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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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四人目の客

 
前書き
戦闘のワンパターン化が否めないここ最近・・・シリルvsレオンが一番よかった・・・ 

 
アルバレス軍の大半の戦力が削られつつあるハルジオンの街。それもあって現在は一人の男を倒すことに多くの人員が裂かれていた。

「メガメガクラゲェ!!」

長い爪を振るってやみくもに敵を討とうとするトビー。しかしそれが当たるはずもなく、天海はすべてを交わし切ると、トビーの顔面に拳を叩き込み地面に沈める。

「ネ拘束チューブ!!」
「ポッチャリなめちゃいけないよ!!」

ミリアーナがチューブを飛ばしリズリーが天海が逃げ出さないように重力をかける。それなのに彼は一切スピードが落ちることなく、ミリアーナの攻撃を全て交わしてしまった。

「スパイダー!!」
「ニンジンミサイル!!」

続け様に魔法を打ち込むアラーニャにベス。彼女たちの攻撃も決して悪くはない。だが天海からすれば、それは赤子の攻撃と大差がないのかもしれない。

「無駄だ」

腕を横に振っただけにも関わらず二人の攻撃を弾き返してしまう。

「もっと強い奴はいないのか?」

そう言って彼が集中的に相手をしているのはやはりこの少年。全身がアザだらけになっている彼は敵の攻撃を凌ぐのがやっと。反撃の余地を与えてもらう隙すらない。

「天竜の翼撃!!」

そのタイミングでこの少女が動いた。天海がレオンに集中すれば、多少なりとも隙が生まれる。そこで放たれた攻撃に青年は足を取られ転倒する。

「氷神の握撃!!」

その好機を逃がさないようにとレオンが拳を降り下ろす。それは天海を捉えたかと思われたが、またしても寸前でガードされてしまっていた。

「迷いがあるのか?レオン」
「!!」

天海の手を振り払い再度攻撃に出ようとしたが、彼は頭跳ね起きで彼を飛び越えると、レオンの背後を取る。

「俺に勝ちたければ俺を殺すつもりで来い。そうじゃなければ貴様が死ぬだけだ」

青年の拳が脇腹に突き刺さる。追撃を喰らわせようとした天海た が、その間に復活したジェラールが割って入った。

「やらせるか!!」

流星(ミーティア)で加速したジェラールは天海の攻撃を防ぐと、レオンを脇に抱えて距離を取る。

「全員!!離れろ!!」

その声と共に上空に異変が起こる。晴天に恵まれていたはずが雲が覆い被さって来ており、それが渦を巻き始める。

「この魔法は・・・」
「大地が揺れる・・・」

低い姿勢になり魔力を高めていく。やがて、渦を巻く雲の中心から、巨大な隕石が降り注いだ。

星崩し(セーマ)!!」

七星剣(グランシャリオ)を遥かに凌ぐ隕石の落下。それを受けた地面はクレーターとなり、近くにいた魔導士たちも立っていられずに転倒している。

「やったか・・・」

ジェラールの持つ最強の魔法。それをまともに食らえばいくらなんでも・・・その考えすらも、甘いと言わざるを得ないのか。

「下らない魔法だな」
「!!」

クレーターのもっとも低くなっているところにいたはずの天海。それなのに彼はところどころに傷があるだけで、倒れるほどのダメージには至っていなかった。

「ウソ・・・」
「こんなことが・・・」

ウェンディとジェラールが目を見開く。これほどまでの実力者が揃い、それぞれの最高の魔法を惜しげもなく注ぎ込んでいるにも関わらずどれも通用しない。青髪の青年の後ろにいる金髪の少年は、いまだに悩んでいる友へと視線を向けた。

(このピンチを打破するのは、やはりお前の力がないと無理だ。早くそのことに気付けよ、シリル!!)

顔を俯かせたままの友に苛立ちを募らせる。悪化する事態を救うキーマンは、彼しかいない。そのことに少年が気づく様子は一向に見受けられなかった。
















バタンッ

音を立てて地面へと伏せるギルダーツ。その男に攻撃を加えたティオスは唇を舐めた。

「ギルダーツさん!!」
「おい!!しっかりしろ!!」

痛みで気を失っているギルダーツ。スティングとグラシアンは彼を揺するが目が覚めるはずもなく、諦めて男を守るように前に立つ。

「未来から来た・・・だと?」
「そうだ。エクリプスの扉を使って・・・な」

マカロフが言っていたゼレフに似た魔力を持つ魔導士ティオス。その理由は彼が未来からゼレフの生み出した魔術、エクリプスを通じてやって来たからだ。そのせいで彼の体にゼレフに似た魔力が残留し、ゼレフの子供と勘違いされる結果となった。

「俺らの仲間に、お前みたいになる奴はいない!!」
「今はな。だが、一人いたじゃないか」

そう言ってティオスが指を指したのは・・・

「七年・・・いや、六年後の俺か」

影竜ローグ。大魔闘演武後にドラゴンを操り街を破壊しようとした未来のローグ。彼のように突然性格が変化してしまうものもいるからとティオスは言いたいようだ。

「だが、俺はもうああはならない!!もし俺が闇に落ちるなら、こいつらが俺を殺してくれるはずだ」

それを聞いた瞬間、三人はそれぞれ別の表情を浮かべた。スティングは顔を俯かせ、グラシアンは唇を噛み、ティオスは笑みを浮かべる。三者三様。

「殺せるのかね?君の仲間は」
「もし道を踏み間違えたらそれを正してやる。それが仲間だ」

ローグの言葉にフードの上から顔を抑えて懸命に笑いを堪えるティオス。それにローグはキレた。

「何がおかしいんだ!!」
「おかしいに決まっているさ。まさかそんな絵空事を恥ずかしげもなく言える人間がいるとはな」

その言葉にますます苛立ちが込み上げてくる。拳を握り締めたローグはそれを震わせていた。しかし、ティオスはその拳を振るうことを許さない。

「そもそも、闇に落ちた君を彼らが止められなかったからあんなことが起こったんじゃないのか?」
「「「!!」」」

それが正論。仲間が助けてくれるから大丈夫・・・そう思いたくてもできない。なぜなら未来では自分が逆に仲間二人を殺してしまうのだから。

「ちょっと考えればわかることだ。君をもし止めてくれる人がいればあの事件が起こることはなかった。それが出来ないからあんなことになり、人々は苦しんだんだよ」

そう告げるティオスの笑みには悪意しか感じられなかった。すべてを見通しているからこそ言える絶対的な自信。未来は変えることができないと察した冷たい空気。それこそが彼の存在を生み出す原因となったのだから。

「人は変わる。それは誰にも止めることができない。止めることができるとすればそれは・・・」

人差し指を立てそれを構える。その先に溜まっていく魔力は次第に大きくなっていき、三人へと放たれた。

「本人だけだろうな」

目にも止まらぬスピードで放たれたレーザー。それはローグを捉える直前―――

封印の氷地獄(コキュートス)!!」

レオンに変身したグラシアンによって止められた。

「スティング、ローグ・・・」

二人の竜の前に立ち元の姿へと戻っていく青年。彼はドラゴンフォースを解除しており、本来の姿になっていた。

「昨日、秘策があるって言ったの覚えてるか?」
「あぁ」

ベースキャンプで今回の布陣になるきっかけとなった発言。グラシアンは顔を俯かせた後、静かな口調で語りだした。

「できればやりたくなかったんだが、そうも言ってられない」

彼は二人をかつてシリルとソフィアにやったように魔力の球体に閉じ込めて隔離する。

「おい!!グラシアン!!」
「これはどういうことだ!?」

ガンガンとその球体を叩くが一向に壊れる気配がない。グラシアンは振り返ると、彼らに最大限の笑みを見せた。

「今日で三大竜は解散だ」

そう告げられた二人の竜は、彼がやろうとしていることに気付き、絶叫したのであった。



















ティオスたちの戦いから後方に離れたその地では、アイリーンが空を見上げ物思いに更けていた。

「ジュリエット、ハイネ、あなたたちも前線に行きなさい」
「は」

唐突に口を開いた彼女にハイネはすぐさま返事をしたが、ジュリエットは不満げな顔を見せた。

「えー!!なんで~!?ブラッドマンとゴッドセレナがいれば大丈夫でしょ?ティオスもいるし」
「“様”をつけんか!!直属でなくても上官だぞ!!バカ」

どこか抜けたようなジュリエットにハイネが大きな声で注意する。アイリーンはそれに怒る素振りも見せない。

「3人目の客が到着したわ」
「3人目?」
「そう・・・天馬と虎・・・これが最初の客。2人目の客が妖精。そして3人目の客・・・少し面倒くさそうね」

アイリーンの言う3人目の客は元六魔将軍(オラシオンセイス)の五人のこと。だが、彼女が感じ取ったのはそれだけでは終わらない。

「そして一番やっかいなのが4人目のお客様ね」
「!!」
「まだ来るんですか~」

みるみる増援が押し寄せてきているのかも思い面倒そうにしていたジュリエットだったが、アイリーンの次の言葉でその反応は一転した。

「これは敵でも味方でもない。私がやらねばならないわね」
「何者か知らないけどすごいバカ」
高位付加術士(ハイエンチャンター)のアイリーン様を敵に回すなんて。くぷぷ」

自分たちの上官に絶対的な信頼を寄せている彼女たち。二人は彼女の指示に従い、前線へと駆けていった。

トンッ

少女たちの姿が見えなくなるとアイリーンが杖で地面を突く。すると、そこから光が広がっていく。

「4人目の客が到着する前に準備しておかなければならないわね。
陛下の戦略ゲームもここまで。と言っても普通に戦っていたら我々の勝利だった。ゲーム盤が壊れたと言うべきかしら。ルール外の者の手によって・・・」

アイリーンが感じ取った魔力。それはもうすぐそこまでやって来ていた。

















ブラッドマンと対峙しているガジルとレビィ。彼らはブラッドマンの放出する魔障粒子に苦戦を強いられていた。そしてそれ以上に劣勢になっているのは・・・

「暴風竜の・・・吟風弄月!!」

打ち出された風のブレスに大爆発が起こる。イシュガル最強と謳われる魔導士ゴッドセレナの前に、オルガにルーファス、助太刀に駆けつけたミラジェーンたちは活路を見出だせないでいた。

「なんて力だ!!」
「これが大陸(イシュガル)一の魔導士・・・」

八つの滅竜魔法を使えるゴッドセレナ。しかも彼はまだ四つしかそれを使っておらず、余力が十分に見受けられる。

「そろそろ本気で行かせてもらうかな」

そう言った瞬間、彼の体から光が溢れだした。その輝きに彼らは思わず目を閉じる。

「光聖竜の・・・破壊光線!!」

両手を合わせて音速を凌駕する速度のレーザーを放つ。それは運良く命中こそ免れたが、エルフマンの腕を掠りそこから大量の血が吹き出した。

「っ!!」
「エルフマン!!」

腕を抑えてうずくまるエルフマンに駆け寄るミラジェーン。だが、彼女がそちらを見た時、最初に見えたものは・・・

「なっ・・・」

今の攻撃によりアルバレス軍の兵隊が消し飛んでいる光景だった。

「ありゃ?やり過ぎちまったか」

それを見ても別段気にした様子もないゴッドセレナ。その声を聞いたミラジェーンの目の色が変わる。

「あなた・・・仲間を殺しても何とも思わないの」
「やり過ぎたとは思ったけど、戦争に犠牲は付き物だしな」

極当たり前といえる思考回路。だが、それは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちからすれば許しがたい行為。

「私はあなたを許さないわ」
「そういう台詞は、俺に勝ってから言ってくれよ」

八竜の男はそう言うと、両手を大きく広げる。そこから右手を上に、左手を下になるように移動させていくと、黒い禍禍しい魔力が溜まっていった。

「暗黒竜の・・・悪夢黎明!!」

再び横に腕を広げた瞬間、彼女たちを囲むように辺りが暗闇に染まる。それは隣にいる人物の顔さえもわからないほどの深い闇。

「暗い・・・でも・・・」

ミラジェーンはサタンソウルでレオタード姿の悪魔に変身すると、魔力の気配を察知してそこに飛び込む。

「うおっ!!」

それは見事にゴッドセレナを捉え、一撃を与えることに成功した。

「やればできるじゃねぇか!!なら・・・」

ミラジェーンが再び攻撃を繰り出そうとするよりも早く、ゴッドセレナの体から電撃が発せられる。

「ミラ姉!!危ない!!」
「!!」

それに気が付いたリサーナが叫ぶが時すでに遅し。ゴッドセレナは彼女に容赦のないアタックを仕掛ける。

「雷電竜の・・・天災地変!!」

空からミラジェーン目掛けて落ちてくる雷。それを受けた彼女は悲鳴を上げ、その場に力なく伏せる。

「トドメだ。有害竜の・・・」

毒々しい魔力を溜めた拳を振り下ろそうとしたその時、彼は何かを感知し動きを止め、そちらに視線を向ける。

「だ・・・誰・・・」

歪な魔力に妖精も虎も表情が強張る。ゆったりとした足取りで現れたのは、ボサボサの髪の毛をした色黒の男だった。

「ドラゴンの匂いがするな」

そう言った彼はゴッドセレナを見据える。視線を向けられた彼は一瞬動揺したが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。

「アクノロギア・・・」
「え!?」
「こいつが?」

ドラゴンの姿しか見たことがないエルフマンたちはゴッドセレナの言葉に驚愕していた。今目の前にいるのは、人間としか思えない姿をしているからだ。

「まさかそっちから来るとはねぇ。俺はお前を倒すためにこの大陸(イシュガル)を・・・」

そこまで言いかけたゴッドセレナだったが、彼はそれ以上言葉を発することはなかった。なぜなら、目の前にいたはずのアクノロギアは一瞬のうちに彼の脇腹を刈り取り、死に至らしめたからだ。

突然の出来事に言葉を失うミラジェーンたち。アクノロギアはそこから霊峰ゾニアの方を見据える。

「完全なる滅竜まであと9・・・いや・・・」

何事もなかったかのように歩き始めるアクノロギア。その目には次のターゲットたちしか見えていない。

「10人か」

全てのドラゴンを滅するために動き出した竜王。一騎討ちだった戦いは、乱戦状態へと進んでいった。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ゴッドセレナのキャラがイマイチ掴めてなかった・・・
いよいよカウントダウンもあと三回。次は結構衝撃的な回になると思います。 
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