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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第五十九話

 
前書き
どうも、新学期が始まりました。胃が痛くなってきた(弱い)。 

 

 
拓海、冬華、春雨、俺の順番で部屋に入っていった。
 
…………皆、やつれてるなぁ。
 
俺が会議室に入って最初にそう思った。
 
呉の大会議室と同じくらいの大きさの部屋の中には、十人くらいの女の子が座っていた。
 
…………駆逐艦四、軽巡洋艦二、重巡洋艦二、軽空母二、戦艦二…………ってとこか。確かに、かなり数が少ない。
 
俺達が部屋に入り終わり、皆の方を見ると、戦艦の一人が声を出した。
 
「けっ、敬礼!」
 
その声はかなり震えていたが、全員敬礼をする。全員の顔を見ると、かなり怯えているようだ。
 
全員が敬礼を止めると、拓海が一歩前に出た。
 
「皆、初めまして。本日より佐世保鎮守府に着任した、提督の長谷川 拓海です。今日から皆の司令塔として頑張りたいと思うから、よろしくお願いします。」
 
拓海はそう言いながらお辞儀をした。まぁ、開幕の挨拶としては、妥当なところか。
 
しかし、佐世保鎮守府の艦娘の皆さんはそうは思わなかったようだ。
 
「あっ、頭を上げて下さい!!」
 
突然、軽巡洋艦の一人が叫んだ。
 
「そうです!なんであなた様が私たちに頭を下げるのですか!?」
 
…………意味が分からなかった。
 
「挨拶の時に頭を下げるのは基本だよ。僕は君たちには挨拶をすべきだと思っている。当然の行為だよ。」
 
皆は、拓海の言葉に、絶句していた。俺と春雨と冬華は、皆に絶句していた。
 
なんでそんなことでコイツらは過剰に反応してるのかが分からない。
 
「さてと、それは一回置いといて。本日より佐世保鎮守府に着任した艦娘が三人いる。じゃ、ふ…………夕立くんから。」
 
…………これ、拓海にとっては罰ゲームなんじゃないかと思い始めた。公の場で夕立って言い直す度に顔を歪めてるもん。
 
「はいっ!呉鎮守府より異動しまして、本日、佐世保鎮守府に着任した、白露型駆逐艦の四番艦 夕立 改二です!皆、よろしくっぽい!」
 
…………拓海がそんなことを言ってるとは露知らず、元気な挨拶をする冬華。
 
「えっと、同じく呉鎮守府より異動してきた、白露型駆逐艦の五番艦 春雨ですっ!よろしくお願いしますっ!」
 
少し照れながらの紹介となった春雨。相変わらず人前で喋るのが苦手な奴だ。
 
さてと、俺の番か。
 
「同じく、呉鎮守府より異動してきた、球磨型軽巡洋艦の五番艦、木曾だ。知ってるかもしれないが、俺は男なのでそこのところよろしく。」
 
念のため、俺は自分が男であることを言った。まぁ、トラック基地の奴等が知ってたんだ。こいつらも知ってるとは思う。
 
「なっ…………!?」
 
「男なのに艦娘!?」
 
「有り得ないでしょう!?」
 
「なんでよっ!!」
 
…………阿鼻叫喚だった。
 
知らなかったなら知らなかったでいいけどさ…………この反応は傷付くなぁ…………。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「関係無いだろう?どうせすぐ死ぬんだから。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
誰かが、そう言った。
 
声の主は、一番奥に座っていた駆逐艦の奴だった。
 
「…………まぁ、関係ないってのには同意見だが、なぜ死ぬと決めつけるんだ?」
 
いつもなら睨み付けているところだが、出会って五分のやつを睨み付けるのは流石にまずい。俺は表情を崩さず聞き返した。
 
「そうじゃないか。艦娘は沈むことが仕事だ。当たり前のことじゃないか。」
 
駆逐艦もあくまで淡々と言う。それが普通であると言わんばかりに。
 
…………艦娘が沈むものだぁ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「沈ませるもんか。」
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺がそう言おうとしたが、それを言ったのは拓海だった。
 
「君たちは沈むものなんかじゃない。深海棲艦と戦って、帰ってるくことが仕事だ。勝手に沈むことは僕が許さない。これは命令だ。」
 
拓海の目は、今までないほど優しかった。隣の冬華の目は物凄く鋭くなってたけど。
 
それを聞いた皆は目を見開いていた。
 
…………一体、どれだけ劣悪な環境だったんだろうか。
 
「さてと、それじゃあ挨拶も終わったところで、最初の任務を言い渡そう。」
 
拓海がそう言うと皆は、明らかに身構えた。いや、身構えなくても…………。
 
「今が一三○○。三十分後に再びここに集合。それより一九○○まで掃除!五十分掃除したら十分休憩!」
 

 
 
間。
 
 
 
「何か質問は?」
 
拓海の一言でハッと我に帰った俺。えっと、こーゆー時は…………。
 
「て、提督ー、夜戦はー?」
 
違う、これ川内。
 
「万が一、掃除が終わらなかったら寝かさないからね。」
 
いや、ネタを振った訳じゃないけどさ。せめて突っ込んでくれ。
 
すると、一人の軽巡洋艦が恐る恐る手を挙げた。
 
「ん、阿武隈。」
 
阿武隈と言われた軽巡は、ビクッと体を震わせたあと、深呼吸をした。
 
「あ、あのっ!班分けとかはあるんですか?それと、どこから掃除するんですか?」
 
阿武隈は言い切ると、ギュッと目を瞑った。少し、震えているようにも見えた。
 
…………さっきから見てると、拓海にかなり怯えているように感じる。まぁ、拓海のことだ。冬華以外は取って食ったりしないだろう。
 
「うん、いい質問だ。全部で四つの班に分ける。榛名、古鷹、弥生、春雨が一班。山城、加古、不知火、夕立が二班。瑞鳳、阿武隈、若葉、木曾が三班。祥鳳、五十鈴、文月、僕が四班だ。」
 
拓海は班分けを言った後で、それぞれの班の担当箇所を言っていった。俺達三班は一階を担当することになった。
 
「あと、三班は一六○○になったら別任務に当たってくれ。」
 
「ん、了解。」
 
だから少し楽な所を担当することになったのか。しかし、三時間で晩飯作れと…………。まぁ、人手はあるわけだし、なんとかなるか。
 
「では、一回解散!」
 
拓海はそう言うと、会議室の外に出ていった。
 
「…………あのー、取りあえず自己紹介してもらっても良いですか……?」
 
春雨は皆の方を向くと、恐る恐る尋ねてみていた。まぁ、確かにそうだ。ここに誰が居るのかはさっきの班分けで分かったが、誰が誰かは分からない。あ、阿武隈だけは分かるか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その阿武隈は、ボロボロ泣いていた。
 

 
 
 
 
 
 
驚いた表情のまま、涙をボロボロ流していた。
 
「…………初めて、褒められた…………。」
 
阿武隈がそう言うと、隣の軽巡洋艦…………恐らく、五十鈴?が、慰めていた。
 
「…………木曾さん。」
 
すると、小声で春雨が話し掛けてきた。
 
「これ、明らかに異常ですよね?」
 
「あぁ。一体何があったのやら…………。」
 
俺も小声で返す。さっきから拓海に対しての態度がおかしすぎる。
 
敬うというより、恐れてるような感じだ。
 
「…………まぁ幸い、春雨と夕立は警戒されてなさそうだから、どうにかしてもらおう…………。」
 
俺は男だから、さっきからジロジロ見られてる。それは呉でもあった。あのときは木曾や天龍が居て良かった。
 
今回は、冬華と春雨に頑張って貰おう。
 
「…………初めまして。榛名と申します。一応、艦隊の旗艦を務めてます。」
 
すると、戦艦の一人が立ち上がって俺達に挨拶してきた。ふむ、こいつが榛名か。戦艦だけど、同い年位じゃないか?
 
「…………私は祥鳳。よろしくお願いします。」
 
すると、それを皮切りに一人ずつ簡単な自己紹介が始まった。
 
「い、五十鈴よ。よろしくね。」
 
「加古ってんだ。よろしく。」
 
「…………弥生です。」
 
そんな感じで、十一人の自己紹介が終わった。残るは一人。
 
さっき、関係ないって言った奴だ。
 
「…………若葉だ。」
 
たった、それだけだった。
 
若葉はそう言うと、窓の外を見始めた。
 
…………何だろう。一人で居るときの木曾を見ているみたいだ。
 
「ん、ただいまー。」
 
すると、開けっぱなしになっていた扉から再び拓海が入ってきた。
 
拓海はいつの間に着替えたのか、ジーンズにパーカーというかなりラフな格好になっていた。
 
「…………拓海、まだこいつらを驚かすのかよ。」
 
いや、確かに提督の制服だと掃除しにくいだろうけどさ。どうせこいつらは驚くぜ?
 
「てっ、提督!?なぜそんな格好を!?」
 
ほら、さっそく榛名が食い付いた。
 
「あー、君達は知らないかもしれないけど、あの制服に着用義務は無いから。精々会議に出るとき位だね。」
 
あ、そうなんだ。じゃあ、毎日のように着てた提督(呉)って…………。
 
「でも…………。」
 
「いいじゃないか。どうせ歳的には対して変わらないんだし、特に敬わなくても僕としては構わない。」
 
まぁ、最初に上司としての尊厳は守らせてもらうけどねと、拓海は締めた。
 
…………あれだな、提督(呉)とは違った感じだな。
 
まぁ、俺は遠慮する気は皆無だけどな。
 
俺はそんな中、若葉が部屋から出ていったのを視界の端で捉えた。
 
 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。佐世保鎮守府のメンバーを決めるときの話ですが、何人かは最初のころから決めていて、後は僕や友人の好みで決めました。好みがバレますね。

それでは、また次回。 
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