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おぢばにおかえり

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58部分:第九話 座りづとめその六


第九話 座りづとめその六

「ちっちなんか特にそうだし」
「意外とねえ」
「意外とっていうかかなりってやつ?」
「かなりって何なのよ」
 皆私に凄く何か言いたいのはわかります。けれどそれが何かまではやっぱりよくはわかりません。
「とにかくね、私は」
 少しムキになって言い返しました。
「今は彼氏は別にあれだしそれに年下は」
「はいはい」
「わかったから」
「・・・・・・本当はわかってないでしょ」
 皆の言い方でそれがはっきりとわかります。
「全く。困るわ、そんなの」
「困るも何もねえ」
「これもやっぱり親神様のお引き寄せだしね」
「それで年下の子がちっちの彼氏になるならなったで」
 皆また笑いながら私に言ってきます。
「仕方ないんじゃない?」
「そういうこと」
「凄く不満なんだけれど。ずっと」
 本当に。ここまで言われるのもかなり癪ですし。
「だからふそくは感じないの」
「いつも言われているじゃない」
「うう・・・・・・」
「それにねえ」
 また言われます。しかも今度は。
「ちっち幼く見えるしあれよ」
「あれって!?」
「その年下の子と同級生に見えるかもよ。下手したら向こうが年上なんてことも」
「そんなの冗談じゃないわよ」
 本当に冗談ではありません。
「またそっちに話がいくんだから」
「気にしない気にしない」
「さて、それじゃあ」
 ここで一人が腕時計をチラリと見ます。
「そろそろ時間ね」
「あっ、そうなんだ」
「もう」
 本当にもうっ!?って感じです。朝は何かと慌しくて神殿の前に集まってこうして話をするだけですぐに時間が過ぎてしってしまいます。
「ほら、先生だって集まってるし」
「じゃあそろそろね」
「ええ」
 こんな話をしているとすぐに集合の声がかかりました。それで一年生は一年生で皆で集まってそれから先生が出席を取ります。
 それが終わると神殿にあがります。毎朝の座りづとめです。皆神殿の中で並んで正座してあしきをはろうて、ちょいとはなし、たすけせきこむの三つをします。ここで大事なのはあしきをはろうては二十一回、ちょいとはなしは一回。たすけせきこむは三回を三回して合計九回行うということです。ここが大事なんです。
 私達一年生は西の礼拝場でそれをしますが入る時も大勢なんでかなり混雑します。そこで男の子に言われたことは。
「うわっ、何か急に」
「急に。何?」
「背が低くなってない?」
 何でいきなり朝からこんなことを言われるんでしょう。
「どうしたの、急に小さくなったように見えたよ」
「そんなわけないでしょ」
 急に小さくなるなんて絶対にないです。何処かのネコ型ロボットの道具で小さくなったのならともかく。
「どうしてそう見えるのよ」
「いや、靴を脱いだらさ」
 その男の子は私に言います。確かに靴の分だけ背が大きくなっていましたけれど。それでも別にシークレットシューズでもないですし変わらない筈なんですけれど。
「すっごく小さくなったなあって」
「そんなことあるわけないじゃない」
 その子に言い返します。
「靴は別に何もしていないわよ」
「靴は?」
「ええ、靴はね」
 本当のことなんでそう答えました。
「だって。かえって歩きづらいし」
「歩きづらいねえ」
「ああした上げ底とかの靴って結構大変なのよ」
 だから私は好きじゃないです。ちょっとつまづいたらそれで足をぐねったりして大変なことになるからです。だから私は靴は普通の靴にしています。
 
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