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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と雄英体育祭編
  NO.021 第二種目・騎馬戦チーム決め

 
前書き
更新します。 

 
会場はすでに大盛り上がりであった。
出久はもちろんの事、エンデヴァーの息子である轟焦凍と怒涛の接戦を繰り広げた爆豪勝己。
この三人がもうすでに複数のヒーロー達のスカウト候補にエントリーしているくらいだからだ。
そんな中で、

「一位は緑谷さん、二位は轟君、三位は爆豪君……それから42位までの結果はこんな感じね」

モニターに各順位が表示される。
それを見て爆豪が、

「デクならともかく半分野郎にまで負けるなんて……ッ!」

と、少々……いやかなり頭に来ていた。
そんな爆豪になるべく今は話しかけない方がいいだろうと思った出久は黙ってミッドナイトの話を聞いていた。

「次からが本戦よ! みんな、気張っていきなさい! そしてその内容は―――これよ!」

モニターには『騎馬戦』と表示された。
一同はそれで少し考え込む。
個性ありで騎馬戦とはどうやればいいのかと……。
だがそれを説明しない程薄情ではないのでミッドナイトは説明していく。
そして話を聞いていく内に出久の表情は緊張に包まれる。
なんでかって?
そう、一位の選手にはポイントが1000万も振り込まれるからだ。
どうぞ狙ってくださいと言わんばかりの点数に一瞬にして全員の視線が出久に集中する。

「ふぇっ……」

それで猫耳と尻尾がピーンと逆立ってしまっていた。
そんな出久のあざとい姿に男子女子も含めて何人かがハートを射抜かれていたのは、まぁ話さない方がいいだろう……。
そんな感じで騎馬戦のメンバーを決めるためのタイムが設けられたのだが、出久はすでに困っていた。

「(組もうとすると避けられちゃう……)」

出久が誰かに声をかけようとすればフイッとそっぽを向かれてはまた落ち込むを繰り返すという状況。
そんな光景を何回も繰り返していればさすがに出久も自身のポイントが障害になっているのは分かるというもの。

………実際は、出久が誰かに声をかけようとすれば緊張からか猫耳と尻尾が逆立ったままで、断られるとシュン……と垂れ下がるという、猫好きからしたら堪らない光景が広がっていた。
そんな出久の姿に客観的に見学していたプロヒーロー達は、

「あの子、いい素材持ってるわー……」「やっぱり猫耳って至高よね」「お持ち帰りしたいなぁー……」

と、同志が同志を呼ぶ感覚を味わっていた。
それは生徒達も同じくでもうなんとか堪えているという感覚だった。
主に、周りには隠しているが猫好きの心操人使も、そんな出久の光景を目にして利益より先に優先してしまいかねない感情に悩まされていた。

そこに、

「デクちゃん! 私と組もう!」

お茶子がそう言ってきてくれたのだ。
それには出久も嬉しくなって、だが考える。

「で、でも………僕と組むと絶対狙われちゃうよ? 特にかっちゃんとか、かっちゃんとか、かっちゃんとか………」
「デクちゃん、どんだけ爆豪君の事怖いの……? 大丈夫、デクちゃんが本気で逃げたらだれでも捕まえられないって!」
「そう、かな……?」
「うん。それに、仲いい人とやった方が楽しいよ!」
「麗日さん……!」

それでまたしても出久とお茶子の間で不可視の空間が出来上がっていた。
それに目敏く反応する者は今はいないがそれでも注目を浴びるのは仕方がない事で……。
それから出久は頭の中で考えていた人に声をかけた。
相手は飯田だった。

「緑谷君……? 俺と組みたいのか?」
「うん」

出久はそれで自身の考えている戦法をお茶子を交えて話し合う。
その内容は普通なら納得いくものだと飯田も考えた。
だが、今回は勝手が違う。

「すまないが、緑谷君。今回ばかりは断らせてもらっても構わないか?」
「えっ……」

それで少し悲しそうな表情になる出久。
そんな出久の顔を見て飯田は弁解するかのように言う。

「勘違いしないでくれ。もちろん緑谷君という可愛い女子に頼まれたら普通なら断らないさ。だが今回はライバルとして緑谷君と相対したい。入試から今まで事あるごとに俺は君に敗北をしてきた。だから今回は挑戦者として君と戦いたいんだ」
「飯田君……うん、わかったよ」
「わかってくれたか。それに、実はもうメンバーは決まっているんだ」

飯田が進んだ先には轟、八百万、上鳴の三人の姿があった。
轟の視線が出久を見据える。
絶対に勝つという気迫が感じられるからだ。

「デクちゃん、どうしようか……」
「うん……」

それで二人で考え込む。
そこに一人の女子が出久達に近づいてくる。

「もし。よろしかったら私と組みましょう! 1位の人!!」
「「わっ!?」」

出久とお茶子はそれでびっくりした。
それに構わず女子は紹介をしてくる。

「私はサポート科の発目明です! 宣誓の時も目立っていましたから貴女と組めば私のベイビー達の事も大きく宣伝できそうですので利用させてください!」
「あ、あけすけだね……」
「はい。それはもう……」

それから発目は自身の作り上げた作品の数々を出久達に紹介していく。
出久はそれでサポートアイテムについても詳しく調べている経験があってすぐに発目とは気が合っていた。
話に加わることが出来ないお茶子は少しだけ拗ねていたけども……。

「これで後は防御力がある人がいいんだけど……必然的に僕は騎手になるからスピード戦には加われない。かと言ってハウリング・インパクトは妨害行為になりそうだから使えないから、だから後は……!」

それで出久は周りを見回してまだ残っている生徒を探る。
そしてついに相性がいい人物を見つけた。

「常闇君。僕達と組んでもらっても構わないかな?」
「緑谷……? ふむ、理由を聞こうか」
「うん。常闇君には前に入ってもらいたい。そしてほとんどを防御に徹してほしいんだ」
「ほう……? なかなかいい選択じゃないか」
「えっ?」

それで常闇は自身の個性とその弱点を教えてくれた。
その内容を出久は吟味して、発目のサポートアイテムとお茶子の無重力の個性を合わせて、

「うん。これならいけそうだね」
「考えは纏まったようだな。緑谷、俺を選んだからにはうまく使ってくれよ?」
「任せて!」

出久達がメンバーが決まった事によって、こうして盤石とは言えないが防御と逃げ方面に関してはかなりのパワーを発揮する面子になった。
そこにミッドナイトがチーム決めタイム終了の声を上げる。

『さーて、ついに始まるぜ! 鬨の声を上げろ! 今から激しい戦いが幕を上げるぜ!!』

出久達はそんなプレゼント・マイクの声を聞きながら、

「麗日さん!」
「うん!」
「発目さん!」
「はいー!」
「常闇君!」
「ああ!」
「三人とも、よろしくね!」

こうして騎馬戦が始まろうとしていたのであった。
出久はまだみんなに話していない能力も今回は使っていこうと考えていた。


 
 

 
後書き
ヒーロー達はすでに出久の容姿に関して使えると踏んでいる人が何人もいます。
次話で一つ隠している能力を出す予定です。 
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