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ロボスの娘で行ってみよう!

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第18話 昇進配属


ラインハルトに負けませんの99話100話を作成中。仕事が忙しくて中々UP出来ずに済みません。
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第18話 昇進配属

宇宙暦788年7月16日 

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン

 エル・ファシルから脱出してきた輸送船団と救援に駆けつけ帝国軍を完膚無きまでに叩きつぶした第8艦隊がハイネセンへ揃って帰還した。これは国防委員会及び統合作戦本部と宇宙艦隊司令部の指示で、ドラマチックに演出をしたいが為に同盟軍報道部が策略したのである。

ハイネセン民間宇宙ステーションにヤンの率いる輸送船団が次々に着岸していく。港に入る前に多くの民間船が発光信号で無事の帰還を祝ってくれている。船団内の避難民達はハイネセンを見ながら感傷に耽る者、此からどうすれば良いのかと考えている者など十人十色であった。

船橋ではこの脱出劇の立役者2人がハイネセンを見ながらホッとした表情で話している。
「ヤン、帰ってきたな」
「ラップ、そうだ、帰ってきたんだ」

「しかし、此から大変だな、シャンプールでもだが、俺達が今回の脱出のシナリオを作ったことになってるが、元はと言えばリーファの手柄だろう」
「そうなんだろうけどね、上からそれを話すなと言われたんじゃ仕方が無いのかね」

「やはりあれか、リーファの作戦書が余りの出来なので、表に出せないと言う訳かな」
「恐らくそれもあるだろうね、あとはメンツじゃないかな?」
「なるほどね、上層部は失態だらけだから、大々的に俺達を持ち上げる気か」

「はーあ、堪らんね。私は客寄せパンダじゃ無いんだけどね」
「俺だって同じだよ、どうせ国防委員長辺りと握手させられて、
その写真が選挙の票集めのポスター辺りに成るんだよなー」

「全くだ、堪らないね。はぁ、リーファは裏で動いて私たちに丸投げか」
「リーファらしいと言えばそうだけどね」
「「あははは」」

「さて、係留も終わったし降りるとしようか」
「そうだな、降りよう」


ヤンやラップが自分の運命を怨んでいる頃、第8艦隊はハイネセン第8軌道ステーションに到着し順次係留場所に係留されて行く。ステーションでは先に帰った補給艦や護衛艦が発光信号で帰還を祝ってくれている。

「係留完了しました」
「御苦労」
「閣下、司令部要員は十一時《ヒトヒトマルマル》に退艦しシャトルでハイネセン軍事宇宙港へ帰還します」

「今回は、司令部要員以外、明日までに全員がハイネセンへ帰投します。
その後パレードが行われるそうであります」
「うむ、判った」

シトレは大げさな事をと思いながら副官の報告を聞いている。
「それと、統合作戦本部と宇宙艦隊司令部からですが、ロボス少尉は負傷兵として別便で統合作戦本部軍事宇宙港へ向かわせるようにと命令が来ています」

シトレが考え深く呟いた言葉は他の者達には聞こえなかった。
「あくまで裏方に徹させるつもりか」
「なにか仰いましたか?」

「いや何でもない、ロボス少尉には私から直接伝えよう、
30分後に会議室へ来るように連絡を頼む」
「はっ」

30分後に会議室でシトレはリーファと話していた。
「ロボス少尉、すまんな。統合作戦本部と宇宙艦隊司令部は今回貴官の作戦制作を隠すつもりのようだ、先ほど貴官だけ負傷兵として、統合作戦本部軍事宇宙港へ向かいようにと連絡が有った」

流石に未来の医療である、リーファも大部傷が治り喋ることも可能になっていた。
「閣下、お気になさらないで下さい。小官は別に手柄を欲しいわけではありませんし、元々閲覧禁止レポートを出していますから隠されるのも納得済みです」

シトレからすれば、リーファはしおらしく言っているように見えるが、リーファ自身は内心でやった〜♪ヤンとラップに手柄を擦り付け成功〜♪と思っていたのであるが、シトレにして見れば一番の功労者が表に出られないとはと気の毒な感情で一杯であった。

「少尉こそ、今回の救出劇の真の英雄なのに私達が英雄として認められてしまい心苦しい限りだ」
「閣下、お気に成さずに、小官は策を立てただけです。それを運用したのが、閣下であり。リンチ司令官であり。ヤン、ラップ両中尉なのですから、それに運用ソフトはドールトン候補生の手助けがなければ完成していません」

「そうだったな、ドールトン候補生にも何かしらの功績を称える事をするように私から上申しよう」
「ありがとうございます」
「貴官は、十一時《ヒトヒトマルマル》に退艦して貰う」
「はっ」


宇宙暦788年7月16日

ハイネセン宇宙港では、多くの人々が奇跡の脱出を遂げた、エル・ファシル人々を迎え入れるべく集まっていた。ジェシカ・エドワーズもその中の1人としてラップとヤンの帰りを待っていた。
ジェシカは、エル・ファシルの危機の時に2人のことを非常に心配していたのであった。

ヤンとラップは、シャンプールに居たときから、レクチャーを受けロボス少尉については絶対に公言しない、作戦案はヤンとラップが作った事にする様に命令が来ていた為に、納得がいかない状態ではあったが此も宮勤めと諦めていた。

ヤンとラップがタラップに現れた瞬間からフラッシュの嵐で多くの取材陣が詰めかけ取材をしようという大混乱をMPが整理していく。その中を重傷を負ったリンチ司令官は救急車で運ばれていく。そのあと生き残りが順次降りてきて並びながら行進をおこない家族の元へ進んでいき、感動の再会が行われている。

ジェシカも2人に会おうとするが、ヤンとラップはマスコミに囲まれてしまいジェシカ自身辿り着くことが出来ずに直接会えずに終わってしまった。結局この日は電話だけで話す事に成って、ガッカリしたのである。

取材陣がヤンとラップに取材攻勢をかけていく。

「ヤン中尉は偶然にエル・ファシルへ行っていたそうですが、どの様な用件だったのですか?」
「ラップ中尉とヤン中尉は士官学校同期だそうですが、同期の方々一言」
「リンチ司令官の負傷の原因が叛乱だというのは本当ですか?」

「エル・ファシルの英雄達と呼ばれてのご感想を」
「叛乱を起こした、ウィリアム・ジョイス准将について一言」
「第8艦隊が現れた時の心境をお願いします」

延々と続く質問攻めに、ヤンもラップもほとほと困り果てて居るが、広報官が取材は正規の窓口からして貰います、後で記者会見をシトレ司令官と一緒に行うと宣言し、2人を連れ出す始末であった。ヤンとラップは此が嫌でリーファは擦り付けたなと思っていた。

軍事宇宙港では、軍広報部の許可を受けたマスコミだけが居た為、ヤン達の様な混乱が生じずに済みTVカメラによってシトレ司令官以下の人員が粛々と帰還する姿が映し出された。

統合作戦本部軍事宇宙港ではリーファ達傷病兵を乗せたシャトルがヒッソリと到着していた、出迎えも無く、速攻救急車で多くの兵が病院へ運ばれていった。リーファも負傷の診断に病院へ行き、そこで診断を受け経過は良好であるとでて、迎えに来ていた父親と再会した。

「リーファ、良く帰ってきたな。母さんも心配しているぞ」
「父さんただいま」
「怪我は大丈夫か」

「まあ、なんとかね」
「しかし、意見されたからと、殴るとはどうしようもない奴だ」
「カルシュウムが足りないんじゃない」

「冗談が言えるなら大丈夫だな」
「ええ」
「所で、此から私も一緒に統合作戦本部へ向かい話を受ける」

「父さんもですか」
「うむ、お前の配属先などの相談があるそうでな、私も呼ばれているのだよ」
「判りました」


■自由惑星同盟 同盟軍統合作戦本部

リーファ達は案内されて、統合作戦本部の重厚な扉を抜けるとそこにはきら星の如く将官が座っていた。所謂お歴々方である。統合作戦本部長、統合作戦本部次長、宇宙艦隊司令長官、宇宙艦隊総参謀長、後方勤務部長、や各参謀達が居るのである、知っているのはグリーンヒル少将ぐらいであった。

統合作戦本部長が話し始める。
「ロボス中将とロボス少尉今回は御苦労だった、今回呼んだのはエル・ファシル事件により。少尉の論文の正確さが立証された為に少尉の配属について異例であるが、三者の話し合いにより決定した事を此処で辞令を行うモノとする」

統合作戦本部人事課長キーツ中将が通常であれば人事の辞令を行うのであるが、今回は統合作戦本部長自らが辞令を読み上げる。
「リーファ・ロボス少尉を統合作戦本部作戦課兼宇宙艦隊総司令部作戦課に配属する」

リーファ自身、聞き間違えかと思ったが、両方が取り合った結果、兼任と言う形に取りあえずは決まったのである。仕方が無いから返事をしておく。
「はっ」
「兼任は大変であろうが、貴官の見識を自由惑星同盟に役立てて貰いたい」
「はっ」

続いて昇進が発表された、統合作戦本部長が昇進を司るのは異常であり、通常は国防委員会人事局長が辞令を渡すのであるが、あくまでもリーファを隠し、ヤン達を持ち上げる行為を行うつもりなのである。
 
「ロボス少尉を宇宙暦788年7月15日、中尉に任ずる。又今回は見送りであるが、明年1月を持って大尉に任じ、又自由戦士勲章も授与される」
「謹んでお受け致します」

お歴々方は頷いて、満足そうであるが、リーファは自身は面倒くせーし誰だ此奴等と原作に出てこないモブキャラの名前を覚えるのが面倒だと考えていた。




同じ頃、シトレ、ヤン、ラップは負傷入院中のリンチを除いて記者会見をさせられ、色々な質問にされされながら、返答に四苦八苦していたのである。シトレはそつなく返答できていたが、2人は大変な苦労であった。シトレはシャンプールで言った言葉を再度強調して話し、国民全体に人気を得るのであった。

さらに案の定、国防委員会の面々と握手や肩を組まれるなどされてほとほと嫌になるのであった。

その後の人事で、シトレは大将に、リンチは中将にしたのは国民受けと負傷した事と参謀長に全ての責任をを負わせることに上層部が決めたため。ヤンとラップは少佐に時間をおいて原作と同じに方式で昇進した。また、シトレ宣言により、参加した全員が一階級ずつ昇進し自由戦士勲章を授与された。

ウランフ、ボロディン、ムーアが少将にアラルコンも大佐に昇進したがそれぞれの道はその後変わっていく。ウランフ、ボロディンは正規艦隊の分艦隊司令や参謀長に就任したが、ムーアはリンチ少将に代わりエル・ファシル方面の警備艦隊司令に異動し、アラルコンも警備隊参謀長に異動したのである。これはその方面に詳しくなったからと言うシトレの考えた厄介払い方法であった。

クリスチアン大尉は殴打事件でシトレだけではなく上層部の不興を買った為に、
傷害罪で告発され軍籍剥奪の上で懲役7年を受けて軍刑務所に服役することになった。

最終的に各人の人事は次のようになった。
シトレ大将は宇宙艦隊副司令官兼第8艦隊司令官。
リンチ中将は負傷の為、軍事参議官。

ヤン少佐は宇宙艦隊総司令部作戦課であるがマスコミ対策中。
その後ブルース・アッシュビーを調べ始める。
ラップ少佐は持病が悪化した為に入院加療で待命。
リーファは、統合作戦本部作戦課兼宇宙艦隊総司令部作戦課。

 
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