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ロボスの娘で行ってみよう!

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第28話 要塞攻略戦作戦準備中

 
前書き
今回会話ばかりです。

この所、非常に調子が良くなく、ラインハルトに負けませんが、12日も更新できません、書く気はあるんですが、頭痛と胃の痛みが酷くて中々考えが纏まりません、申し訳ありません。
 

 
宇宙暦792年2月

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン   

 自由惑星同盟では第5次イゼルローン要塞攻略戦に対する準備が急ピッチで進められていた。 

後方勤務本部では、作戦に必要な物資などの準備が進んでいた。
そこで尤も忙しい補給担当部で更に超多忙なキャゼルヌ大佐の元へ、リーファが訪ねて来た。

「キャゼルヌ大佐、宜しいでしょうか?」
「駄目だと言っても居座るんだろう」
「まあ、そうですね」
キャゼルヌは書類の山に埋もれながらも顔を上げて、手を休めてくれた。

「まあ、いいさ、少しは休まねばならないからな」
「先輩。お疲れ様です」
「で、お前さんも忙しいんだろう」

「ボチボチですね」
「それで、何が必要だ。袖の下無しで話しにのるぞ」
「流石先輩、良く判ってらっしゃる」

「おだてるな」
「ふふ、では帝国軍の戦艦10隻ほどお願いします。此は以前鹵獲したのが有るはずです。あとは無気力化ガス発生装置を10個お願いします」

「何をするのかな?」
「秘密です」
「俺にも?」

「こういう事は勿体ぶった方が有り難みがでますからね」
「尤もだな」
「そう言うモノですよ」

そう言われるとキャゼルヌも頷くしかない。
「話は変わるが、廃艦を集めているようだがどうするんだ?」
「秘密です」
「此も秘密かい」

「とは言いませんよ」
「あのなー」
「ふふ、廃艦は実艦的にするんですよ」

「標的艦か?」
「今回の作戦は、接近戦がメインですからね。戦闘艇パイロットに乱戦の感覚を覚えさすのには丁度良いんですよ、どうせ解体するのに予算がかかるなら標的にした方がマシですからね」
「そんなモノなのかね」

「そんなモノですよ」
「だから改装計画の名称が甲標的計画なのか」
「ですよ」

そう話した後でキャゼルヌの元を退出するリーファであった。
ごく普通に統合作戦本部からのお使いのふりで来ているのであるから、横領が露見して、フェザーンのスパイをさせられている補給担当部第二課長バルサモ大佐もこの来訪はごく普通の連絡事項だと思っていた為に見逃していたが、後に書類を見た結果、統合作戦本部が帝国軍戦艦と無気力化ガス発生装置を求めたことを知り、フェザーンへ連絡するのであった。


統合作戦本部でも作戦参加戦力の準備が行われていた。
リーファは数日後に又、色々と動き出していた。
「スーン。後方勤務本部から、敵戦艦10隻分捕ってきたから、無人艦に改造する手はずをして頂戴、改造の範囲は武装を外して艦首を敵の強襲揚陸艦の様な溶解しながら穴を開ける様にして、それと出来るだけ船体も頑丈にしてね」
「判りました」

「イブリン、例の航路は大丈夫かしら?」
「はい、あと2週間ほどでできあがります」
「お願いね」
「はい」

部下達に指示をしたリーファは又立ち上がり本部長のもとへ行く。
「本部長、出かけてきます」
「判った、許可する」

本部長もリーファに関してはフリーハンドを認めている為に許可も形式だけで呆気ないモノである。そしてリーファは、宇宙艦隊総司令部へ向かう。

「統合作戦本部より司令長官閣下へ書類を持参致しました」
「少佐、御苦労」
そう言われてから、シトレ宇宙艦隊司令長官のオフィスへ案内されて入室する。

書類を出しながら、話し始める。
「良く来たな少佐」
「校長もお変わりなく」
「はは、数日では変わらんよ」

軽口を叩いた後、2人とも真面目な顔になる。
「それでは統合作戦本部で用意している作戦参加戦力予定表です。参加規模は正規艦隊三個艦隊総数四万五千隻、独立艦隊二千隻、此はミサイル艦部隊です。それに特別任務隊四千隻です。合計五万一千隻となります」

「うむ、艦隊編成は決まっているのかね?」
「いえ、本部長曰く参加艦隊に関しては実戦部隊の長たるシトレ大将にお任せするとの事です」
「なるほどな、残りの六千隻はどうなるんだね?」

「はい、二千隻のミサイル艦ですが、今回は旗艦級戦艦のみ有人艦として、他の艦をコントロールします。此は人員の損害を最小限にする為の措置です」
「なるほどな、ミサイル艦部隊は下手をすれば捨て駒に成りかねんからな」

「そうなります、旗艦級戦艦も出来うる限り装甲の強化と機関の増強を行い脱出可能にします」
「判った、残りの四千隻はどうなるのかね」
「全て無人艦にし並行追撃時の先兵にします」

「なるほど、敵の攻撃を吸収させるわけだな」
「それだけではありません。敵は我々と違い兵士は消耗品扱いです。平民が幾ら死のうと騒ぐ市民は居ませんから、居たとしても社会秩序維持局に逮捕されますから。その結果イゼルローン要塞が陥落するぐらいなら、味方殺しをしてもトールハンマーで味方艦隊ごと我々の艦隊をなぎ払うのを躊躇しないでしょうから、その為に無人艦を最初に突っ込ませます」

「無人艦を四千隻とは、後で後方勤務本部から文句が来るのではないか?」
「その点は、廃棄寸前の老朽艦を集めてますから」
「ん?それは標的に使うのではないか?」

「敵を欺くにはまず味方からですよ、キャゼルヌ大佐には後で知らせていますが、あの時点では何処にスパイが居るか判りませんから、会話と書類上は甲標的としてあります」
「なるほど、実艦的ならば廃艦を集めて、それを無人化しても誰も怪しまないか」

「そうなります」
「敵艦と無気力化ガスはどう言うモノなにかね?」
「ああ、それは、囮です」

「敵戦艦をミサイル艦隊と一緒に進ませ、イゼルローン要塞外壁が破壊された時に突っ込ませます、敵がスパイでそれを知っていたとしたら死にものぐるいで迎撃するでしょう、いくら何でも民間人を含む数百万人全員に装甲服や防護服を着させる訳には行きませんから」

「なるほど、しかしガスではあまり効果がないと感じるのでは?」
「良いのです。あくまで嫌がらせ程度に見せるモノです、それに選挙対策が原因の攻撃では下手にイゼルローン要塞を落としたら、そのままイケイケドンドンで悪夢の帝国領侵攻作戦をやりかねませんよ」

「しかしな、軍人としては問題があるだろう」
シトレの言葉にリーファは普段のにこやかな顔から真剣な顔になって話し始める。
「シトレ元帥閣下、今まで同盟は予算の許すギリギリの範囲で戦争をしてきました。しかしイゼルローン要塞を落とした時、果たして同盟市民はそこで戦争を止めるでしょうか?」

「止めないかもしれんな」
「そうです、勝利というのは麻薬と一緒です、酔ってしまうと感性が麻痺してイケイケドンドンに成ってしまいます。そして現在の衆愚政治では政治屋が選挙票の為だけに戦争を行ってますから」

「それでは、少佐はイゼルローン要塞攻略は反対なのかね?」
「今の時点では、反対です」
「今の時点とは?」

「敵の状態次第と言うわけです」
「状態とは?」
「フリードリヒ四世は先頃心臓病で倒れています。更に現在の皇太子は強力な後ろ盾がありませんから皇帝が死んだ場合、後継者争いが起こる可能性が大きい状態です。恐らくリヒテンラーデ侯と軍部、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯の二対決か三巴になるでしょう」

「つまり、その時を狙ってイゼルローン要塞を陥落させるというのかね」
「そうです。陥落後に一気に帝国領侵攻作戦を行い帝国を潰します」
そう言いながら、そこまで旨くは行かないけどねと思うリーファであった。

シトレはその話を聞いて唸り始める。
「つまり、しばらくの間はイゼルローン要塞攻略戦はアリバイ程度に損害を与えておけと言う事か」
「そうなります、味方の損害を最低限にして、敵に最大限の損害を与えて、人的物的財政的にも弱らせるのが良いと思います」

「つまり、無人艦は敵艦隊をトールハンマーで味方撃ちさせる為の撒き餌と言う訳か」
「そうです。どうせ解体するのに予算がかかるなら、有効に使わないと損ですから」
「なるほど、しかし並行追撃が成功して占領できたとして、政府が帝国領侵攻作戦を発動した場合はどうするのか?」

「そうなれば、味方は最大でも12個艦隊+αで戦闘艦艇二十万隻強、敵が18個艦隊に貴族の私兵が居ますから四十万隻ぐらいでしょうね。それでイゼルローン回廊出口で正面決戦、ランチェスターの法則を考えるも無く負けます」

「確かに、そうなる、しかし帝国も相当な損害を得るわけだな」
「そうなりますが、最終的に同盟に残ったのはボロボロの艦隊とイゼルローン要塞だけになりますからね、結局は戦わないのと同じ事に成りますが、12個艦隊が残るのと1個艦隊ぐらいしか残らない差になるわけです」

「確かにそうなるな」
「従って帝国の圧政から民衆を助け出すというお題目さえ無ければ、イゼルローン回廊を閉塞させるのが一番早いんですけど」

「そうも言えんからな」
「確かに」
「少佐御苦労だった」
「では、失礼します」

シトレはリーファの帰った後で、彼女の言葉を反芻しながら考えるのであった。


宇宙暦792年3月2日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン ハイネセンポリス

ハイネセンの裏町のバーでバルサモ大佐とフォーク中尉が飲んでいた、暫くして大佐はトイレに行き、そのトイレの水タンクに持ち出してきた、補給物資と統合作戦本部からの注文を写したメモを沈めた。その後大佐は腹痛だと帰宅したのである。そのメモは素早く回収されフェザーンへ報告され、ルビンスキーの考えに考慮されたのである。

残されたフォークは、ホステスに煽てまくられて、愚痴を言い始めた。
「私は、士官学校でもトップだったのに、何故後方勤務本部なんだ!」
「フォーク様、凄いですわ」
「そうだろう、俺は凄いんだ。なのに統合作戦本部の連中は俺の作戦案を却下しやがった!」

フォークは誘導薬入りのブランディーを飲まされながら、少しずつ話していく。その結果ミサイル艦の側方攻撃関する情報もフェザーンに送られたのであるが、機密のはずのミサイル艦が出たのはリーファが囮として態と流していたからである。


帝国暦483年3月4日

■フェーザーン自治領 自治領主オフィス  
ルビンスキーの元へ同盟軍の戦力が三個艦隊で、その他に無気力化ガスを求めているのを知り、艦隊数は想像の範囲であったが、ミサイル艦を使い、無気力化ガスを戦艦に積むのが気になった。

「無気力化ガスか、装甲服を着れば関係ないであろうに」
「一般市民に危害を与えない為では無いでしょうか?」
「確かに同盟で有れば、考えられるが、果たしてそれだけであろうか」

「確かに、しかし将兵がそれほど無気力化できますかな?」
「だからこそだ、奇抜な手を使うやもしれん」
「では、レムシャイド伯にありのまま伝えますか?」

「うむ。同盟の戦力数に対しては少なく伝えておけ、同盟にも損害を与えておきたいが与えすぎも不味い、何分にもバランスが必要だからな。ただしミサイル艦と無気力化ガスについては、その傷口へ陸戦兵力を進入させると有るから、イゼルローン要塞が万が一にも落ちたら、フェザーンとしても帝国の内情を知られすぎると、商売上《ぼったくり》も不味いからな、確実に伝えておくのだ」

「わかりました」

 
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