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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのにじゅう

日入初刻(17時)

「「「「「「「乾杯」」」」」」」

互いにグラスを胸の高さに上げる。

乾杯の正しいマナーとかは知らないけど、多分コレでいい筈…

「ねぇ、アナタってお酒飲んで大丈夫なのかしら?」

とアリスに聞かれた。

「ん~…多分大丈夫。この前も呑んだし…」

この前のは…トパーズ・ウィスキーだったかな?

「聞いてないわよ?」

あ…

「いやー…寺子屋に行く途中で喉が乾いて…」

適当に飲み物出したら酒だったんだよな…

するとアリスに頬を摘ままれた。

「いらいいらい!ふぁにしゅうのしゃ!」

「黙りなさい、酒呑んで授業するとはどういう了見かしら?」

と、アリスに詰問されていると人が集まって来た。

「どうしたのお兄様?」

「おーなんだなんだ?浮気でもしたのか?」

と茶化す魔理沙。

「ザインってクズなのかー?」

おいルーミア、地味に傷付くからやめろ。

「茶化さないで、このバカ出勤前に飲酒してたらしいのよ」

「出勤?寺子屋に行く前って事よね…」

おい!脇巫女!無言で札を構えるな!

「大丈夫!酔わなかったから!」

トパーズ・ウィスキーを呑んだが俺は酔わなかった。

一応アルコールの味はした。

やはりゲームアイテムだからだろうか?

ALOの酒は倫理コードと同じくらい深い階層のロックを外さない限り酔わない。

ロックは外してた筈なんだが…

「そうなのか?呑んでみたいぜ」

「なら呑むか?」

呑んでみたいと言う魔理沙にトパーズ・ウィスキーの瓶を渡した。

茶色い瓶でラベルにTOPAZ WHISKYと書かれてある。

アイテムとしての効果はグラス一杯/VIT1UPだが今現在そんな効果が有るかはしらん。

「どっから出したんだ?」

「ちょっとした手品だよ」

そして魔理沙はトパーズ・ウィスキーの瓶を開けた。

瓶に鼻を近付け匂いを嗅ぐ

「………なんだコレ…?」

と魔理沙が不思議そうな顔をした。

「どうだ?面白いだろ?」

基本的にALOの酒…と言うか瓶に入った飲み物は匂いがしない。

いや、少し違うな…。

瓶に入っている間はどれだけ匂いを嗅ごうとしても匂いのコマンドが発生しないのだ。

グラスに注げば別だがな…

「コレ本当に酒か?ただの色付き水じゃないか」

瓶の中にある内はな…。

「ふふ…だったらそのまま呑んでみろ」

たぶん、この時の俺は凄く悪い顔をしていたと思う。

「ああ、わかったぜ」

と魔理沙が瓶に口を付けらっぱ飲みし…

「ぶふぉぁ!げほっ!げほっ!嘘だろ!」

隣にいた霊夢の服に吹き掛けた。

「ちょっと!汚いじゃないの!」

それを俺は…

「あひゃひゃひゃ!ひゃーひゃっひゃっひゃ!」

悪役みたいな笑い方で爆笑しながら見ていた。

このまま粗相コールしてもよかったけど、たぶん誰も知らないだろう。

「けほっ!けほっ!…なんで…口に入れた途端に…?」

「はっはっはっはっは!くく…正確には瓶から出た瞬間だぞ魔理沙。
その瓶は面白い仕組みが在ってな、瓶の中から匂いを漏らさないのさ」

「なん…らよっ…それ…」

ありゃ?

「ちょっと魔理沙?大丈夫?」

「あーあ…ウィスキーをイッキなんてするから…」

アルゴと話した内容を思い出す。




『そうダ、トー坊はこの酒の度数って知ってるカ?』

『度数?コード外さない限り0だろ』

『違う違ウ、味だよ味。このアルコールの感じ…何度だと思ウ?』

『さぁな、でもトパーズ・<ウィスキー>だろ?だったらそうだな…35くらいか?
確か親父の持ってた漫画にそんな事が描いてあったと思うが…』

『残念、正解は60度前半ダ』

『嘘だろ?消毒用アルコールくらいあるじゃないか』

『本来のウィスキーはそれくらいダ。
ま、仮想世界だからナ。スピリタスを呑もうとそうそう酔わないだろうナ』




まぁ…酔うよな…

あれ?なら俺は何で酔わなかったんだ?

妖精になったから?

まぁ、いいか。

「れいむぅ~」

「あ、ちょ!こら!抱きつくな暑苦しい!」

おー、生レイマリ来たぞコレ。

「アリスも混ざれば?」

「バカな事言わないで。あと魔理沙になんて物飲ませたのよ?魔理沙は一応人間なのよ?」

「んー?大丈夫だろ」

俺は自分のグラスを傾ける。

血のように紅い液体が口に流れ込み…

「うん、美味しい」

紅魔館で出されたワインは絶品だった。

親父の持ってた漫画みたいな言葉は出ないけど、それでもこのワインが美味しい事に変わりは無い。

「アリスも呑めよ、このワイン絶品だぞ」

そしてアリスもワインに口を付け…

「そうね」

もちっと笑えよ…

「おぉ~い…アリスぅ…」

「あ!ちょっ!くっつかないで!」

酒宴はまだ始まったばかりだ。 
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