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おぢばにおかえり

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26部分:第五話 彩華ラーメンその三


第五話 彩華ラーメンその三

「普通のじゃなくて?」
「だって仮面ライダーカイザ好きだし」
 また仮面ライダーでした。近鉄とライダーばかりなんだから。はっきり言ってその辺りも子供です。でっかい子供です。
「それで先輩が横にね」
「それはお断りするわ」
 だから何で新一君と。
「自転車でもあれなのに」
「じゃあ止める?」
 何でここですっごく残念な顔になるのか。歩いていけばいいのに。
「それじゃあ」
「今日は特別よ」
 その顔見てると。断れません。私も甘いんでしょうか。新一君のそんな顔を見るとどうしても許してしまいます。胸が痛くなる気持ちも入って。
「いいわね」
「よかった。じゃあすぐに行こうよ」
 私の言葉を聞くとすぐに機嫌を完全になおしちゃいました。
「すぐにね」
「ええ。駅の向こうの彩華だよね」
「そこなんでしょ?」
 また新一君に問います。
「今空いてるのは。だからよ」
「うん。それじゃあ乗って」
 もう私の自転車に乗って後ろに乗るように言ってきます。
「飛ばすから」
「安全運転で行きなさいよ」
 自分の自転車の後ろに乗りながら注意します。新一君の身体に後ろからしがみついて。上半身はべったりといった感じで新一君の身体にくっつきます。
「商店街だって人多いんだし」
「そうだね。そっちの方がデートの時間多いし」
「じゃあ早く行って」
 それだと考えがすぐに変わりました。
「短い方がいいから」
「僕は長いのがいいけれど」
「私は違うのっ」
 運転をはじめた新一君に言い返します。
「少しでも短いのがいいんだし。それに」
 ここで詰所の入り口をチラリと見ます。
「他の人にこんなとこ見られたら」
「梶本さんおられないね」
「おられなくていいのよ」
 おられて見られたらと思うと。気が気ではありません。
「何だって思われるじゃない」
「だからデートだって」
「それが嫌なのっ」
 ああ、また怒っちゃいました。新一君と一緒にいつもこうです。立腹は禁物なのに。最近それで八重歯が目立つようになったって言われています。八重歯も気にしてるんです。
「何で新一君なんかと」
「未来の旦那様とデートしてると思えば?」
「・・・・・・天理ダムまで一緒に行く?」
 殺意まで感じました。正直に言います。
「何なら」
「何でそこに?」
「ダムの中に放り込んであげるわよ」
 半分本気でした。
「何で新一君が私の未来の旦那様なのよ。私の未来の旦那様はね」
「うん。どんな人?」
「加藤和樹さんみたいな人よ」
 ファンなんです。すっごく格好いいから。他には外国の方でトラボルタさんとか。あとアントニオ猪木さんに阪神の鳥谷さん。趣味が散らばってますけれど。
「容姿はまあ置いておいて。とにかく真面目でおみちを奇麗に通ってる人よ」
「やっぱり僕じゃない」
「何処がよ」
 全然違います。新一君が?って感じです。
「またふざけて」
「ふざけていないけれどさ」
「それがふざけてるのよ」
 そうとしか思えません。
「本当に。とにかくね」
 ここにずっといると危ないです。行くように急かします。
「行くわよ。いいわね」
「うん。じゃあお姫様」
「お姫様じゃないし」
 何かまた新一君のペースです。
「彩華まで」
「ええ」
 そのまま自転車で駅の向こうまで行きました。新一君の身体にしがみついてですけれど何か風を感じながらで。気持ちいい感じでした。
 あっという間に到着でした。自転車だと本当にすぐです。
「ここだよね」
「ええ、ここよ」
 彩華の前です。赤いお店の外が結構目立ちます。
「じゃあ入るわよ」
「うん。じゃあ僕は」
 お店の入り口でメニューを見ていました。
 
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