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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  115話:エピローグ

 
前書き
 
皆さん、お久しぶりです。
前回よりかは短いスパンで書けたのですが、まぁエピローグということで文章も短いです。

今回は事件後の色々、特に原作とは違う点を中心に書きました。
よろしくお願いします。
  

 
 




 レリックを発端とした一連の事件は、スカリエッティ一味の捕縛と共に収束することとなった。

 首謀者である『ジェイル・スカリエッティ』は勿論、彼のアジトで管制作業とガジェットの制御を行っていたナンバーズ1『ウーノ』。
管理局員になりすまし、最高評議会メンバーを破壊したナンバーズ2『ドゥーエ』。
アジトにてフェイトと激戦を繰り広げたナンバーズ3『トーレ』とナンバーズ7『セッテ』。
そしてゆりかご内部でなのはに逮捕されたナンバーズ4『クアットロ』。

 この6人は事件後の捜査協力を拒否、各々無人世界の軌道拘置所へと別々に収監され、管理局の監視下に入ることになっている。

 それに対して、残った他のナンバーズ。
 最終決戦には参加できなかったナンバーズ5『チンク』。
アジトでシスター・シャッハと相対したナンバーズ6『セイン』。
地上本部付近でガジェット制御を行っていたナンバーズ8『オットー』
ティアナを追い詰めたナンバーズ9『ノーヴェ』とナンバーズ11『ウェンディ』、ナンバーズ12『ディード』。
ゆりかご内部でなのはの砲撃と正面から撃ち合ったナンバーズ10『ディエチ』。

 以上の7人は事件後の捜査に協力することとなり、ミッド海上に設置された隔離施設に移されることになった。
 他にも、ライトニングのエリオ、キャロが保護した―――今隔離施設の窓から外をボ~っと眺める少女『ルーテシア・アルピーノ』と、地上本部でシグナムが保護した融合機『アギト』も、自分達から望んで入ることに。

そして……


「…ッ、ゼスト」
「どうした、ルーテシア?」


 ルーテシアの頭を撫で、柔和な笑みを浮かべる男性『ゼスト・グランガイツ』も、この隔離施設にいる。
 彼は不完全な人造魔導師として復活した為に、すでに体はボロボロ。捕縛された時も「残る役割は死ぬことのみ」と言っていたが、かつての仲間達からの説得により、残りの時間を生きようと決意。今後はルーテシアの成長を見守るつもりでいるらしい。

 余談だが、ルーテシアとゼストは長年行動を共にしていた為か、互いの距離はもとより近かった。
 今のような親しい様子を時折にしか見てこなかった更生組は、それを改めて見て「これが本当の親子関係というものなんだろうな」と感じているようだ。


「そういえば、アイツはどこ行ったんだ?」
「アイツ…? あぁ、エクストラの兄ちゃんっすか?」


 ふと思ったのか、ノーヴェが周りを見渡しながら言った。側にいたウェンディが一瞬首をかしげたが、ノーヴェが言った「アイツ」の意味がわかったら、納得したような表情になった。


「エクストラならさっき面会で呼ばれていったな」
「そっか…」


 ノーヴェの疑問に答えたのは、この中で一番の姉のチンク。それに納得したノーヴェは、部屋の外に通じるドアへと無意識に視線を向けた。
 それを見たウェンディはニヤ~、と含みのある笑みを受けた。


「にしてもノーヴェ、まだ兄ちゃんのこと“アイツ”呼びなんすね。今はいないんだから、『お兄ちゃん』って呼んでもいいんすよ?」
「バッ!? そ、そんな恥ずかしいこと言えるかよ!?」
「えぇ? そんなこと言わずに~」


 あんな事件があったが、彼女達はもとより人間味がある方だからか、このように仲がいい一面も時折見られるようだ。

 さて、件の彼はというと……














「―――君は、本当に物好きな奴だな」
「そうか? 続きが気になるし、俺自身“そういった部分”は捨て切れていないからな」


 透明な窓越しに、笑みを浮かべながらそう言った青年―――士に対して、深いため息をついて項垂れるエクストラ。彼の面会相手というのは士だったようだ。

 士はあの事件後、なのはやヴィータ達と同じように重傷者として入院し、約一ヶ月の療養が必要とされていた。
 しかしこの三人は重傷者の中でも真っ先に退院、出動は控えてはいたがなのはとヴィータはフォワード陣の教導を、そして士は事件の影響で一時的に低下していた機動六課の指揮系統や運営などの手助けを行ったのだ。

 これにはフォワードの四人も驚いていたが、それ以上になのはの教導がますます厳しくなっていくことに悲鳴を挙げので精一杯であった。


 そんな中、士は仕事の合間を見つけてはエクストラに会いに来ている。その理由はというと……


「……で、“初瀬”はどうなるんだよ?」
「ん、そうだな。じゃあ続きといこうか」


 そう言ってエクストラの口から紡がれていく物語。皆さんは察しがついただろうか?
 エクストラが知っており、しかし士は知らない物語―――“仮面ライダー鎧武”のストーリーだ。

 面会当初は他愛ない世間話ばかりだったが、どうにも会話が弾まなかった。
 そんなとき、士がふと気になったことについて。ヴィヴィオを見つけ保護したときに戦った、バロンと名乗るライダーのことをエクストラに尋ねたのだ。

 その後は早かった。互いにオタクな部分を捨てきれない人だった為か、仮面ライダーの話題で盛り上がっていき……


「マジか…マジかよ…!」
「その気持ちはわかる、僕も当時はそうなった」


 両手で顔を覆いながらうつむく士に、腕を組んでうんうんと頷くエクストラ。
今ではこんな感じだ。


「さて、そろそろ時間じゃないのか?」
「あぁ、そうか。早いもんだな」


 エクストラに指摘されて、時計を確認し驚く。楽しいことをしていると、時間が過ぎるのが早いものだ。
 しかし士はすぐさま立ち上がる訳でもなく、逆に前のめりになって手を組む。


「そんじゃ、本題といこう」
「……なんだ、今日は別に用があったのか?」
「あぁ。1つ、提案があってな。―――エクストラ、お前のこれからについて」


 組んだ手の上に顎を乗せ、視線を向ける。提案を聞いたエクストラは、眉を寄せてしかめっ面を見せた。


「このまま更生プログラムを受けていれば、ここから出るのもそう時間はかからないだろう。だからその後、その気があれば……うちに、特策隊に来ないか?」
「………」


 士が口にしたのは“勧誘”。六課ではない、自らの部隊への勧誘だった。


「お前の力は、確かにお前のものだ。何に使おうがお前の勝手、俺がとやかく言うつもりはない。だから、これはいくつかある道の内の1つだと思ってくれ」
「………」
「今はもう、守るべきものがなかった時とは違う。今手元になかったとしても、いつかきっと―――!」


 士がそう言い終わる前に、エクストラは席を立った。士は思わず立ち上がり、声を荒げて彼の名前を呼んだ。
 それに対し、エクストラは士に背を向けて立ち止まる。


「俺はこの世界に、守る価値があるとは思わない。今はまだ、俺が守りたいものも、守るべきものもわからない。だから……その誘いには答えられない」


 エクストラは少しだけ顔をこちらに向けて、それだけ言うと部屋を出て行った。
 士はその背中を見送った後、一つため息をつきながら腰を落とし、椅子に座り天井を仰いだ。


「―――“今はまだ”、か…」


 エクストラの言葉を反芻しながら、しかし天井を見るその顔は、ずいぶんと晴れやかに見えた。













 このように、JS事件の混乱は瞬く間に過ぎていき、世界は平穏な日々を取り戻しつつあった。
 無事復旧した機動六課の隊舎も、その流れに漏れず、戦いのない平穏な日々が続いていた。


 そんな中、少しずつ変化することもあって……

ライトニング隊のエリオとキャロは、キャロが以前所属していた自然保護隊へと所属、二人一緒の職場になることに。これにはフェイトも喜んでいた。
スターズ隊のティアナは、フェイトの執務官補佐になり、彼女の下で執務官の勉強をすることに。ティアナが夢見る場所へと、一直線に行ける道へと踏み出そうとしていた。

そしてスターズのもう一人、スバルには特別救助隊からのスカウトの話が来た。話が来た当初はスバルに少し迷いがあったようだが、それでも最終的にはそのスカウトを受けることになった。彼女が以前から望んでいた「泣いている人を助けられる」仕事につけるということで、決めた後は訓練などを張り切って行っていた。


 フォワード陣の他にも、今後の進み方を考える者もいた。

 代表的なのは、はやてだ。「歴史に残る未曾有の危機を救った奇跡の部隊」、その設立からやってのけた指揮官として各方面で有名になってはいたが、彼女自身は己の未熟さを感じたという。
 今後はどこかの部隊に所属する訳ではなく、フリーの捜査官として小規模部隊の指揮や立ち上げ協力をしていき、いずれは再び自分の部隊を指揮する為の勉強と経験をしていく方針だ。

 またスターズ分隊副隊長のヴィータは、なのはから航空戦技教導隊へと誘われている。
 誘われたその場では少し否定的ではあったが、その表情はやぶさかではない様子だった。


 こんな感じで、平穏な日々が過ぎていく。機動六課の運用期間は1年、暦にして11月に入りつつある今からすれば、後4ヶ月程でそれぞれの道に進む為の…別れの時が来る。そんな予感に気づいてからの時間は、あっという間に過ぎていくもので。

平穏な日々のまま、その別れの時まで時間が流れ―――














「―――となるとでも思っているのだろうな、彼らは」


 唐突に誰かがそう述べる。その傍らにはいくつかの人影が立っていた。
 その内の一人、猟奇的な笑みを浮かべながら拳を作る影が口を開いた。


「なぁ、まだなのかよ。こちとら待ちくたびれて、その辺の奴なら殺してもいいって感じなんだが?」
「落ち着きのない奴だ、お主は獣か何かか?」
「あぁ? んだよ、難癖つけるつもりか?」


 剣を地面に突き刺していた影が抑えるように言うが、逆にそれが神経に障ったのか、注意された側の影が詰め寄ってきた。
 詰め寄られた側も強情な態度を示し、今ここで争いが始まってもおかしくない雰囲気を見せる。……が、


「そう焦るでない…すぐに時は来る。そうであろう?」
「あぁ、その通りだ。今は彼の動向がわからないが、心配はいらない。時期に動くさ」


 彼も君と同じような人間なのだから。と初めにしゃべった男に答える形で、大きな椅子に座っていた男が立ち上がりながら言った。
 それを聞いて、険悪なムードの二人も鼻を鳴らしながら背を向け合った。


「さぁ、祭りの時は近い…再び地上に、恐怖の炎を燃え上がらせようではないか!」


 高らかに宣言する男。彼らが動き出す時は、刻々と迫ってきていた。





  
 

 
後書き
 
次回からはStrikerS本編とオリジナルストーリーの合間の出来事を書こうと思います。
といってもまぁ、書くとしたら年末年始の何かとか、クリスマス的な何かとか、そんなところです。

まぁぶっちゃけると、ネタがありません。皆さんこんなこと書けばいいというようなものがあれば嬉しいです、ネタください。

これから先、ちょっとリアルで色々あるので、また投稿期間が空いてしまうと思います。長らく待たせてしまう場合もあるので、ご了承の程、よろしくお願いします。
 
 
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