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転生×魔弾の王×萌えもん=カオス

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八本目

「ティグルヴルムド卿。今後はこのルーリックが、貴方の監視役を務めさせて頂く事になりました。
とは言え、このライトメリッツにおられる間、不自由で不快な思いをさせるつもりはございません。
何なりとお申し付けください」

えーっと…

「髪は?」

「剃りました。戦姫様に命の次に大切な物を差し出せと命じられましたので。
本来なら死ぬ筈だった所をティグルヴルムド卿の慈悲によって行き長らえる事が叶ったのだからと」

あぁ、うん。俺のせいか。

なんか…ごめん。

「今更ながらではありますが、あのような恥知らすな行いをお許し頂き、感謝の言葉もございません。
そしてあの弓の神業、まことに感服いたしました。
このルーリック、弓にはいささか自信があったのですが、今はただ己の未熟を恥じるばかりです」

「そ、そうか。うん。取り敢えずよろしく」







ルーリックについてきてもらって、ライトメリッツの人々(まぁここに人間は居ないが)にエレンの事、この国の事を聞いて回った。

曰く、エレンは『戦姫』と呼ばれる存在だとか。

曰く、『戦姫』は『竜具』という武器が選ぶとか。

曰く、このポケモンの国々は『黒龍の化身』を名乗る存在が興したとか。

曰く、『竜具』は元々『黒龍の化身』の持ち物だったとか。

各々の話に差違はあれど、纏めると大まかにはそのような内容だった。

ふむ、黒龍の化身とな?

黒龍…と言えばゼクロム、若しくは色違いのレックウザだが…

これはイッシュとホウエンの伝説だ。

まぁ、その『伝説』とはあくまでも人間が伝える歴史だから、ポケモンの楽園…公国にはまた別の『伝説』があるのかもしれない。

俺としては『竜具』とやらが気になる所だ。

そんなアイテムはアニメ、ゲーム、マンガで登場しない。

そうそう、エレンの長剣。

アリファールというのはその長剣の名前らしい。

『風』を操る力を与えるのだとか。

きっと、あの時の火炎弾はアリファールの力で掻き消したのだろう。

ライトメリッツに来てからの数日、俺はそんな風に情報を集め続けた。





そんなある日、おれはエレンに呼び出された。

情報収集を脱走の意図有りと取られたのか? と身構えるが、そういった事ではなかった。

「おまえ、弓以外には何が使えるんだ?」

「他に得意な武器はない」

「本当か?隠しても為にならんぞ」

「ここで嘘をついても仕方ないだろ。
俺に剣や槍の心得があれば街道のとき、そこら辺の棒切れを拾って応戦していた」

「拗ねるなよ。それだけお前の弓の技この街の者達に衝撃を与えたんだ。
お前に着けたルーリックの変わりようなど、私も驚かされた」

「あんな頭にする必要あったのか?」

「けじめは必要だろう?
ルーリックはむしろ喜んで髪を剃ったぞ」

「喜んで?」

「理由としては2つ。お前がアイツを庇った事と、お前の弓の腕前に敬服したのだろうな。
ルーリックは街で一番の弓の名手だったからな」

はー…成る程。

ん?ルーリックって何のポケモンなんだ?

「なぁ、ルーリックの種族って何?」

「んー?何だったかなぁ…よく覚えていないが…
あの姿になる前は、たしか鳥みたいな姿だったぞ」

鳥…?

「タイプは?」

「草と飛行だったかな…?」

草…飛行…弓…

「うっそだろ…なんでカントーにジュナイパーがいるんだよ…!?」

「ジュナイパー…あぁ、そうそう。そんな名前だったな」

カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウは辛うじて陸続きだから、この四地方のポケモンが別の地方いるのはおかしくはない。

だが、アローラのポケモンが日本にいるのはおかしくないか?

「アイツはお前の監視役も進んで受けた。
もっとも監視役は志願者が多かったがな」

「俺なんて面白いか?」

「おまえな…あれだけの弓の腕と眼を持つ者など、我々…このライトメリッツにはいない」

ふーん…

ジュナイパーってキロ単位の狙撃も出きるとか書いてあったけどな…

誇張表現かな?

「お前の事をもっと知りたい。
案外、他にも隠れた才能があるかもしれないからな。
明日、色々試そう」











もうお馴染みとなってしまった修練場。

そこには木剣や木槍など、武器と称される物が大抵置いてあった。

「どうすんの?」

「好きなものを取れ」

………はっきり言うけどさ…これってイジメだよ…

俺とエレンの身長差どれだけあると思ってるんだよ。

俺まだ子供だよ?

エレンは…容姿から推測するに十代後半から二十代前半。

とは言え女性のなかではそれなり高身長。

そもそも俺は人間、エレンはポケモン…しかも恐らくは6V個体。

攻撃力が高くないエアームドと言えど、単純な力…ポケモンでいう『攻撃力』ではなく他のRPGでいう『STR』はバカにならない。

取り敢えず、袖口にナイフを仕込んでおこう。

リムはこちらを見て面白そうにしていた。

どうやら彼女は彼女で主に振り回されて鬱憤が溜まってるらしい。

両の袖口にナイフを一本づつ。

メインに長剣を選ぶ。

「いつでもいいぞ、ティグル」

と、言われたので、エレンの方へ振り返って、剣を構える。

キリトさんスタイルだ。

剣を振り上げ、振り下ろしながらエレンに突っ込む。

何で読んだかは忘れたが、突っ込みながら切れば、相討ちに持ち込める可能性があるらしい。

「やぁぁぁぁぁ!」

しかしそれは容易くパリングされてしまった。

「そんな物か?」

「ざっけんなコラァ!」

剣を引き絞り、思い切り付き出す。

エレンの体のど真ん中へ向かった木剣は、やはり弾かれた。

「もらったぁ!」

直ぐ様右の袖口に隠したナイフをだして、切りつける。

「おっと…」

「チッ…」

だけど、エレンはナイフを避けて大きく体を倒した。

そこへ、すかさず飛び付く。

「うわ!?なにをする!?」

「勝たせてもらうぞエレン!」

エレンの服を右手で掴んで押し倒す。

馬乗りになり、左の袖口に隠したナイフを首筋に当てる。

「俺の勝ちぃ!どううだエレン!」

とエレンの顔を見ると、頬を染めて俺を睨んでいた。

「?」

ふにょん…

ふにょん?

恐る恐る目線を下げると…

「…………だぁぁ!あ!いや!これは!違うんだ!」

弁明を口にしようとした時…

背中からの衝撃で、おれは意識を失った。

side out











「おっと…」

リムの【みねうち】を食らったティグルが、私の胸にたおれてきた。

「あ」

「『あ』じゃないだろうリム。やりすぎだ」

「戦姫を押し倒したのですよ?
あまつさえ胸までさわって…極刑に処すべきです」

「今のは私の不覚だ。腕試しの積もりで甘く見ていたからな。
ここで必要以上に怒りを示せば笑い者になるのは私達だ」

「エレオノーラ様がそう仰るのでしたら」

ふと、私の胸の中で気を失っているティグルを見る。

「…………………」

こいつの寝顔…結構可愛いな…

もしかしてリムの機嫌が悪いのは…

そう思い、リムを見る。

「なんですかエレオノーラ様」

「いやぁ、なんでもないぞ」

「ならどうしてそんなにニヤニヤしているのですか?」

「リム。ティグルが起きるまで膝枕でもしてやればどうだ?」

「な、何を言うのですか!?」

お、紅くなった。

「お前がティグルの寝顔を見れずに不満そうだったからな」

「な!?」

「そう言えばティグルがここに来た初めの日。
やけに遅かったが、ティグルが起きなかったのではなくお前が起こさなかっ…」

「ティグルヴルムド卿を部屋にお連れします!」

そういってリムがティグルをひょいと持ち上げた。

ティグルを横抱きにするその顔は、照れか羞恥か、紅かった。

「一つ言っておくがティグルは私の捕虜だからな。
かってにキズモノにするなよ?」

「しません!」

リムはすたすたと歩いていってしまった。

「リムにも春がきたか」

なんとなく、胸の奥がチクリと疼いたきがした。
 
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