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NEIGHBOR EATER

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EATING 22

ボーダー本部ラボ 寺島主任研究室

「翼、今日の任務これで宜しく」

「なにこれ?」

「新型トリガー」

「え?いいのか?」

「うん。新型って言ってもトリオン消費量の関係でお前か出水しか使えない」

「試作機?」

「アイビス級の威力のライトニング級の弾速…というか両方にトリオンを振るよう調整した」

「成る程、確かに俺や出水しか使えんな」

「そういうこと」










現在、救援要請を受け、現場に急行中。

屋根を伝い、嵐山隊を助けるため疾走する。

『準備はいいかしら?』

「構わんぞ雪乃」

「いつでもいーよ」

「はい、雪乃様」

先日の一件を経て、清輝隊オペレーターとなった雪乃の声に二人が応える。

『翼君、トリガー起動しなくていいのかしら?』

「これ、今朝貰った試作トリガーだから信用できない。
今は救援…一刻を争う。フリューゲルの方がいい」

「新型ですか?」

「今朝雷蔵に渡された。スナイパー用らしい」

前方に、嵐山隊が見えた。

「雪乃、天撃の許可は出てるか?」

『出てないわ。例え1…いえ0.1%でも天撃の使用許可は下りてないわね』

「先行して。ジャベリンを使う」

『そちらの制限は出ていないわ』

羽を広げ、飛び立つ。

それとも並行して、手にトリオンを集める。

眼下のネイバー達の『目』に狙いを定める。

「行け」

手に溜めたトリオンを投げる。

即座に分割し、形状が変わる。

0.1秒の後、無数の槍と化したトリオンが、全てのネイバーを貫いた。

「清輝隊現着。嵐山、無事か?」

『木虎が足を、俺が腕をやられたが死傷者は出ていない』

「なら早めに切り上げろ。後は俺達が持つ」

交代間際の襲撃だったらしく、嵐山隊の任務時間はあと数分。

故に俺達の救援が間に合った。

『了解………本部からも許可が出た』

揚力を消し、自由落下。

着地直前に再び羽を広げる。

「感謝する、清輝隊長」

「そ、いいからはやく戻れ」

「了解」

嵐山隊が、戦域を離脱する。

去り際に木虎に睨まれたが…まぁ、何時もの事だ。

小学六年生に助けられたのが気に食わんのだろう。

直後、後続のハルと夜架が合流した。

「主様」

「夜架、ハル、被害状況の確認急げ」

「「了解」」

二人が被害確認をしている間に新型トリガーを展開する。

渡されたトリガーホルダーを握る。

「レーゼン」

展開した瞬間、足元から大量の黄色いリボンが発生した。

「え!?」

それは俺の全身を包み込み…

『<戦闘体構築完了>』

「…………」

黄色いミニスカート。

白いシャツとコルセット。

金髪に茶色い帽子と花の髪飾り。

「雪乃。雷蔵を呼び出せ今すぐにだ」

『どうしたのかしら?』

「いいからあのバカと回線繋げろ早く!」

『わかったわ…』

視界の端にコールアイコンが浮かび、数秒で繋がった。

『やぁ翼、気分はどう?』

「一つ聞きたい」

『何?』

「どうして…」









「どうして戦闘体が巴マミなんだよっ!?」

『え?面白いでしょ?』

「面白くねーよ!なんでコスプレしなきゃいけないんだよ!
これ銃型トリガーの試作機だろうが!」

『真面目な話をすると、諸々の技術的問題で一回一回銃身を再構築しないといけないんだ。
で、せっかくだからデザインを単発のマスケット銃にしてトリオン体のデザインを巴マミにしたんだ』

「筋は通っている…と言うとでも思ったかこのバカ!」

『リミッター外したらティロフィナーレもできる再現性の高さを誉めて欲しい』

「お前にぶちかますぞ」

『マミさんに殺されるなら本望。
お前の所のオペレーターに取扱説明書送ったから』

「言いたいことはそれだけか」

『実を言えばトリガーホルダーもソウルジェムにしたかったけど流石に感づかれるとおもってね』

コールオフ。

『翼君、その…試しに使ってみたら?』

「…………」

取り敢えず送られてきた説明書を読む。

マスケット銃を同時に生成出来るのは十本まで。

リミッターを外したらティロフィナーレできる。

サブ武装としてリボンあり。

トリオン供給器官は髪飾りのソウルジェム。

ベイルアウトできるからマミる心配は無し。

「えーっと…翼君?」

「んだよ」

「それが新型?」

「違う、新型はこっち」

手の中にマスケット銃をイメージする。

光が収束し、一丁の銃が現れた。

「正式名称はSPT-28。
通称マジカルマスケットライフル」

SPT-28はスナイパー型試作トリガー28号という意味だ。

「この格好は雷蔵の趣味だ。帰ったらアイツをブッ飛ばす」

「程々にね?」

そこで夜架が戻ってきた。

「主様…? その格好は…?」

「色々あるんだ。察しろ」

「わかりました」

「被害状況は?」

「家屋13棟全壊5棟半壊です。
近くに遺体はありません」

「了解」

ここら一帯、先程戦闘が行われていたエリアは瓦礫の山と化している。

『翼君。次来るわよ』

「OK」

黒い雷が迸り、ネイバーが現れる。

片手に持ったマジカルマスケットライフルをその内の一体に向ける。

引き金を引く。

激しい反動を感じた次の瞬間、ネイバーが崩れ落ちた。

直後、マジカルマスケットライフルが光に消えた。

「ふざけてるだけじゃないんだな…」

今度は十丁同時に召喚し、背後に浮かべる。

「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!」

引き金を引くイメージの直後、光が迸った。

それらはネイバーの甲殻ごと貫く。

中には五枚抜きの射線もあった。

「すごいわね…」

「トリオンレギュレーターのリミッターが一部外れてるからな。
このトリガーはトリオン量的に一般隊員には難しいかもしれない」

「しれない、ではなく確実に困難です。
ライフルを毎回生成するのもかなりの消費でしょう」

夜架の言う通り、通常の銃型トリガーの数倍のトリオンを吸われる。

「近接も試すか…」

説明書によれば、リボンはスコーピオンの上位互換らしい。

正式名称はAPT-87-scc23……アタッカー型試作トリガー87号スコーピオンカスタム23式。

「来るよ、翼君」

「わかってる」

スコーピオンの要領で、リボンを出す。

「主様、それは?」

「スコーピオンカスタム。雷蔵の趣味」

伸ばしたリボンを一閃すれば、ネイバーを真っ二つに切断できた。

「旋空じゃんこれ…」

「スコーピオンなので影浦様のマンティスが近いかと」

たしかに…

「じゃぁ、残りも片付けるぞ」

「「了解!」」











任務終了後。

「雷蔵ぉぉぉぉぉぉぅ!」

「おわっ!? なんだ翼か…びびったぞ」

「一発殴りに来た」

「え、いや、ちょ、まっ…」

べきぃ!

「殴ったね…」

「うるせぇ」

べきぃ!

「二度もぶった!まだ親父にも打たれたことないのに!」

「だまれ」

ばこっ!

『<戦闘体活動限界>』

「じゃぁな、雷蔵」

「あ、明日は反逆の物語見るけど…来る?」

「絶対行かねぇ」




けっきょく行った。
 
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