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獣篇Ⅲ

作者:Gabriella
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7 最凶のテロリストは意外と現代社会になれている。

厳かなガラス張りの部屋の前に来て、重そうな木の扉を虚がノックする。 中から入れ、と声がした。

中に入ると、禍々しい服を着たおじいさま方が何ならとても細い筒のようなものの上に座っていた。素晴らしいバランス力である。


_「そなたか、世にも名高い殺し屋、アンナ・イェラノヴァなぞと謳われる者は。」


よく、悪役とかがボスにやる座りかたをした。一応、敬意を示すためである。

_「そのようなお褒めの言葉をいただきまして、誠にありがとうございます。はい、世間ではそう呼ばれているようですが…(わたくし)にはいまいちしっくり来ませぬ。」


すると彼はこれでもか、というくらいの高笑いをして言葉を続けた。

_「そうか、そうか。そんな優秀な殺し屋が奈落の出身とは。我々もまだまだ安泰ぞ。」

_「ありがたきお言葉にございますわ。」



ちろりと虚を見ると、(かれ)が口を開いた。

_「では、そろそろ任務のお話を。零にも予定が入っておりますもので。」

_「そうかそうか。もうそんな時間か。では、任務の話に移ろう。」



立ちなさい、と合図をされ、立ち上がった。一瞬クラッときたが、なんとか踏ん張った。何だろう、貧血だろうか。

_「お前に課す任務は…現将軍を暗殺することである。」

_「つまり…徳川茂々(かれ)を排除し、次期将軍を立てる、ということにございますか?」

_「そうだ。さすがは話を理解するのが早い。お前なら、やれるだろう?」


皆からの視線がスゴい。

_「…出来る限りのベストは尽くします。ですが、将軍(かれ)には最強の御庭番衆がついております。それに対抗できる自信がありませぬ。 」

しばらくの沈黙の後、彼が口を開く。

_「ならば、そなたの後ろに奈落をつけようぞ。それなら大丈夫であろう?」

_「奈落…ですか…」

_「そうだ。どうだ、朧殿。それで良いか?」


間髪を入れずに(かれ)が応える。

_「ええ。奈落(わたくしども)は構いません。」


はっとして(かれ)を見る。
次は虚が口を開いた。

_「(わたくし)も必要であれば加勢致します。」



_「朧殿、虚殿。そこまで(わたくし)に加勢をしてくださるのは誠にありがたいことなのですが、なぜここまで将軍(かれ)を殺そうとするのですか?」

_「決まっておるだろう?」


黒い笑みを浮かべていた。



まさか、まさか…!

_「もしや…!」

_「そう、おそらくそのまさかじゃ。では、頼んだぞえ。」



ワープして鬼兵隊の船に戻る。着替えてバッグにしまった。持たされていたwifiをスマホに繋ぎ、グループLINEに着いたことを知らせた。
しばらくすると、晋助からメッセージが入った。

_「もうすぐオレたちも着くから、少し待っとけやァ。」

_「また子も、今回は護衛として来ているでござるよ。」

_「楽しみにしてるッスよ。」

_「私は見張りです。」


多分最後は武市だろう。

わかりやした、とスタンプを押しておいた。◯ジェドのスタンプである。

バッグから杖を出して魔法をかけ、杖の先を柄の形にし、その先を作って鞘もつけた。袴の下には例のごとくスパイパンツをはいて、そこに銃を仕込んでおいた。
 
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