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夢幻水滸伝

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第四十四話 山と海その八

「そやからまずはな」
「仕事するんやな」
「仕事せんで適当なことしてたらや」
 ここでこんなことも言った中里だった。
「例の世人組みたいやろ」
「あのええ加減な連中か」
「そや、あの連中みたいになったらな」
「いらんな」
「あの連中はとにかく働かん」
 いつも適当な理由を付けて遊んで怠ける、報酬分は働いているだの適当なことを言ってそのうえである。
「僕もああはなりたくないからな」
「自分勤勉やねんな」
「勤勉っちゅうかな」
「あの四人見てるとか」
「神星としてそれはあかん」
「一つの勢力の責任者やからか」
「棟梁格や」
 綾乃、芥川と並ぶだ。
「それでしっかりせんとや」
「勢力も成り立たんか」
「そう思うからや」
「そやからやな」
「まずは仕事や」
 中里の目は本気だった、勿論顔も表情もだ。
「やることを十二分にやってや」
「そうしてか」
「それから名物楽しんでええやろ」
「そうか、ほなな」
「それでええな」
「ああ、わかった」
 確かな顔で答えた鵺だった、彼もそうした顔になった。
「ほなわしもや」
「一緒にそいつを仲間にしよな」
「ほなな、それでそいつは何処におるんや」
「両替商してるらしい」
「この岡山でか」
「それでえらい儲けてるらしい」
「両替商か」
「僕等の世界で言う銀行か、まあ銀行みたいなのも今後な」
 こう言った中里だった。
「国に必要やしな」
「それを作っていくことも考えてか」
「そいつを仲間にするわ、それでな」
「財政を確かにするか」
「国のな」
 それにすると話してだ、そしてだった。
 一行はその星の者が商っている両替商の店まで行った、するとその店は岡山城の城下町の中でも一際大きな店だった。
 その大店を見てだ、中里は言った。
「えらい儲けてるな」
「ああ、でかい店やな」
「これだけの店をやってるってことはな」
「相当なやり手やな」
「ああ、ほな今から店の中に入ってな」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「今からな」
「店に入るか」
「そして誘いかけるで」
「そのうえでこっちに来てもらおうか」
「是非な」
 二人で話してだった、中里は動物に見える鵺は店の前に置いておいてそのうえで店に入った。
 そうしてだ、すぐに店の者にその星の者のことを聞いた。
「ここに星のモンがおるって聞いて来たけどな」
「貴方はまさか」
 店の者である若いスコーンが中里を見てすぐに言った。背は一八〇程で痩せていて髪の毛以外に体毛はない典型的なスコーンの外見だ。黒い目は丸く大きく何処か愛嬌がある顔立ちもスコーン特有のもので着ている服は質素な商売人のものだった。
「関西の神星のお一人である」
「そや、中里雄一や」
「そうですね、貴方が来られるとは」
「ここの主に用があって来たんやけどな」
「まさかと思いますが」
「誘いをかけに来た」
 こうスコーンの店の者に話した。 
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