翼もなかなかいいですわね…」

母さんもモフッてるし…

「うにぃ…」

ああ、きもちぃ…翼って気持ちいいな…

父さんもこんな感じなのかなぁ…

俺と姉さんは時々父さんの翼をモフッてる。

姉さんの翼はまだモフれるほど大きくないし…

と~け~る~……………

「く、コレはなかなか…俺はショタコンじゃない俺はショタコンじゃない俺はショタコンじゃない俺はショタコンじゃない俺はショタコンじゃない…」

「…………………」

アザゼルはなんか頭押さえてるし父さんは黙りこくってるけど…どうしたん?

「にぃ~」

そんな事どうでもいい…きもちぃ…

「おい!篝!顔!顔!」

ん~?なにぃ…

「どしやのぉ~アザゼル~」

「お前の顔ヤバいって!溶けてる!溶けてる!」

「あらあら、本当ですわ…」

「朱璃さん!分かってるなら止めてください!おっと…鼻血が…」

なんかアザゼルが鼻つっぺしてる…

うにぃ…

「朱乃、篝の翼を撫でるのはそれくらいにしてご飯たべましょう。
篝も翼を仕舞いなさい」

あ~モフられるのきもちよかった…

「はーい」

「うにぃ…」

「駄目だこりゃ…」

何がさ?て言うかさっきから父さんが一言も喋ってない…

その後はアザゼルが注文した料理を食べたが滅茶苦茶美味しかった。

流石は堕天使総督が勧める店だ。








そしてある程度食べて大人組は晩酌を始めた。

大体一時間ぐらい経ったが真っ先に潰れたのは父さんだった…

えぇ…そのナリで真っ先につぶれるのかよ…と思った俺は悪くない。

それと姉さんは寝落ちした。

もう十時近いからね…

「ちょっとお花を摘みに…」

ん?母さんがトイレに行ったな…

「おい、篝」

「何?アザゼル?」

今度は何さ…

「ちょっとコレ飲んでみないか?」

と差し出されたグラスは酒だった。

「お酒?」

「飲んでみろ、上手いぞ?」

前世じゃぁ毎年正月にお屠蘇飲むくらいだったしな…今なら呑んでもだいじょうぶか?

「分かったー」

グラスを受け取る…どうしようか…

うん、堕天使の血があるから急性アル中にはならんよな。

俺は受け取ったグラスを一気に煽った

「あ!馬鹿野郎!イッキすんじゃ…」

時既に遅し。

「もどりましたー」

喉が!喉が焼ける!

「ゲホッゲホッ!」

喉が!…………あれぇ?

俺は喉が焼ける感覚と母さんの怒号を耳にしながら意識を失った…

















夢を見た。

何かよく分からない大きな物が四つあった。

そして一際大きい何かが目の前にあった…

目の前にある何かは銀色だった…

それ以外の四つは赤かったり白かったりした…

目の前の何かが大きく口を開き何かを言った…

口を開いた事は分かるのに目の前の何かの全体像は掴めない…













ん…あれ?ここは…どこだ?

俺は気が付くと和室にいた…

机につっぷして父さんが寝ている。

姉さんは畳に寝てるし。

あ、そうか、アザゼルに連れられて居酒屋に来たんだった。

あれ?母さんとアザゼルは?

えっと…たしか姉さん達に翼をモフられて…

料理を食べて…あれ?そのあと…

うっ!頭が痛い…あ、そうだ、アザゼルに勧められて酒呑んだんだった…

いや、ガキに酒勧めるとか親戚のおっちゃんかよ…

スー、と引き戸が開けられた。

「お目覚めですか?坊っちゃん」

着物を着こんだ女性だった。

女将さんだろうか?

「女将さん?」

「ええ、そうです」

聞いてみるか…

「母さんとアザ…総督はどちらに?」

と言うと女将さんは着物の袖で口元を隠して笑いだした。

「奥様と総督でしたら玄関です。
ご覧になりますか?
面白い事になっておりますよ」

「面白い事?」

「ええ、ではこちらへ…」

まだ酒が抜けず、フラフラしながら通されたのは厨房だった。

「あの…玄関では?」

「こちらでいいのです」

と言われるまま厨房から裏口へ…さらにそこから表へまわると…

ああ、うん、確かに面白い事になってるね。

でもさぁ…コレ、不味いんじゃないの?

その光景は何というか…うん、もう言っちゃおう。

正座だ。堕天使総督の。

しかもその正面に立って説教してるのは母さんだ…

「コレどんな状況なんですか?」

「総督が坊っちゃんにお酒を呑ませた事についての説教ですよ」

「ああ、なるほど…」

「かれこれ三時間はこのままですね」

「三時間!?今何時ですか?」

「そうですね…人間の時間で大体…夜中の一時ですね」

堕天使総督を夜中に居酒屋の前で三時間正座だと!?

母さんマジスゲー


この後座敷に戻って寝た。

いろいろあって直ぐに眠りに落ちた。

翌朝、説教は無かったが酒を飲んだ事を注意された…

アザゼル?一日に二回も説教されてショボくれてたよ…

さて、帰りますか!
 
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