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NEIGHBOR EATER

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EATING 10

 
前書き
ちなみに翼のプライベートでの服装はボーダーから支給された服です。
上は白いシャツ。下はジーンズです。 

 
「次にネイバーの大規模な襲撃があったら、町の人と家族、どちらを守りますか?」

壇上に立つ三人。

記者の意地の悪い質問に答えたのは青年だった。

「それは勿論家族です、家族を護るため、ボーダーに入りましたから」

と…

「じゃぁ、いざって時は町を護らないって事かい?」

「先の進行で親や兄弟を亡くした人もいる、そう言う言い方は良くないんじゃないかな?」

揚げ足を取るような質問がなされる。

それに青年が答えようとした時、その隣の少女が、口を開いた。

「貴方達…バカじゃないんですか?」

見惚れるような、それでいてゾッとするような笑顔。

仮面のように、張り付けられた笑顔だ。

「バカ…だと?」

記者の顔に苛立ちと歓喜が浮かぶ。

暴言を吐かれた苛立ちと、攻撃材料を得た喜びだ。

しかし、それをわかっているかのように少女は続けた。

「家族すら守れない人間が赤の他人を救える訳がない。
私は妹を護るために、妹に二度とあんな思いをさせない為にボーダーに入った。
それとも貴方達は家族を見捨ててまで他人を救えるのかしら?」

その言葉に記者達は黙り込んだ。

その後、先の青年がまとめ、新しく入ったメディア担当の役員が締めた。













「あっはっはっはっはっは!あー面白ぇー!」

「天使ちゃん…笑いすぎ」

ボーダー本部落成から三ヶ月、第一期新隊員御披露目の記者会見。

ボーダー本部の自室でそれを見て俺は爆笑していた。

「天使ちゃん、彼女が君が助けたっていう姉妹の一人かい?」

「ああ、そうさ」

雪乃下陽乃…

『貴女みたいな力が欲しい…じゃないと雪乃ちゃんを…妹を守れないから』

怒りに染まった瞳で放った言葉。

二度と妹を傷付けさせやしないという覚悟。

マジックミラー越しの入隊面接。

彼女が入って来た時、『ああ、やっぱり来たのか』と思った。

他にも例の『弟』やその『姉』も居た。

あと小学生…俺と同い年の女の子も居た。

「ていうか天使ちゃんって彼女に何かしたのかい?」

「はぁ?」

「彼女って人に会う度に『三門の守護天使』についてしらないかーって聞くらしいんだよ」

チッ…

「俺の事は機密でしょ?じゃぁいいじゃん」

ネイバーイーター、そんな隊員は居ない。

と言うのが建前だ。

それになんとか翼と光輪を引っ込める事に成功したので訓練生が居そうなエリアに行くとき翼を引っ込めている。

ちなみに翼を引っ込めておく方がつかれる。

「いやー…それがさー」

と迅。

「正隊員になったから彼女達にも教えたんだよねー」

は?

「忍田さんの命令でね」

は?

「だからもう少ししたら彼女達も来るよ」

は?

「彼女達って?」

「今回の新隊員達さ、ほら行くよ」

「行くって何処に?」

「エントランス。もう皆集まってると思うよ?」

え?聞いてない…

「だって言ってないからね」

そう言われてしぶしぶエントランスへ向かう。

待たせてるなら行くべきだ。





ザワザワとうるさいエントランスに向かう。

「さて、もうすぐだ天使ちゃん」

わかってるっつーの。

長い通路を抜けてエントランスに出る。

無論翼と光輪を出し浮遊した状態でだ。

その瞬間、喧騒が静寂へと変化した。

全員訓練生の白ジャージを着ている、学校みたいだ。

取り敢えず挨拶だ。

「やぁ、みなさんこんにちは、一部の人にはお久しぶり。
清輝翼です」

「見たら解ると思うが彼があの『三門の守護天使』だ」

「まぁ天使とか言われてるけど実際はトリガーだし。
あと色んな噂があるけど、程度の違いはあってもほぼ事実だから。
まぁ取り敢えず宜しく」

エントランスに集まった十数人の中には例の雪乃下陽乃もいた。

「天使ちゃんに何か質問ある人居るかい?」

すると雪乃下陽乃が手を上げた。

「はい、その娘のトリガーって私達のと違うとおもうのですが?」

まぁ、ブラックトリガーだしね。

「俺のは少し複雑な事情があってな。それに関しては話すことができない。
そうだよな迅?」

「ああ、彼のトリガーについては機密事項だ。他にはあるかい?」

次に手を上げたのは俺と同い年の女の子だった。

「年は幾つでしょうか?」

「十歳だ」

たぶん、十歳の筈。誤差は±2って所かな?

「わかりましたわ」

羽々斬夜架…家族を、今回の進攻で失ったオッドアイの少女…

「他にあるかー?」

と迅が尋ねるが誰も喋らない。

「じゃぁ質問コーナーは終わりだ」

俺と迅は新隊員に別れを告げエントランスを後にした。

「で、どうだった天使ちゃん?」

「どうって…特に無いな」

「そうか」

ただ、少し気になるのは、雪乃下陽乃と羽々斬夜架だ…

雪乃下陽乃の笑顔はどこか作り物めいている。

『仮面のような笑顔』…彼女の笑顔はそう呼ぶにふさわしい。

羽々斬夜架はなんと言うか…俺に何かしらの感情を抱いている。

怒りや恨みではない…筈…

「まぁ、でもこれで多少は楽になるな」

今までの防衛任務は俺を含め三十数名で行っていた。

この広い三門市を三十数名でカバーするのは難しい。

「天使ちゃんの言う通りだな」

これで少しはゆっくりできる…とこの時の俺は思っていたのだった。
 
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