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龍天使の羽撃き

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01

 
前書き
自分のガンプラ戦わせる、しかも壊れないとかSS書くしかないだろ! 

 
土星の輪の中。

その氷と岩塊で作られたデブリ帯に大量のスクラップと一機のMSが漂っていた。

メインカラーは銀。

背部には翼のようにシールドが取り付けられており、背部中央と腰部にはノーズコーン状の機械がついている。

さらに両肩には上半身を被うほどのユニットが備え付けられている。

その周囲には火器を装着したシールドが円運動をしている。

その姿はユニコーンガンダム三号機を銀に塗り替え、肩に二基の00QGNドライヴ兼ビットホルダーを、背部に二基の通常GNドライヴを、腰にSEED系レールガンを据え付けたミキシングビルドだった。

そしてそれを操るのは、高校生程の男子だ。

無造作に100人ほど集めれば美形な方ではあるだろう。

コックピットの内壁にウィンドウが開く。

映っていたのはメガネをかけた男だった。

その背景は、どこか宇宙戦艦のブリッジのようだった。

『ヴォジャノーイ君。今どこだい?』

「土星圏だ。ログはそっちにあるだろう?」

『うん。まぁ、そうなんだけどね』

「で、クリスハイト。今度は≪どこ≫だ?」

『地球圏。ヨーロッパだ。詳しい場所は送る』

新たに開いた二枚のウィンドウの内一枚には地図があり、もう一枚には戦闘の様子が映っていた。

「ほー…オーガじゃねぇか…。
クリスハイト。オーガなら手出しは無用だぞ」

『君の仕事だろ?≪GBN運営部不正ツール外部追跡隊長シビルジャッジメンターゼロワン≫?』

「へーへー…給料分の仕事はしますかね…」

青年がコンソールを数度タップする。

「全リミッター解除。TRANS-AMスタンバイ」

青年がそう呟くと、肩部のビットホルダーから片側六枚合わせて十二枚のソードビットと三枚のシールドが機体前方にサークルをつくった。

「TRANS-AM !!」

コンソールが赤く輝き、機体自体も高濃度圧縮粒子の影響で赤くなる。

ビットとシールドで作られた陣の内部に、光の幕が顕れる。

「行くぞカンヘル・クレアード!」

青年がレバーを前に倒し、ゲートをくぐる。

土星圏に静寂が訪れた。










side in

地球圏 衛星軌道上。

ゲートを抜け、カンヘルのトランザムを途中終了させる。

「こちらヴォジャノーイ。衛星軌道上に到達。
これより監視にあたる」

『りょーかいだよ』

カンヘル・クレアード、メインカメラ最大望遠。

2000キロの遥か下。

そこではドムタイプ二機とジンクス系一機、00系一機が戦闘をしている。

その内ドムタイプの一機は紫のオーラを纏っていた。

「ブレイクデカールを一機確認。
静観する」

『わかったよ。ジンクスの彼の性格上引くことはしないだろうしね』

「ああ、それにプレイヤースキルってのはたかだかツールで覆せやしない」

『君が言うと含蓄があるねぇ…
最強最速の機体を唯一扱える君が言うと、ね…』

俺に、その称号は似合わない。

「チャンピオンも使えるはずだぜ」

『謙遜は時には失礼だよ。トランザムとNTDとナイトロと…あと心意だっけ?
その四つの合成速度に認識が追随できるのは君しかいないだろう?』

心意。

それはある意味でのバグでありチート。

ただし、誰でも使える。

このGBNにはイメージ操作系という物がある。

プレイヤーがコンソールやレバーを使って操作する『運動操作系』とは別に、サイコミュユニット用の『イメージ操作系』という物が。

でなければ、十数機のビットやファンネルを全て手動操作せねばならない。

そして、そのイメージ操作系は運動操作系よりも早くダメージや移動速度の計算を行い、世界を書き換える。

その理由は不明だ。

このヴァーチャルリアリティの世界はダイバーの脳を接続している。

人体で最もブラックボックスとなっている脳と深いつながりがあるのだ。

何が起こっても不思議ではない。

たかだか一高校生の俺には理解できない小難しい理屈があるのだろう。

ただ、一つ言える事はサイコミュ系ユニットを使えば使うほど、心意の適正や強度は向上する。

だから、言うなれば心意の使い手はこのGBNにおいてニュータイプやイノベイターと同等の存在と言えるだろう。

事実、数名のダイバーが気合いでビームを弾いているのが確認されている。

モニターを眺めていると、ドムタイプ二機が放ったビームバズーカを00系が紙一重で避けていた。

それはまるで熟練の玄人のような見事なMS捌きだった。

そしてブレイクデカール機のビームがもう一機のコックピットを捕らえ爆散、ポリゴンと化した。

「クリスハイト。あの00のパイロットは誰だ?」

『詳細は明かせないけど、ニュービーだよ』

「ニュービーであの動きを…?」

マスダイバーがオーガではなくニュービーに手を出したのだ。

俺が介入するに十分値する。

だが…

「静観を続ける」

『なんだって!?』

「あの00のパイロットが気になる。
もしや本物かもしれん」

『本物…つまりニュータイプかもしれないと?』

「あぁ、これはゲームであって遊びではない。
GBNのフルダイヴシステム開発者である茅場自身がいつも言っていただろ。
真剣なんだよ。だから、見てみたい」

『わかったわかった。責任は僕が取るよ』

やはり、持つべき物は融通の効く上司だな。

監視していると、ビームバズーカを持ったドムタイプの腕が自壊した。

恐らく機体強度が足りなかったのだろう。

そして、丸腰になったドムタイプへオーガとニュービーが連携攻撃。

ポリゴンと化した。

「Congratulations !!」

思わず感嘆の声が出たが、そのような場合ではないと直ぐに悟った。

オーガがニュービーに襲い掛かったのだ。

奴は強さを追い求める。

故にニュービーと言えど、先の動きを見せた00のパイロットに興味津々という訳か。

だがまぁ…

「ノーマナー行為を確認。
シビルジャッジメンターゼロワン介入する」

『許可するよ』

落ちる。

重力に任せて落下する。

円錐形のGNフィールドで空気抵抗を消しつつ大気との摩擦を減らす。

各部バーニアは全力展開だ。

『ヴォジャノーイ君!00がトランザムをつかった!
だがあの機体ではむりだ!』

要するに、オーガがニュービーに止めを差しちまうって事か…

しかたない。

「トランザム!」

シールドを一枚、先行量子ワープさせる。

「間に合え!」
 
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