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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのにじゅうよん

俺と射命丸文は職員室ので向かい合って椅子に座っている。

慧音は邪魔になるからと出ていった

「えーっと…では先ずは今回の異変で起きた事とその原因を」

「紅い霧が出たのはわかるな?」

「はい」

「何故紅い霧が出たかというと…」

紅い霧と理由等を話していく。

「で、異変を起こした主犯はレミィ…レミリア・スカーレット、パチュリー・ノーレッジ。
更に共犯がレミリアの従者十六夜咲夜、門番紅美鈴、パチュリーの使い魔」

「なるほどなるほど…ん?」

「どうした?」

「もう一人居ますよね?」

ん?あぁ、なるほど

「ああ、確かにレミリアには妹が居る。
だが今回の異変には関わってないんだ」

「なるほどなるほど…異変の最中はその妹はザインさんと宜しくヤってたと…」

「はぁ!?捏造はヤメロ!」

「いやいや、ネタは上がってますよ?
霊夢さんと魔理沙さんに教えてもらいましたよ」

あんのガキ共!

「いいか?俺はフランと遊んでやっただけだ。
俺は教師だからな、ほっとけなかったんだ」

「あぁ、なるほど、わかりました」

うん、わかってくれたようで何よりだ。

「あ、そうだ、面白い事にな、レミィよりもフランの方が身長高いんだぜ」

「妹なのに…ですか?」

「そうそう、まぁ色々あってな」

「そうですか…あぁ、そういえば"寺子屋の妖精講師"と言えば式神使いでも有名ですけど…今日はどちらに?」

ん?玉藻か?

「さぁ?この時間は人里をぶらぶらしてると思うから…暇なら探してくれば?」

「んー…復の機会にしときます」

「そか」

ま、金は渡してあるし、昼飯も団子屋かどこかで食べて来るだろ。

「ご主人ー戻りましたー」

「お、噂をすればなんとや……………ら?」

玉藻が戻って来たみたいなので引き戸の方を向いた俺は思考停止した。

「ご主人!やっとヒトガタになれたよ!」

引き戸を開けた幼女はトタタタっと駆け寄ってきて、俺に飛び付いた。

「おっと…玉藻…だよな?」

「はい!」

身長は俺と同じくらい、腰には小さくなった九本のしっぽ。

髪は白で瞳は蒼。

「うん、玉藻だ。所でいきなりどうしたんだ?」

「んー?なんかねー、九尾のおねーさんが教えてくれたー」

九尾のお姉さん?

もしや…

「なぁ、そのお姉さんの尻尾は何色だった?」

「金色だったよ」

「やはりか…」

東方キャラで、九尾で、金色…となれば…

「八雲藍か…」

もし会う事があれば礼を言おう。

「知ってるの?」

「ああ、八雲紫の式だ。『式神を遣う程度の能力』を持つらしい」

「詳しいね」

「縁起に書いてあるぞ」

そのまま抱きついている玉藻を撫でる。

「ん!」

「あのー…ザインさん?二人の空間を作るのは取材が終わってからにしてくれませんか?」

おっと…忘れてた…

「ご主人、だれ?」

「コイツは射命丸文、天狗だ」

「どうも!清く正しい射命丸文です!
お名前を教えて頂いていいですか?」

文は自己紹介をして、玉藻に名前を聞いた。

「私は玉藻、ご主人の使い魔だよ」

「ふむふむ…玉藻さんですか…」

と、射命丸は手帳に何かを書き込んでいた。

ふと思ったがこの手帳が文花帳なのだろうか?

「で、異変については大方話したと思うが他に有るか?」

「んー…そうですねぇ…ではザインさん、あなた自身のことを聞かせていただけますか?」

俺自身の事?

「別にいいが面白くないぞ?」

と言いつつ、玉藻を膝にのせる。

ちょうど横抱きしたような感じで座らせた。

「いえいえ、前々から取材させて頂きたいと思っていました」

「ふーん…」

あー…玉藻の尻尾きもちー…

「ザインさんは元人間なんですよね?」

「うん、そうだよー」

もふもふ…

「なぜ妖精になったのですか?」

「さぁ?俺が一番知りたいな」

「わからない…という事ですか?」

「そうそう、まぁ、心当たりはあるけどねー」

髪もさらさら…

「それはいったい!?」

「アンタ…外の世界の車って解るか?馬車や牛車じゃないぞ?」

「ええ、まぁ、知ってはいますが…」

ふーん…意外だな…

「外の世界の車の中にトラックっていって多くの荷物を運ぶ為のおおきな車があるんだ」

「大きいって…どのくらいですか?」

「そうだなぁ…縦横一丈(三メートル)長さ二丈の鋼の塊さ」

「そんな物があるんですか?」

「ああ、外の世界はそんな物で溢れている。
それでな、友達と歩いてたら女の子がそのトラックに跳ねられそうになっててな…
飛び出して女の子をかばったら死んだみたいだ」

「その女の子とはお知り合いで?」

「いや、体が勝手に動いたんだ…
我ながらとんだお人好しだよ」

「それが心当たりですか?」

「うん、最後に善行をしたからな。
カミサマが新しい命でもくれたのかもな」

「ほうほう…」

あぁ~…もふもふ…もふもふ…さいこう…

「ザインさんって確かアリスさんと暮らしてるんですよね?」

「ああ」

「美少女と同棲ってどうなんです?」

美少女?

「く!くくっ!ははは!美少女!美少女ねぇ…」

美少女って年か? あぁ、幻想郷基準だと美少女か…

「どうされました?」

「いや、なんでもないぞ。
そうだなぁ…アリスとの生活ねぇ…
これと言って無いな」

「えー?そんな事はないでしょう?
あ!ザインさんって元人間ですよね?だったら…
性処理とかどうしてるんです?」

OK、喧嘩売ってるんだな?

ストレージから二体の人形を取り出す。

宙に浮かぶ人形に魔力糸をコネクト…

「出雲!伊勢!」

その指示に従い、出雲と伊勢は射命丸を攻撃し始めた。

「あ!ちょ!なんですかコレ!地味にいたいですよ!」

攻撃と言っても槍を持ってチクチクとつつくだけだ。

槍の材質?ちょっと言えないなぁ…

「性処理はこっちに来てから一回もしてないぞ。
妖精って便利だねー…
でもアリスに魔法習ってるんだ。
こんな風にな」

「あ!はい!すいません!謝りますからやめてくださいぃぃ!」

もう少し涙目の射命丸を見ていたかったが変態扱いされそうなのでやめておく。

「くだらん質問をするからだ。他に無いな?」

「あい…ありません…」

「そうか、ならさっさと帰れ」

「えー!もうちょっとお話しましょうよ!」

「やだよ、アンタと一緒に居るだけで情報を抜かれちまう」

記者や情報屋との会話は最小限に…俺が前世で学んだ事だ。

「ぶー!はいはい、帰りますよう…
もう、私みたいな美少女に帰れとか…
男色ですか!」

「もっかい行っとくか?」

「わー!すいませんすいません!帰りますからぁ!」

と言って職員室から出ていった。

「もふもふ…いい…さいこう…」

「ご主人?」

射命丸が出ていったので思い切り玉藻を愛でていたら玉藻に話しかけられた。

「んー?どうした玉藻?」

「ご主人は私がヒトガタになって嫌?」

「どうしたいきなり?」

「気になったから…」

その瞳には不安が浮かんでいた。

だから俺は、その不安を消してあげたい。

「案ずるな。むしろ俺はお前が人の姿になってくれて嬉しいよ」

「本当に?」

「ああ。例えお前が何をしようと、嫌ったりなんかしないさ」

「ありがと…ご主人…」

ぽふん!

それだけ言うと、玉藻は元の姿に戻り、寝てしまった。

「くぅ…くぅ…」

慣れない変化で疲れたのだろうか?

首の辺りからゆっくりと撫でてやる。

「玉藻…お前は…俺の側に…居てくれるか?」

もしも、玉藻が居なくなったら、俺は今度こそフラクトライトが崩壊するだろう…

「うにぃ…ごしゅじん……くぅ…くぅ…」

ふふっ…

「ありがとう…玉藻…」
 
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