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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
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第十八話:お解りいただけただろうか、悪霊の気配に……?

 
前書き
ちょろっと外伝でグランバニアの日常風景を書いたら、
またグランバニアでの出来事を書きたくなっちまったよ。
いいよね、あの連中キャラが濃くて。 

 
(マイエラ地方・マイエラ修道院)
アハトSIDE

基本的にトラブルを巻き起こしても、それに巻き込まれない様に生きてきたから、修道騎士のイカサマによる大乱闘に巻き込まれそうになった時、咄嗟に側に居た美女(ゼシカさん)の手を引いて裏口から逃げてしまったが、まさか彼女がトラブルの元凶まで連れてくるとは予想外だった。お陰で別のトラブルに巻き込まれ気味……

何とか切り抜けたいが、こんな状況になってしまいウルフさんが頗る不機嫌だ。
再度訪れたマイエラ修道院内では、ずっと不機嫌な顔……
そりゃあれだけ大嘘を吐いてしまえば上機嫌で居られる訳ない。

サッサと指輪を返却してこの地から退散すれば、口と性格は悪いが何時もの優しい(様に見える)ウルフさんに戻ってくれるかな?
普段のウルフさんとだったら、結構気が合って楽しく会話出来るから、良いんだけど……

一般の参拝客等が屯するエリアを抜けると、昨日とは違う騎士が二人、扉の前に立っている。
昨日の騎士はあれだけの騒動の原因になった訳だし、別の場所に飛ばされなのかも……
この騎士も同じじゃ無い事を祈るよ。

「ちょっと……ククールって男に用があるんだけど!」
何で昨日の今日でこんなに強気な態度をとれるんだろうか?
やっぱり美人だけど、ゼシカさんは俺の好みじゃない。

「ククール? 何だ……また女でヘマしたのか奴は!? 面倒だ……この奥にアイツは居るから、勝手に入れ」
基本的に昨日の騎士と同じ横柄で上から目線な連中だけど、上司からの命令を守らない点でランクは下な気がする今日の騎士。

でもアッサリと奥のエリアに通してくれたから、文句は言わないでおこう。
ウルフさんも不機嫌な表情のままだが、何も言わない様に口を真一文字で噤んでるし、騒動を起こす前に指輪を突っ返して退散だ。

しかし世の中(異世界を含む)は広いなぁ……
俺も大概な性格だと自負してたけど、まだまだ上には上が居る。
ラングストンさん然り、ゼシカさん然り……極めつけはウルフさんだ。

彼の上司は彼よりも上なのだろうか?
それとも彼の性格に手を焼いてるのだろうか?
会ってみたい様な、怖い様な……

「あ、居た!」
俺が見た事ないウルフさんの上司を思い描いてると、目的の人物を見付けたゼシカさんが可愛く……だが何時ものキツめの声をあげて俺等にも知らせてくれる。

「おや? 昨晩のレディじゃないか……俺に会いに来てくれたのかい?」
腹違いだけあってデコの広さは類似しない弟騎士は、優雅な動作で美女(ゼシカさん)の登場を喜び、こちらに近付いてくる。

昨晩もゼシカさんに随分キツイ言葉を浴びせられてたけど、美人なら何でも良いらしい彼は柔やかな表情だ。
うん、ゼシカさんは黙っていれば凄い美人だし。
ウルフさんも大分彼女の容姿(巨乳を含む)を気に入ってるみたいだし……

「ちょっと、気安く手にキスしようとしないでよ!」
ククールさんは優雅に違付き、ゼシカさんの手を取ると、そのまま自らの口元へ(いざな)う。だが性格に難のあるゼシカさんにはお勧めしない……更に怒らせるだけだからね。

「はははっ。所で何の用だい? 俺に惚れて会いに来ただけじゃぁなさそうだが?」
「あ、そうだ。また忘れる所だったわ……」
本当に怒ると周りが見えなくなるんだなぁ……昨日も忘れてたじゃんか!

「こんな指輪、返すわよ! 私はアンタみたいな軽薄な男は大嫌いなの!」
「指輪? ……そうか、その手があったか!」
ゼシカさんに指輪をプレゼントした事を忘れてたのか、彼女の手にある指輪を見て何かを思い付いたククールさん。嫌な予感がする。

「この指輪を持って南の川沿いを行った“旧修道院跡”に行ってくれないか?」
何で突然そんな頼み事を聞き入れなければならないのか?
俺もそうだがゼシカさんも断ろうとした途端……

「おいククール。その依頼は、この修道院内に充満する嫌な気配の所為か?」
突然ウルフさんが口を開き、依頼の訳を推測し確認してくる。……にしても、そんな嫌な気配が充満してるかな?

「ん……君は?」
「俺はウルフ……ゼシカの彼氏だ」
「な、ちょっと……勝手な……」

ウルフさんの出現に当然の如く問えば、知らない人は全員信じる流暢さで既成事実を造る様な嘘を吐くウルフさん。
ゼシカさんはビックリして否定しようとしてるけど、顔は満更でも無い感じに見える。
それを見たリュリュさんの表情は嫌悪の塊だ。

「そうか……彼氏が居たのか。済まないね口説いてしまって」
「か、彼氏じゃ……無いわよ……」
言葉ほど悪びれた雰囲気は感じない……ゼシカさんも強く否定しない。良いの?

「すまん、嘘吐いた。本当はまだ彼氏じゃない……そんな事よりも、この嫌な気配の事で、俺等に面倒そうな依頼をしてるのか?」
彼女扱いされた当人は、満更でも無さそうだったのだが、ウルフさんは素直に嘘を認め先程の話しを進めようとしてる。

「そうなんだ……今朝早くに、マルチェロがオディロ院長の希望で、旅の道化師を招き入れたんだが、それ以来アンタの言う嫌な気配が院内に充満してて……あの道化師は何かあると思うのだが、俺が不安を言っても馬鹿兄貴が受け入れなくてな。オディロ院長もお笑いが好きだから、道化師の登場に喜んでしまって……」

「その道化師はコイツか?」
ククールさんの話を聞き、ウルフさんはお得意の画力で描いたドルマゲスの絵を見せる。
なお、アッサリ彼氏否定をされたゼシカさんは不満顔だ。

「すまん。俺は当人を目撃してないんだ……」
「……そうか。肝心な所で使えんな、流石は兄弟」
ワザとなのか、天然なのか、余計な一言を付け加えるウルフさんに、流石のククールさんも顔を顰める。

「お前の依頼を遂行する為、この指輪を持って旧修道院跡地に行くとどうなる?」
「その指輪があれば魔法で閉ざされた旧修道院への扉が開き、旧修道院内を通ればオディロ院長の居る離れ小島へ行く事が出来、この充満する嫌な気配の元凶が安全か否かを確認する事が出来る。俺は昨晩の乱闘騒ぎで謹慎を言い渡されちまったから修道院から動けないが、引き続き正攻法でオディロ院長の下へ行けないか努力するから、アンタ等は万が一の保険としてオディロ院長を救ってくれないか?」

見ず知らずの我々が、見ず知らずの院長を助けるべく、そこまでしなければならない理由が見当たらないのだが……彼の言う道化師がドルマゲスであれば、俺達にも無関係では無いだろうから、協力する姿勢をウルフさんに見せる……と、

「随分と面倒そうだし、拒否した方が良いと思うのだが、リーダーのアハト君は如何思う?」
と、まさかの質問をしてくる性格の悪さ。
受け入れるつもりがあったから、色々と質問したんじゃないのですか?





(マイエラ地方・旧修道院跡地内)

「ははははは………アンデッド系が多い。リュカさんが居たら、(すげ)ー嫌がってるだろうな(笑)」
ドルマゲスが関わってる可能性が高かった為、結局ククールさんの依頼を受け入れた我々……
嫌味っぽく拒絶思考を臭わせてたウルフさんも参加。

「リュカさんってリュリュさんのお父さんで、ウルフさんの師匠兼上司の方ですよね。アンデッド系のモンスターが嫌いなんですか?」
「うん、嫌い。臭いから。汚らしいし……だから絶対自分の武器で攻撃しない。魔法か他人の武器を使う」

「そう言う意味で嫌いなんですか……死体が怖いとか、お化け系が苦手とかじゃなく」
「違うねぇ……苦手な物や怖い物はあるんだろうけど、人とは違うねぇ。奥さんはお化けが怖いらしい。強がってみせるけど、霊とか現れると『きゃぁ』とか言って可愛い声で驚く(笑) そうすると旦那はムラムラするらしく、だからお化け屋敷とか好きみたい」

「あぁそうですか。何か微笑ましいですね……」
「俺の彼女の一人は、そういうのが無くて困る。突然お化けとか現れると、ビビってイオナズンを連発しかねないから……しかも通常の人より魔力が強く、暴走しがちのイオナズン」

「ねぇちょっと……『彼女の一人』って如何いう意味? アンタまさか何人も彼女が居るの?」
「あれ、ゼシカには言ってなかったっけ? 俺、彼女が二人居ます。しかも一人は妊娠中(笑) こんな異世界で、こんな訳分からない事してる場合じゃないんだけどね」

「うわっ、アンタ最低」
如何いう事だろうか? ゼシカさんがウルフさんに彼女扱いされて満更でも無かった時を境に、ウルフさんが彼女への接し方が変わった気がする。

ゼシカさんは自ら『真面目な人が好き』と言っていたのに、言う必要性を感じない二股状態を告知し、自らの評価を下げてる気がする。
因みにゼシカさんの『最低』発言を聞いたリュリュさんは、首が取れるんじゃないかと思われるくらい頷いてた。そこまで頷かなくても……

「そうは言うけどねぇ……俺の師匠なんか、俺の倍以上は愛人が居て、その数以上に子供が居るんだぜぇ。あ、因みに俺の師匠ってこの女(リュリュさん)の父親ね。母親は愛人の一人ね」
「最低師弟ね!」

やっぱりウルフさんは世界一性格が悪いと思う。
ゼシカさんが軽薄な男が嫌いって分かってるのに、自分のみならず師匠の事も暴露して嫌悪させた。そして絶対に『最低』と発言する事を見越し、同じ事をしてるウルフさんの時の様に大きく頷けない複雑な表情のリュリュさんを見て楽しんでいる。

「ゼシカ……言葉に気を付けた方が良いよ」
「な、何よ……怒ったって言うの……?」
ウルフさんから怒った感じはしないが、『最低』と言われて喜ぶ人は居ないと思う。

先刻(さっき)も言ったが、リュリュさんは父親の愛人の娘として生まれた。その当人を前に、生まれてきた事を最低と言うのは如何な物かな? まるで彼女の存在自体が最低だと言ってる様に聞こえないかな?」
「わ、私はそんなつもりで……」

「解ってる……それは解ってるよ。ゼシカがリュリュさんの存在を最低だと評した訳じゃぁ無いのはね。でもさぁ……そういう風にとられるかもしれないって事だよ。彼女の父親が、愛人を孕ましておいて認知も責任もとらないって言うのなら、それは最低だよね。でも彼女の父親は全ての子供達を愛してるし、必要となれば資金面を含む多様な援助も惜しまない。何より世間には公表してるから、無責任な事は絶対にしてないんだ」

なるほど……ただ性欲を貪る訳じゃ無くて責任をとってるっとことか。
ゼシカさんの言葉に複雑な表情をしてたリュリュさんが、ウルフさんの言葉で明るい顔になった。彼の言葉で彼女が明るい顔になるって珍しいね。

「そ、それは分かったけど……私は一途な人が好きなの!」
「理解している。でも安易に『最低』とか言うなって事だよ」
やっぱり怒ってたのかもしれない。自分の事より、尊敬する人の事を侮辱されて。

「わ、解った……気を付けるわ。所でアンタは如何なのよ? 二股の片方を孕ませて、その()と結婚するつもりなの?」
「う~ん……俺も妊娠を聞かされた時に、彼女にプロポーズしたんだけど、当人が『私は愛人で良い』って言うから……」

「何その()!? こう言っちゃぁ何だけど、大丈夫、頭?」
「いや、むしろ冷静だと思う。だってもう一人の彼女ってのが問題有りでさぁ」
もう一人の彼女が問題有りだから、懐妊彼女が冷静って事は、当人等は互いの存在を知ってるんだな。

「問題って何?」
「う~ん……何て言うの……我が儘? それも凄い我が儘な女?」
懐妊彼女がどんな性格か分からないけど、もう一人が凄い我が儘って……ウルフさんの女の趣味が心配。

「何でそんな女と付き合ってるのよ!?」
「美人だしナイスバディーだからだよ! ゼシカ以上リュリュさん以下な体付き」
それはそれは大層な美人さんみたいですね。

そんな事よりも……
ちょっと淀んだピンク色な話題に夢中になってますが、何か目の前に他とは一際違う邪悪な妖気を出してるアンデッドが俺等の事を睨んでるんですけど……戦闘する気あります、皆さん?

アハトSIDE END



 
 

 
後書き
知らない人も居るだろうから教えちゃうけど、
ウルポンって実はヘタレですから。 
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