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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百話

 
前書き
遂に百話…あぁ…長かった。 

 
列車がパリに到着したのは、もう暗くなった頃だった。

千冬達が列車から降りると、眠る一夏を抱いた束と箒が先に降りていた。

千冬が見たとき篠ノ之姉妹の肌は艶々としていた。

「案の定か貴様ら」

「いやぁ…凄かったよ。うん、本当に凄かった。
いっ君にキウイ食べさせたら駄目だね。
こっちが殺されちゃうよ」

「ダンピールの膂力で押さえつけられては抵抗のしようがないな…」

箒が束の腕の中で眠る一夏を見やる。

「そう言えば今日は大人しく撫でられていたが…
気を使っていたのか…?」

吸血鬼の膂力とは凄まじく、ゴリラを遥かに越えるエネルギーを産み出せる。

気功を使う一夏であれば、更にそれを越える腕力を秘めている。

「わぁ…わぁ…一夏、ヤったんだ…わぁ…」

と簪がやり取りを聞いて顔を赤くしていた。

「ねね、箒ちゃん、一夏君と何れくらいシタの?どんなだった?」

刀奈が箒の脇腹をつつく。

箒は肩より一回り大きい体をかがめ、刀奈の耳元に口を寄せた。

箒がリリムキッスを発動させ…

「御自分で確かめますか?」

その言葉の後、刀奈の耳にフゥッと息を吹き掛けた。

「ひゃぅ!?」

力が抜け、倒れそうになった刀奈を箒が支える。

その反応から、箒は刀奈が生娘だと察した。

「刀奈さん。私女の子同士もいけ…」

そこで箒の頭に拳骨が落ちた。

「か、母さん…」

「よその子に悪いこと教えないの。
貴女には一夏君がいるでしょう?」

箒が渋々刀奈を放し、リリムキッスを解除する。

「千冬ちゃん」

「なんですか奥さん?」

「この後の予定はどうするの?」

全員の視線が一夏へ向く。

が、当の一夏はすやすやと眠っている。

「箒、橙に聞いてくれるか?」

「わかりました…橙」

『はいはい、この後の予定でしょ?
ウカノミタマにスケジュール送るから参考にして』














side in

「ふにゃぁぁぁぅ…」

「起きたか」

「ずっと寝てたねいっ君」

体を起こすと右に箒が、左に束さんが寝ていた。

コンパートメントではなく、どこかホテルの一室のようだった。

「あぁ…ついたのか…」

ホテル・ロンスヴァル、予約していたホテルだ。

「昼食を食べてからの事は覚えているか?」

昼食……たしか…あれ?

「なんか…ぼんやりしてる…」

二人とヤった…ような…

「いっ君はアルコールには強くてもマタタビは駄目みたいだね…」

マタタビ?

「どういう事?俺いつの間にマタタビなんて飲んだの?」

「知らない?キウイってマタタビ科なんだよ?」

キウイ…

「知ってて渡しやがったな…」

「うん、死ぬかと思った」

「稲荷と橙に人払いを頼んでいなければまずい事になっていたな」

「酔わせて襲うとか…なんか、もう…うん」

性欲強すぎない?

「えー?でもいっ君だってこっちが何言っても聞かなかったじゃん」

「姉さんの言うとおりだ」

「人の正気を失わせて何を言うのやら…」

それにしても…

「腹へった」

ホテルについてるって事は橙がスケジュールを渡したって事だ。

で、スケジュール通りならもう皆夕飯は食べた後だろう。

えーっと…現在時刻は…

「……………,…」

ホロウィンドウを出して確認した時刻は零時半。

「ちょっとメシ食ってくる」

「こんな時間にか?」

「居酒屋くらいなら開いてるだろ。二人は寝てていいよ」

束さんと箒は目を見合せ…

「じゃぁ、そうさせて貰おうかな。いい加減眠いし」

「腰も痛いしな」

「そう、御休みなさい」

それだけ言って、ベッドから降り、普段着を量子展開する。

この時間帯だと補導や誘拐される事もあるし耳と尻尾を隠さないといけないのでパレードと認識阻害を使う。

身長180位の目付きの悪い金髪の男に化ける。

「行ってきます」




ホテルから出ると、街灯に照らされて長く伸びた影から奏が出て来た。

まぁ、今日は一人だし、いいか。

「あぁ…さしぶりのシャバだぜ」

「適当な店に入るか」

っと…その前に…

パレードを解除し、今度は同じくらいの身長で、顔にトライバルタトゥーを入れた女に化ける。

「何してんだお前?」

「お前といたらさっきの格好じゃしょっぴかれるの。
今はただでさえ女尊男卑の世の中なんだから」

直江津ではそうでもなかったが、パリのような首都、つまり政治の中枢に近い地域では女尊男卑の傾向が強い。

とは言え昨年東京に行ったときは容姿が容姿なだけに可笑しな連中には絡まれなかった。

女顔で唯一得をしてる事があるならそこだろう。

「面倒くせぇなぁ…人間の男女で優劣なんざねぇだろ。
ISだってその気になりゃぁぶっ壊せるしな」

事実、奏には大千本槍の頸部装甲を破られた。

きっと俺でなければ、オリジナルコアでなければ遅れを取っていただろう。

数百年生きた怪異は伊達ではないらしい。

「仕方ないさ。002以降は姉さんのコアのコピーなんだから。
女にしか反応しないし。今の軍事バランスは女が握ってるのさ」

「ふーん…逆行だな…」

「逆行?」

「今の…『科学』の鉄砲ぶっぱなす戦いじゃねぇ…
たった一人の人間が戦況を変えちまう、英雄時代の一騎当千の戦によぉ」

面白い意見だ。

人間の科学の発展に追いやられ、それを間近で見ていた『人ならざる者』が語る戦争への見解。

「ちょっとメモするから待って」

ホロウィンドウを呼び出しさっきの話をメモする。

「お前なぁ…」

「面白いんだからいいじゃん」

「あっそ…」



適当な居酒屋を見つけて入る。

静かな店だ。

奏とカウンターに座ると店主に声をかけられた。

「おいおい姉ちゃん。こんな時間に子供連れかい?」

「いやぁ、ちょいと昼寝させ過ぎちゃってさぁ。
寝付けないってんで夜の散歩って訳さ。
そしたら今度は腹が減ったらしくてよ」

奏の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「っかー…子育てはたいへんだねぇ…
旦那は?」

「旦那?」

えーと…どう答えようか…

「はは、旦那はジャパンだよ。モンドグロッソを見たついでの観光なんだ。
旦那はモンドグロッソなんてきらいだーって来なかったんだよ」

「おや、どうして?」

「どうも勤め先の社長が女尊男卑派らしくてねぇ」

「よく結婚できたな…」

「親友の紹介でね。あ、牛肉のタルタルと適当なパン、後は白ワインと…クレームキャラメルを二つ頼む」

「太るぞ?」

「大丈夫、太りにくい体質なのさ」

料理が出されて店主と談笑していると、銃声が聞こえた。

「店主?」

「いつもの事さ。最近物騒なんだ」

「仮にも首都だろ?警察は何してる?」

「さっきアンタも言ってたが、今は女尊男卑の世の中だ。
警察も女からの通報じゃなきゃこんな真夜中に即応しないのさ」

店主の言うには現在パリでは女性権利団体と旧来の男性派閥が衝突しているらしい。

しかもどちらのバックにもマフィアやギャングのような非合法な物を扱う輩がついており、ソードオフショットガンやアンチマテリアルライフルを持っている奴もいるらしい。

「へぇ…」

「その上警察内部にも男女の亀裂があってな。
動けないんだ」

「それでいいのかよ国家権力…」

「ジャパンはどうなんだ?」

「あぁ、ジャパンの警察は基本的に男性社会だからね。
こういうのは起きないよ。ただ若いバカ共が痴漢冤罪吹っ掛けて遊んでるのはいただけない」

「そいつぁ勘弁」

唐突に服を引っ張られた。

奏が俺の服をクイクイと引いている。

「あぁ、店主、どうやらおねむみたいだ。
会計を頼む」

「あいよ」

金を払って、店を出る。

「なんだよ奏?」

「なぁんか面倒事の予感がしたんだよ」

「いや、こんな銃声の中で外に出る方が面倒事になるだろ」

そう、例えば…

なんかこっちに逃げてくるフード被った女の子とかさ。

「な、俺様の言った通りだろ?」

「お前が呼び込んだような物だろうが…」

奏が影の中に潜る。

「奏の奴逃げやがったな…」

取り敢えず…

「お嬢ちゃん。助けてあげよう」

すれ違い様に囁く。

ふむ、お嬢ちゃんを追っているのは…五人か。

「鬼門遁甲」

術を発動させると、追っ手は折り返し、走っていった。

後ろを向くと、お嬢ちゃんが突っ立っていた。

「ま、魔法使い…?」

「まぁ、そんなところ。お嬢ちゃんの名前は?」

と聞くと、お嬢ちゃんはフードをはずしながら名前を教えてくれた。

月明かりに照らされて煌めくブロンド。

アメジストのように妖しい光を灯す瞳。

「助けていただきありがとうございます。
私の名前は、シャルロットです。
ファミリーネームは訳あって言えません」





「Oh……Are you serious…?」
 
 

 
後書き
百話記念にR18を投稿します。 
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