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子猫達のお話

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第三章

「そのことは言っておくよ」
「そうした遊びなんですね」
「とても難しい遊びなんですね」
「それで名人はどなたか」
「狐さもご存知ないですか」
「うん、ただ日本なら」
 けん玉を生み出したこの国ならとです、狐どんは二匹にこんなこともお話したのでした。今度は上機嫌で。
「揚げは素晴らしいね」
「お豆腐を揚げたお料理ですね」
「フライとは違った感じに」
「あれは最高に美味しいよ」
 揚げについてはにこにことしてお話する狐どんでした。
「本当にね」
「それで、ですか」
「狐さんは揚げが大好きなんですか」
「あれを好きなだけ食べられるなら」
 それこそ狐どんです。
「日本に永住したいね」
「そこまで揚げがお好きですか」
「日本に住みたい位に」
「あの美味しさ、日本の人達はよくあんなものを考えついたよ」
 こうまで言う狐どんでした。
「それで今夜もね」
「その揚げを召し上がられるんですね」
「そうされるんですね」
「そうするよ、楽しみだよ」
 最後は揚げのことをお話した狐どんでした、そしてです。
 二匹はけん玉名人をさらに探しました、ですがそれでもけん玉名人は見付からず夕方になってしまいました。
 夕方になるとです、ミトンもモペットもお互いにお話をしました。
「もう夕方だから」
「お家に帰りましょう」
「暗くなるまでに帰らないと」
「子供はね」
 二匹がいつもお母さんに言われていることです、二匹はとてもいい娘達なのでお母さんに言われたこともしっかりと守っているのです。
「だから帰りましょう」
「お家にね」
「そしてね」
「晩御飯を食べましょう」
 こうお話をしてです、そのうえで。
 二匹はお家に帰りました、そしてトムにけん玉名人のことをお話しました。するとトムは二匹にこう言いました。
「見付からなかったんだ」
「ええ、そうなの」
「ちょっとね」
「狐さんはあんな難しいものないって仰ってたし」
「お兄ちゃんも苦労するってね」
「他の人達もけん玉は知っていても」
「難しいって言ってたから」
「そうなんだ、じゃあ誰なのかな」
 トムはそのお話を聞いて思うのでした。
「森のけん玉名人って」
「明日また探すわ」
「そうしてみるわ」
 二匹は諦めずにトムに言いました。
「だからね」
「絶対に見付けるから」
「じゃあね」
 それならとです、トムも妹達に言いました。
「明日からは僕もね」
「一緒に来てくれるの」
「けん玉名人探しに」
「うん、僕が言いだしたからね」
 だからだというのです。
「一緒に行くよ」
「そうしてくれるの」
「お兄ちゃんも」
「二匹で探すより三匹で探した方が見付かりやすいよね」
 こうした考えもあってです。
「だからね」
「うん、行こうね」
「三匹でね」
 妹達もこうお兄さんに答えます、こうして明日からは三匹で森のけん玉名人を探すことになりました。 
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