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ぬらりひょん

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第四章

「どうもね」
「あれっ、そういえば」
「見ないわねあの人」
「お茶出してくれてすうって消えたわね」
「そうなったわね」
 二人もこう言った。
「まさに妖怪ね」
「忙しい時に誰も気付かないうちに入ってくつろいで」
「それで帰っていくなんて」
「お話通りね」
「そうした妖怪ね」
「本当に」
「いや、実在したのね」
 また言う穂乃香だった。
「ぬらりひょんって」
「そうみたいね」
「本当にいたのね」
「お茶出してくれたけれど」
「やることはやったわね」
「お茶飲んでお菓子食べてね」
「煙草まで吸って」
 二人で言う、そして穂乃香も言った。
「うちで煙草吸うのってお祖父ちゃんだけだし」
「その今は京都に行ってる」
「その人だけなの」
「お父さんもお兄ちゃんも吸わないの」
 そうだというのだ。
「だからすぐにわかったわ、勿論お母さんも妹も吸わないしね」
「妹さん吸ったら駄目でしょ」
「未成年なのに」
 高校生の穂乃香の妹なら未成年であることは絶対である。
「それで吸ったらね」
「駄目でしょ」
「お店の人でここに来る人もいないし」
 穂乃香達の生活の場にはというのだ。
「だったらね」
「間違いなくなのね」
「ぬらりひょんが吸ったのね、煙草は」
「ええ、けれど飲んで食べて吸ってそのままにしてるから」
 穂乃香はこのことも話した。
「後片付けはしないとね」
「それはやれやれね」
「本当にね」
「ええ、ただ本当にいたことは」 
 そのことはと言う穂乃香だった。
「わかったわ、そのことは何よりね」
「そうね、じゃあね」
「私達が後片付けして」
「それでアルバイト料貰うわね」
「そうさせてもらうわね」 
 るかと恭子も応えてだ、そうしてだった。
 三人でぬらりひょんがくつろいだ跡の片付けをした、妖怪の置き土産を。


ぬらりひょん   完


               2018・3・27 
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