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世界に痛みを(嘘) ー修正中ー

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B・W編
  アラバスタ王国

 ドラム王国を無事出発したルフィ達

 メリー号はビビの故郷であるアラバスタ王国へと舵を切る。

 5日病に陥っていたナミの体調も無事回復している。
 チョッパーという新たな仲間も加わり、メリー号の甲板の上はより賑やかなものになっていた。

「今さらだけどワポル達を倒してくれてありがとうな」

 そんな雰囲気の甲板上にてアキトに礼儀正しくペコリと頭を下げるは新たな仲間であるチョッパー

 チョッパーはドラム王国にてワポル達を撃退してくれたことについてアキトに真摯にお礼を述べていた。
 此方との距離感を未だ測りかねているのかその様子はどこかよそよそしいものではあるが
 
「そんなにかしこまる必要はないぞ、チョッパー。あいつらを潰すことがDr.くれはと交わした約束だったからな」

 アキトはDr.くれはがナミの治療を引き受ける交換条件としてワポル達を撃退することを約束として交わしていた。

 ワポル達を大海に沈める代償に今の自分の体はバッキバキであるが問題ない。
 ナミが無事全快したのならば安いものだ。

 ドラム王国の件でチョッパーがよそよそしい態度を取る必要はない。

 アキトは親し気な口調でチョッパーに語り掛ける。
 親睦を深めるには先ずお互いに遠慮を無くすことが一番であろうと考えた上での行動だ。
 此方は別にそのことは気にしていないと、言外に伝えることも忘れない。

「そ、そうか……。そう言ってもらうと助かる」

 苦笑しながらはにかむチョッパー。
 やはりチョッパーは可愛らしい。
 加護欲をくすぐられるとても可愛らしい容姿をしている。

「これからよろしく、チョッパー」

 アキトは微笑を浮かべながらチョッパーに手を差し出す。

「ああ、よろしく頼む、アキト」

 チョッパーもそんなアキトの様子につられてへにゃりと笑う。
 一歩彼らの距離が近付いた瞬間である。

 それ以降もメリー号の甲板上では賑やかな時間が続いた。

 カルーを餌として釣り竿を握るルフィとウソップに拳骨を振り下ろすビビ
 何故か釣り竿から救出されず、鳴き声を上げるカルー
 ビビから制裁を受けたにも関わらず依然としてカルーを餌として釣りに精を出すルフィとウソップの2人
 キッチンにて親し気に言葉を交わすアキトとチョッパー
 その様子を嬉しそうに海図を描きながら見つめるナミ
 硫黄臭い蒸気の海域に突っ込むメリー号


 その後、蒸気溢れるホットスポットを抜けた途端、カルーを餌に海からオカマが釣れた。
 餌として釣り竿に引っ掛けられていたカルーにぶら下がる形でオカマがぶら下がっている。

 そのオカマはカルーの存在に驚愕し、眼下の海へと落ちてしまう。
 海面から気泡がブクブクと出ているが当人であるオカマがその姿を現すことはない。
 仕方無くルフィ達が救出に向かった。


「いやー、本当にスワン、スワン」

 奇抜な服装を着たオカマは右手を顏の正面に掲げながら謝罪の言葉を口にする。

 オカマは無事ルフィ達の手によって海から救出され、今はメリー号の甲板の上に座している。
 彼の全身は海水でびちゃびちゃであり、甲板上に海水が滴り落ちている。

 見れば見るほど珍妙な身なりをそのオカマはしていた。
 顔には強烈なメイクを施し、背中からは2羽の白鳥と思しき鳥の頭部を現している。
 服装はまるでバレエダンサーを彷彿させるものであり、実にインパクトに残る服装をしている。
 しかも太股より下は丸見えだ。

 一度相まみえれば生涯記憶の中に焼き付けられること間違いなく、視覚の暴力の権化そのものであった。
 神経もかなり図太い様で救出してもらうのに飽き足らず温かいスープを所望している。

「泳げないってことはお前何かの能力者なのか?」

 そんな中ルフィは興味津々といった様子で素朴な疑問を投げ掛ける。

「なあ、一体何の能力なんだ?」

 ウソップも気になって仕方がないようで身を乗り出しながら疑問の声を口にする。

「ん~?あちしの能力?そうねい、助けてくれたお礼も兼ねて見せてあげるわ」

 オカマは上機嫌にそう答え、実にノリノリな様子で立ち上がる。

「これがあちしの能力よーう!」

 突如、そのオカマは無抵抗な状態のルフィの顔面へと掌底を放つ。

「手前ェっ!?一体何を……!?」

 ゾロ達は即座に臨戦態勢に移る。
 見れば誰もがオカマの突如の奇行に驚愕を禁じ得ない様子だ。

 無論、アキトも例外ではない。
 いつでも目の前のオカマを撃退できるように身構えておく。

 もし仮に先程の掌底がアキトに向かっていたならば反射的に対処していたことは間違いない。
 言うまでもなく怪我を負っていたのはオカマの方であっただろうが。
 手首は折れ、手首から先はひしゃげ、甲板上からは弾き出され、その身を海へと再び落としていたことだろう。

「待ーって待ーって、待ーってよーう!お礼だって言ったじゃなーいのよーっ!」
「…な…にっ!?」
『……!』

 見れば目の前にはオカマの姿をしたルフィの姿が上機嫌に珍妙なポーズを取っている。
 驚くことに声も、体格も、姿もルフィ本人と全く同じである。
 服装はオカマ服のままであったが、ゾロ達は眼前の光景に言葉が出なかった。

 その名を"マネマネの実"
 触れた相手の容姿を即座にマネる能力
 その名の通り赤の他人へと容易に成り代わることができる能力である。

「そしてこの"マネマネの実"の発動条件は一度でも成り代わる相手の頬に触れておくこと……」

 そしてマネマネの実の能力を説明する傍ら当人であるオカマは呆然としているルフィ達の頬を順に触れていく。

 アキトは自身に迫り来るオカマの手を躱すことで難を逃れる。
 自分と全く同じ顏を見るなど真っ平ごめんである。

 アキトの隣にいたナミもアキトに腕を引っ張られる形で後方へと下がり、何とかオカマの魔の手から避難することに成功していた。
 体格もそのまま変幻自在にマネることが出来るということは女性の身体にも変身することができるということだ。

 もしナミの姿で何か良からぬことでもするつもりならば自分はこのオカマを即刻壁の染みにする腹積もりである。
 物理的にお前を壁の装飾の一つに加えてやろう。

「一度でも相手の頬に触れておけばそれ以降も……」

 ウソップ、ゾロ、チョッパーと瞬く間に他人の顏へと変化させ……

「誰のマネでも完全に成り代わることがで~きるってわけよう!」
 
 自身の頬に触れ、これまで記憶した多種多様な顏へと即変わりしていく。

「過去に触れた顏は決して忘れな~い」

 ルフィ達はオカマの繰り広げるショーに心奪われる。
 ゾロとナミ、アキトの3人は嘆息するしかない。
 ビビは困惑の声を上げている。

「「「「ジョーダンじゃなーいわよーう!ジョーダンじゃなーいわよーう!」」」」

 終いには互いに仲良さげに肩を組むルフィ、ウソップ、チョッパー、オカマの3人と1匹
 終いにはオカマ口調で喋りながら、踊りに踊り始めた。

「やってろ……」

 ナミは最早頭が痛いとばかりに呆れた表情を浮かべる。

ほんとそれ

 アキトもナミと同じく呆れた様子でため息をつくしかなかった。



 その後オカマ男の仲間達と無事合流し、驚愕の真実を告げメリー号を去っていった。
 あのオカマこそがB・W(バロックワークス)のオフィサーエージェント、Mr.2・ボン・クレーであったのだ。

 ビビ曰くMr.1とMr.2のペアには遭遇したことは無かったらしい。

 Mr.2の特徴は大柄のオカマにしてオカマ口調
 愛用するは白鳥のコート
 そのコートの背中に大きく記されるはオカマ(ウェイ)
 これらがビビが知り得るMr.2の特徴であるらしい。

「「「まんまじゃねーか」」」

 ルフィ、ウソップ、ゾロからのビビに対するへ総ツッコミが炸裂する。

 ビビは先程Mr.2が見せた老若男女の他人の顏の中に自分の父であるアラバスタ王国の国王、コブラの顏もあったことに冷や汗を流す。

 奴がB・W(バロックワークス)の一員であるならばこれは由々しき事態だ。
 B・W(バロックワークス)の最終目標がアラバスタ王国の乗っ取りであることを考えるならば国王の顏の使い様は幾らでもあるだろう。

 加えて、先程自分達の顏も奪われた。
 B・W(バロックワークス)と全面戦争を迎えるならばこれ程面倒なことはない。

 "マネマネの実"の存在は仲間内で疑心暗鬼を生み、単独行動を大きく制限されてしまう可能性を秘めている。
 先程まで共に行動していた仲間が敵で背中から一突きという事態にも陥りかねない。

「だが、B・W(バロックワークス)の奴らと遭遇する前にMr.2の能力を知ることができたのは好都合だ。これで対策を立てることができる」

 ゾロが得意げにそう述べる。

「この目印を各自自分の左腕の手首に記し、テーピングで覆ってくれ」
「よーし、これから先アラバスタ王国で何が起きようがこの目印が…」



『仲間の印だ』
 
 ルフィ達は円陣を組むように甲板上にて左腕を突き出す。
 この左腕の印こそが仲間の証

「……よし、じゃあ上陸するぞ」





「……メシ屋に!あとアラバスタ」
「アラバスタはついでかよ」
「今くらいはカッコ良く締めようぜ、ルフィ?」
 
 そんなルフィに対してゾロとウソップの2人は嘆息するしかない。
 こうしてルフィ達はアラバスタ王国の港町『ナノハナ』へと向かい始めた。







▽▲▽▲







 港町『ナノハナ』の岸辺にメリー号を無事停泊させたルフィ達

 船長であるルフィは『ナノハナ』に着いた途端、我先にとメシ屋へと駆け出していったためこの場にはいない。
 もう少し船長であるルフィには危機感というものを持って欲しいとゾロ達は切実に思う。

 また、リトルガーデンにて遭遇したMr.3の船を沿岸に見つけ、『ナノハナ』に辿り着く前には遠方にビリオンズの船も多数確認した。
 このことから今やアラバスタ王国にはB・W(バロックワークス)の幹部とその部下達が集まってきていることを物語っている。

 そんな中残されたゾロ達は港町である『ナノハナ』の外れにいた。
 ゾロ達は食事、ナミとビビの2人はサンジが選んだ服装に身を包んでいる。

「こういうの好きよ、私!」
「でもサンジさん、この服装って踊り子の衣装なんだけど……」

 ビビが遠回しにサンジに苦言を申し立てる。
 確かに彼女の言う通り今彼女達が来ている服装は露出が激しく、サンジの趣向が全面に表れていた。

 お腹は露出し、胸もかなり露出している。
 これでは変装どころの話ではなかった。

「で、でも砂漠を歩くにはこの服装だと……」
「大丈夫、大丈夫。もしもの時は俺がビビちゃん達を運んであげるから♡」

 聞く耳持たずのサンジ
 明らかにナミ達の服装を選ぶ人員の選択ミスであった。

「は、はは……」

 ビビはそんなサンジの様子に苦笑いを浮かべることしかできない。

「ふふーん、アキトどう?」

 対して自らの肢体を惜しげもなく晒し、アキトに見せつけるナミ
 ナミの目の前にはゾロ達と共に食事をしていたアキトがいた。

 アキトは無言で親指を力強く突き出し、全面同意の意を表す。
 先程オカマのあの奇抜な存在を目にしたアキトの目が浄化されていく。
 
「は、鼻が曲がりそうだ……」

 『ナノハナ』の香水には刺激が強すぎるものがあり、チョッパーはその匂いに苦しめられていた。

「ふふーん、これとか?」

「ウオオッー!?何やってんだ、お前ッ!?」

 ナミはわざとチョッパーの目の前で香水を振りかける。
 そんなナミの頭にアキトは手刀を落とすのであった。

 これでアラバスタの砂漠を越えるための物資は整った。
 ゾロ達はルフィがこの場に戻り次第即刻出発することを決意する。
 先ずは反乱軍の暴動を止めるべく反乱軍のリーダーが在住する本拠地である『ユバ』を目指す。

「それよりも何かさっきから広場の方が騒がしくないか?」
「海賊でも現れたのかしら……?」

 ゾロが思案気に壁越しに町の中を覗けば……

「逃がすなーっ!」
「追えーっ!」

 我らが船長であるルフィが海軍に追い回されていた。

 ルフィは自ら騒ぎを起こし、此方へと持ってくる体質らしい。
 たちが悪いことに本人はそのことに無自覚である。

「そこにいるのか、ゾロッ!?」
「何ィーッ!?」

 しかもルフィは獣の本能とも呼べる嗅覚で此方の存在に気付いてしまった。
 海軍の追っ手を引き連れて此方へと考え無しに突っ込んでくる。

「手前ェ、こっちを巻き込むな!?」
「逃がさん!"ホワイト・ブロー"!!」

 ルフィに迫るは白煙の拳
 自然(ロギア)系の能力者の拳がルフィへと迫る。

「"陽炎(かげろう)"!」

 突如、ルフィを守るが如く炎が現れる。
 その炎はまるで意思を持っているように一人の男の元に集まっていった。

「エ、エースッ!」

 ゾロ達は買い揃えた物資を手に即座にその場から駆け出す。
 "エース"と邂逅したルフィ達はその場から一目散に逃げだし、メリー号へと帰還していった。



「……できの悪い弟を持つと心配なんだ。大変かもしれないがこいつのこと頼むよ」
「次に会う時は海賊の高みだ」 


「"火拳(ひけん)"!!」


「来いよ、ルフィ。海賊の"高み"へ……」

 その後、ルフィの兄であるエースは奇妙な置き土産を残し、颯爽と去っていった。

「嘘よ…嘘…。あんな常識溢れる人がルフィのお兄さんなんて……」
「はー、分かんねーもんだな」
「兄弟って素晴らしいんだな……。俺感動したっ!」
「ちょっと、皆、言い過ぎじゃ……」
「おい、ルフィ。お前もお兄さんくらい常識を弁えて行動してくれ」
「んー、何だって、ウソップ?だっはっはっはっはっは!」

ほんとそれ

 ゾロ達はルフィの兄であるエースを褒め称える。
 チョッパーは感動の余り涙を流している。
 ビビはゾロ達のその余りの言い様に困惑の声を上げていた。



 その後、ルフィ達はサンドラ河を抜け『緑の町エルマル』に到着する。
 最寄りの岸辺にメリー号を停泊させたルフィ達

 今この場にいるのはカルーを除いた全員だ。
 カルーは先程ビビの父である国王宛ての手紙を主人から受け取った伝書を届けるべく一足先にアラバスタ王国へと先行している。

 カルーの目的地は『アルバーナ』
 その伝書にはビビとイガラムさんの2人がこれまで調べ上げたクロコダイルとB・W(バロックワークス)の陰謀の全てが記されている。
 
 ビビはカルーならば無事に父のコブラに手紙を届けることができると確信し、自身も気合を入れなおす。
 
 全ての準備が全て整った。
 各自がそれぞれ荷物を手に持ち、次なる目的地『ユバ』へと向かう。

 踊り子衣装であったナミとビビの2人は砂漠の気候に備え、上着を羽織る。
 サンジは一人寂しく、隅っこで悲しみの涙を流している。

 見ればウソップが"クンフージュゴン"と呼ばれる珍妙な生物にボロカスに敗北していた。 
 ウソップの状況を見兼ねたルフィが動物相手にルフィは躊躇無く拳を振り下ろり、勝利する。

 見れば負けた相手に弟子入りする掟に従ったクンフージュゴンが何時の間にか数十匹仲間として加わっている。
 皆がルフィの指導の下ファイティング・ポースを取っていた。

「違う!構えはこうだ!」
「「「「「「クオーーッ!!!」」」」」」

 その後、こんな大所帯で行動していては目立ってしまうため食料を交渉材料として提供し何とか手を引いてもらうことになった。

 ルフィ達の次なる目的地は反乱軍の本拠地である『ユバ』



―しかし、ルフィ達が順調に行動する一方でB・W(バロックワークス)の幹部達も続々と集結していくのであった― 
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