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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘とUSJ編
  NO.017 事後処理と微睡みの夢

 
前書き
更新します。
書くために読み返していたら警察に玉川三茶さんというまるっきりリアル猫顔の警察官がいたー!?
わ、忘れていたぜ……。 

 
死柄木弔はアジトにワープで帰ってくるなり荒れていた。

「なんなんだあいつは!? 平和の象徴とすら戦えずにおめおめと逃げ帰って来ちまって……」
『おや。どうしたんだい死柄木弔? やけに荒れているではないか?』

死柄木が荒れているとモニターの向こう側から誰かの声が聞こえてきて死柄木は思わず悪態をつく。

「先生……話が違うじゃないか? 脳無は生徒にやられちまったぞ」
『なに……? オールマイトをも越すパワーを備えた傑作が、か……?』
「ああ……。生徒の一人で緑髪の猫女にやられちまったよ……」
『猫女、か……脳無を倒すとは興味深いな。一度会ってみたいものだな』
「そんな悠長な構えで良いのか……? オールマイトを倒すどころか返り討ちにまで遭っちまったよ先生」
『見通しが甘かったみたいだな……作戦を立て直そうか。我々は自由には動けない……じっくり、じっくりと精鋭を集めようじゃないか』

こうして悪の組織は静かに胎動をする。






(ヴィラン)連合と名乗る集団が立ち去ってから少し時間が経過した。
現在警察も到着して捕まえたヴィラン達を送っている真っ最中だ。
脳無も無抵抗で確保されたというから安心だ。
だが、一番酷い傷を負った相澤は今現在病院で治療の真っ最中との事。
生徒達にも出久が気絶して保健室送りになっている以外は特に被害はない。

「あの、出久ちゃんは……?」
「大丈夫。彼女はただの疲労困憊で意識を失っているだけだから。時期に目を覚ますことだろう」
「よかったわ……」

蛙吹はそれで安心する。
相澤がああいう結果になったために絶対的な安心はできずとも、それでもあんな事があったのに誰一人死人が出なかったのは幸いな事であった。
それで安心したのか峰田が一言。

「しっかし……緑谷も人が悪いぜ。あんな隠し玉を持っていたなんてな」
「いえ、出久ちゃんの反応を見ていたから分かるわ。あれは戦闘訓練の時と同じであの場で気づいた力なんだわ、きっと。土壇場の力が出た感じね。でないと気絶なんてしないでしょうし……」
「た、確かに……」

蛙吹と峰田がそれで考察も兼ねて二人で話し合っている中で、それを横から黙って聞いていた爆豪は不機嫌そうに表情を歪めている。

「おい、爆豪。緑谷が心配なのはわかるけど少しは機嫌を治せって」
「誰がデクの心配をしているだって!? 俺はなー!」

爆豪が反論しようと口を開こうとしたが先に切島がある事を呟いた。

「デクになにしとんじゃ、てめぇ~」
「ッッッッ!!!!」

見る見るうちに顔が赤くなっていく爆豪は「クソがッ!」と暴言を吐きながらも切島を殴っていた。
その切島も顔を硬化させていたのでダメージはゼロであるために、これは面白いネタを手に入れていた気分だった。
他の生徒達もそれで各自色々と話し合いをしていた。







保健室では出久が深い眠りについている。
そんな出久にオールマイトが椅子に座りながら寄り添っていた。

「緑谷ガール……君には毎度驚かされるよ。まさかあんな力を持っていたとは……」

あんな、とはまだ出久がもとの姿に戻る前までの姿である大猫の姿の事。
あれにはさすがのオールマイトも度肝を抜かされたに等しい姿であったからだ。
これもまたあの謎の声で発覚した力なのだろう。
そう考えている時だった。

「おんや。よく見ればあの時の少年じゃないかい?」
「リカバリーガール? 緑谷ガールの事をご存知で……?」
「まぁね。5、6年前にヴィランに襲われて命に関わる大けがを負ったこの子を治療したのは私だからね」
「命に関わる!?」
「そうさね……奇跡的に回復したけどあれは私もさすがに匙を投げかけた事案だったからね」
「そのような事が緑谷ガールの過去にあったのですか……」
「ああ……」

リカバリーガールはそれで今の変わってしまった出久の姿を見て、

「(お前さんはいま、そこにいるのかい……?)」

そう謎の事を考えていた。
お前さんとは一体だれの事なのか……?






出久は夢を見ていた……。
そこは上下左右が分からない浮遊空間で出久はそこをただ浮いているといった感じのふんわりとした夢だった。

『ここは………』
『ここはイズクの夢の中だよ』
『僕の、夢の中……?』
『そう』

そんな空間にどこからかあの謎の声が聞こえてくる。

『それにしても、イズクはまた無茶をしたね』
『ご、ごめん……あの時はあれを使わないと勝てないって思ったから……。それより君は一体誰なんだい?』
『分からないかな……? まぁそうだよね。いずれは分かるよ』

謎の声はそう言って続けてこう言った。

『この際だからちょうどいいからこの場でイズクに教えられる個性をほとんど(・・・・)教えてあげるね。まぁ、もうあっても一個か二個しかないんだけどね』
『それって……? 僕に悪影響とかはないのかな……?』
『ないよ。だってもうこの個性達は全部イズクのものなんだから宿主を傷つけるわけないよ』
『そ、そうなんだ……それじゃ教えてもらってもいいかな?』
『うん!』

それから出久は謎の声の主から残り二個の個性の使い方を教わった。
しばらくしてこの空間にいる出久がふと眠気に襲われる。

『あっ…………もう時間切れだね。もうすぐイズクが起きる時間だよ』
『そっか……』
『イズク。安心して……私は絶対にイズクの味方だから。それだけを伝えたかったの』
『うん。信じるよ。ありがとう……僕にこんな素敵な個性達をくれて』
『うん。それじゃもう当分は会えないかな……』
『またいつか会えるよね?』
『当然だよ。だって私とイズクは―――………』

最後の言葉が聞き取れずに出久は眠りから目を覚ます。
目を開けてみればそこは暗いが保健室の中だという事に気づき、さらにはオールマイトが半分眠っているのかトゥルーフォームの状態で船を漕いでいるという知らない人が見たら恐怖映像間違いなしな光景があった。
そんなオールマイトの姿に出久は安心しながらも上半身だけを起こして、

「オールマイト……」
「…………む? 緑谷ガール? 起きていたのか。心配したんだぞ」
「すみません……」
「いや、謝らなくてもいい。それより今日の活躍はみんなから聞いたよ。よくぞ負けないでいてくれた。そして、間に合わずにすまなかったな」
「いえ。なんとか(ヴィラン)連合を撤退にまで追い込めたんですからよかったです」
「しかし(ヴィラン)連合か……そんな連中がいるとはな。バックには何が潜んでいるのやら……」
「そうですね。あ、それよりオールマイト。聞いてください。例の謎の声の人からほとんどの力の使い方を教わりました」
「なんと! もしかして夢の中でかい?」
「はい。今まで僕がピンチか願わない限りは表に出てこれないという事でしたけど、僕に力を受け渡したのか今後はもうほとんど出てこれないそうです」
「そうか……君に力を与えてくれた者は悪しき者ではなかったのだな?」
「はい」

出久はそれだけは自信を持って言えた。
まだ謎は多いけどとにかく悪い人ではないという事だけでも分かっただけ良かったと思う。

「わかった。それでは後でその力も教えてくれな。個性の上書きもしないといけないからな」
「はい」
「しかし……」

そう言ってオールマイトは出久の頭を撫でながら、

「もう一度言うが君達が全員無事でよかったよ。相澤君はまだ治療中らしいが復活は早いという事らしいしな」
「そうですか。よかったです」

それで笑いあう出久とオールマイト。

「緑谷ガール。これからも強くなっていこうな」
「はい!」

こうして出久たちはまた新たに歩き出した。


 
 

 
後書き
後、二個の個性は後程判明いたします。
これにてUSJ編はお終いで、何話かオリジナル話を挟んだ後に雄英体育祭に移りたいと思います。 
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