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転生とらぶる

作者:青竹
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番外編066話 if ゲート編 02話

 俺達が自衛隊と接触したという事は、当然向こうの自衛隊上層部……並びに、政府上層部にもしっかりと伝わった。
 言葉が通じる相手という事で友好的に接したのが幸いしたのか、取りあえず穏便に話が進む事になった。
 ……まぁ、一応という感じで門の護衛に残してきたイザーク……はともかくとして、レモンに送って貰ったメギロートやバッタを見て、門の側にいた自衛隊員が……そして情報を貰ったお偉いさん達が、俺達を侮れない相手だと認識したのも大きい。
 アルヌスの丘にいた門世界の軍隊や、狭間から聞いた話によればアルヌスの丘を取り返す為に何度かやって来た軍隊を銃や戦車、戦闘機、戦闘ヘリ……そんな科学の力で圧倒したのだから、俺達が自分達よりも圧倒的に高い科学力を持っていると考えれば、その反応は当然だった。
 そんな感じで友好的に情報交換やら何やらをしていたのだが……まぁ、その辺はこちらも後からやって来たエザリアが交渉したので、結果はともかくとして詳しい内容は知らない。
 本来なら政治班の中でもあやかや千鶴といったように、生身でも高い戦闘力を持っているメンバーが来るかという話もあったのだが……門世界の事となれば、それは当然のように俺達にとっても非常に大きい事になる。
 そんな訳で、政治班のトップたるエザリアが出て来たのだ。
 護衛としてエザリアの養子の1人、スティングが一緒に来たのだが、エザリアを見た自衛隊の軍人やら政府の役人やらは、当然のように驚いた。
 当然だろう。普通であらば、異世界との交渉ともなれば、出てくるのは大物だ。
 だが、エザリアは見た目だけでいえば、それこそ20代で十分に通じる容姿をしているのだから。
 ましてや、そんなエザリアの護衛としてやって来たのだが、スティングなのだから、向こう側がこっちを侮るのは当然だった。
 スティングはともかく、実際にはエザリアはそれなりの年齢だったりするのだが……この辺り、コーディネイターの不思議って奴だよな。
 ホワイトスターの受信機の効果で不老になっていたりするのもあるが。
 ちなみに門が開いている状況であれば、ホワイトスターの不老の効果は十分に受信出来るので、この世界にいても年を取るという事はない。
 ともあれ、そんな2人を下に見た日本の人間は……結果として、交渉で大幅に譲歩させられる事になってしまった。
 もっとも、ホワイトスターはわざわざ日本と交渉して得るような物は何もない以上、強気に出ても何の問題もなかったというのもあるのだが。
 向こうからの情報によれば、門世界と繋がっている日本は特に何の特徴――超能力、人型機動兵器、魔法等――がある訳でもない、本当に普通の日本だ。
 正直な話、この日本と取引するなら、それこそネギま世界を始めとした取引で十分間に合う。
 それに対し、向こうはメギロートやバッタを始めとした、俺達が持つ技術力に興味津々な訳で……
 しかも日本が強気に出られない理由としては、この世界の日本はアメリカや中国を始めとして国内で好き勝手に動いている、属国……いや、むしろペットと呼ぶべき存在に等しい。
 ぶっちゃけ、日本と交渉するよりは門世界の国を属国にしてそこから旨みを得た方が手っ取り早いとすら思った。
 それでも、一応日本という国は俺達シャドウミラーとは色々と関わりが深いという事で、交渉を続け……その末に妥協というか、寧ろ俺達シャドウミラーが具体的にどのような存在なのかが分からないという事で、政府の役人をホワイトスターに招待する事になった。

「そして、彼が護衛隊を率いる伊丹二等陸尉です」
「……護衛隊、ね。特に必要があるとは思えないけど……エザリア?」
「仕方がないわ。向こうにしてみれば、ホワイトスターというのは初めて行く場所なんだもの」

 狭間の言葉にエザリアに視線を向けると、あっさりとそう返される。

「それに、私達が何をどう言ったところで、結局この門世界の日本がシャドウミラーをどういう存在と認識するのかは、実際に自分の目で見て貰った方が早いわ」
「……それは否定出来ない、か」

 だが、政府の役人に視線を向けると、そこではかなり緊張した様子の30代程の男の姿がある。
 そして役人の側にいるのは、伊丹とかいう護衛なのだが……こっちは寧ろ、わくわく感が止まらないといった風に見える。
 本当に大丈夫か?
 そんな風に思った俺の視線を感じたのか、狭間は小さく咳払いしてから口を開く。

「こちらの伊丹二等陸尉は、銀座に門が開いた時、国民を大勢避難させ、帝国の兵士達を相手に勇敢に戦い、二重橋の英雄として知られています」
「へぇ……」

 俺が知ってる限り、帝国の軍隊というのは地球における中世……場合によってはそれ以下の存在だ。
 勿論ゴブリンを始めとした異形の存在や魔法という要因もあるので、完全に中世程度と当て嵌める事も出来ないが、それでも大体はそんな感じだ。
 だが、伊丹という男は、こうして見る限りではそこまで強いようには思えない。
 まさか、実は実力を隠し通せるだけの強者か……そう思わないでもなかったが、すぐに有り得ないだろうと却下する。
 ……まぁ、実はFate世界のように、魔法……魔術の類が完全に裏に隠れている可能性も否定出来ず、伊丹がその類の使い手という可能性も否定は出来ないのだが。
 ちなみに裏に隠れるという意味ではネギま世界の魔法もそうだが……隠蔽という意味では、圧倒的にFate世界の方が上なんだよな。
 ネギま世界とかは、何だかんだと麻帆良で噂になったりもしてるし。

「分かった。まぁ、そこまで緊張する様子はない。門が出来たのは、ホワイトスターの中でも人がいない地区だからな」

 取りあえず伊丹に対する判断は強さではなく頭の回転の早さが優秀なのだろうと判断し、ひとまず棚に上げて置く事にするのだった。
 そうして挨拶が終われば、俺達は自衛隊の建物を出る。
 建物の外には、伊丹の部下と思われる軍人……いや、自衛隊員の姿があった。
 全部で10人。
 ……その中でも一際目立つのは、小柄な女だろう。
 いや、その小柄な身体に似合わない巨乳が目立つという訳ではなく、純粋に生身での戦闘能力という点ではこの中で1番高いという点だが。

「では、これより護衛任務を行う。皆、シャドウミラーの面々に失礼のないように」

 伊丹の言葉に、自衛隊員達が揃って敬礼し……政府の役人を引き連れ、俺達は門のある方に向かう。
 もっとも、門のある場所は自衛隊の基地からそう離れている場所ではない。
 それこそ、すぐ側と言ってもいいような場所にある。
 だからこそ、俺達は建物を出てからすぐに門の側に到着した。
 門の側では、量産型Wやメギロート、バッタといった者達が警備をしている。

「うわ……」

 伊丹の部下の誰かが、不意にそんな声を漏らすのが聞こえてきた。
 いやまぁ、普通の――という言い方が正しいのかどうかは分からないが――日本の自衛隊にしてみれば、メギロートやバッタのような虫型の機動兵器を見れば、当然のように驚くだろうが。
 おかげで……という言い方もどうかと思うが、顔を隠している量産型Wを見ても特に何も言わないどころか、安心した様子すら見せていた。
 今はいいけど、恐らく量産型Wがどのような存在なのかを知れば、日本ではかなりの批判は巻き起こるだろう。
 人権云々もいいが、それに完全に足を引っ張られている形だな。

「アルマー代表、その……大丈夫でしょうか?」

 日本から派遣されてきた役人が、俺の方を見てそう尋ねる。
 メギロートとバッタは、それだけ強烈なショックを与えたのだろう。
 一応、メギロートやバッタに関しては、情報が既に自衛隊から上がっている筈なのだが……百聞は一見にしかずって奴か。

「問題ない。ただ……妙な行動を取れば、話は別だけどな」

 実際、政府の人員はともかくとして、自衛隊の方はこっちの情報を少しでも探る為に何か妙な行動をしかねない。
 であれば、ここできちんとその辺りの事情について説明しておいた方がいいだろう。
 その上で妙な真似をして何らかの被害を受けても、それは俺の知った事ではないのだから。
 しかし、護衛を率いている伊丹は、そんな俺の言葉に対して、特に何を感じた様子もなく……いや、それどころか感心したような様子でメギロートを見ている。

「分かりました。いいかー、皆。アルマー代表の言葉を聞いたな? 迂闊な真似はしないようになー」

 どこか気の抜ける命令の仕方。
 これはわざとやってるのか? それとも、天然的な行為なのか?
 ともあれ、何だかんだと他の自衛隊の面々の力が抜けたのを見れば、今の行為は決して無駄ではなかったという事なのだろう。
 そうして、俺達は門を通り……ホワイトスターの中に出る。

「ようこそ、シャドウミラーの本拠地、ホワイトスターへ」
「……本拠地、ですか? 本国ではなく?」

 政府の役人が不思議そうに尋ねてくる。
 そんな様子を見て疑問を抱き、エザリアに視線を向ける。
 俺の視線の意味を理解したのだろう。エザリアは小さく頷きを返す。
 なるほど。どうやら、ホワイトスターが次元の狭間にあるというのは、向こうにまだ情報を教えていないらしいな。

「そう言い換えてもいい。植民地って訳じゃないし」
「……植民地、ですか?」
「ああ。まぁ、その辺はそのうち情報提供出来ると思う。それより……ほら、迎えだ」

 そう言い、俺の視線が向けられたのはエアカーならぬ、エアバス。
 ようは、空中に浮いているバスだ。
 何故かその運転手をコジローがやっていたが、恐らく技術班の方で何かあってそれに巻き込まれ、罰ゲームでもさせられてるんだろう。
 何だかんだと、SEED世界の時からその手の受難は変わらないな。
 下手に真面目だからこそ、変人揃いの技術班では割を食う事になるんだよな。

「うおっ、ちょっ、見て下さいよ隊長! あのバス、浮いてますよ!?」
「うわぁ……何だか、あのメギロートやバッタとかいうロボットを見ただけでも高い技術力を持ってるのは予想出来たけど、これも地味に効くな」
「ちょっと、隊長! 騒がないで下さい。向こうに悪い印象を与えたらどうするんですか!」
「いや、だってさクリだってそう思わないか?」
「おっほん!」

 役人の咳で我に返った伊丹達。
 そんな伊丹達を鋭い視線で睨み付けると、役人はエアバスに乗り込んでいく。
 伊丹達も、少しやっちまった感を出しながらも、エアバスに乗り込み、俺とエザリアもそれに続く。
 そうしてエアバスが出発し……

「その、アルマー代表。人の姿が見えないようですが……」

 伊丹が不思議そうに尋ねてくる。

「だろうな。この辺りは普段使われていない区画だから、おかしな話じゃない」
「えっと、使われていない、ですか? 建物とかが普通にあるように見えますけど」

 疑問に思うのも、当然だろう。
 普通であれば、使っていない区画というのは、それこそ更地になっていたり、もしくは建物があってもどこかうらびた雰囲気があってもおかしくはないのだから。
 だが、ここにある建物の類は新しいままで、新品同様であると言っても間違いではない。
 この辺り、素材的な問題とかもあるだろうし、一応いつでも使ってもいいように量産型Wやバッタとかに掃除をさせているらしい。
 特に今日は日本からホワイトスターに人がやってくるってことで、マリューや千鶴が結構張り切っていたしな。
 周囲の様子を興味深そうに見ている間にもエアバスは進み続け、やがて人のいる居住区画へと入る。
 そうなれば、当然のように商売をしている者達もおり……

「ってえええええええええええええええええっ! ちょっ、た、隊長! 隊長! ほら、あれあれ! エルフですよ、エルフ!」
「本当か倉田!? うわ、マジでエルフがいる……」

 倉田と呼ばれた男の言葉に、伊丹が窓に張り付く。
 まぁ、何だかんだとエルフはホワイトスターの中で住んでいる種族という点で考えれば一番多い。
 基本的に交流区画で商売をしている者達は、全員が各世界から毎日のようにホワイトスターに通ってきているという形だ。
 純粋にホワイトスターに住んでいるのは、結局のところシャドウミラ-のメンバーしかいない。
 そうである以上、エルフの人数が一番多いのは当然の事だった。

「見ろ、倉田! あそこではエルフじゃない普通の人間が魔法を使ってるぞ!」
「た、隊長! 魔法云々以前に、空を飛んでる? もしくは走ってる人がいます! しかも。追いかけてるのも人間じゃなさそうです!」

 久しぶりに魔法球から出て来たのか、技術班の面々が虚空瞬動を使って逃げているのを、茶々丸が追いかけているのを見ながら、叫んでいる者以外の連中も驚愕するのだった。 
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