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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1994話

 イクシールを飲んだ荒垣は、危機的な状況からは回復した。
 詳しく検査をした結果、制御剤による副作用は大分回復したらしい。
 影時間関係について知っている医者も、何がどうなればこうなるのか分からないと、検査結果を見ながら混乱していたとか。
 まぁ、このペルソナ世界の魔法薬とは違って、俺が使ったのはネギま世界の魔法薬だ。
 文字通りの意味で別世界の魔法薬である以上、影時間関係の技術をベースにしている医者や研究者といった面々に、その辺りを理解するのは難しいだろう。
 ……もっとも、そのイクシールをもってしても、制御剤の副作用を完全に消し去るといった真似は出来なかったのを思えば、制御剤がどれだけ悪質な薬なのかというのを、意味しているが。
 イクシールというのは、ネギま世界の中でも最高級の魔法薬の1つだ。
 それこそ、ネギま世界と取引をしているシャドウミラーであっても、そう多くを得られている訳ではない。
 実際、俺の空間倉庫の中にあるのも、残り1本だけだし。
 まぁ、ホワイトスターに戻れば、使った1本の補充くらいは出来るだろうが……果たして、それがいつになる事やら。
 イクシールは俺が荒垣に言ったように、金を積めば買えるというものではない。
 稀少な品である以上、金が幾らあろうと、そうすぐにどうこうは出来ないのだ。
 取りあえず荒垣は、この前のように意識不明になるような事はないが、それでも制御剤の副作用から完全に回復した訳ではない。
 そんな荒垣から呼び出されたのは、もう数日で9月になる頃の事だった。

「で? こんな場所に呼び出してどうしたんだ? いやまぁ、俺としては嬉しいが」

 俺が荒垣に呼び出された場所は、美味いと評判の洋食屋だ。
 巌戸台駅から少し離れた場所にある店で、その評判と……何より、学生御用達といった感じで、大盛り無料というのが嬉しい。

「ちょっと相談しておきたいことがあってな。……岳羽の奴には、お前との話が終わってから話そうと思う。取りあえず注文してくれ。俺の奢りだ」
「そうか? まぁ、荒垣がそう言うなら」

 そう告げ、店員にジャンボエビフライセットを頼んだ。
 2980円と、この店の中ではかなり値段が高いメニューだ。
 内容は、そのメニュー名に相応しい、長さ50cmのエビフライが5本とサラダ、スープ、それにご飯かパンを選べるというものだ。
 俺が選んだのは、パン。
 ……エビフライとスープの洋食だと、どうしてもパンがあうような気がするんだよな。
 いや、ハンバーグならご飯の方を選ぶだろうけど。
 この洋食屋の名物料理と言ってもいい。
 普通なら数人で頼むようなメニューなんだが。
 50cm超えのエビフライともなれば、当然普通なら1人1本で十分だ。いや、2本くらいまではいけるか?
 食べるのが好きな奴とか、大食いの奴、もしくは部活帰りの生徒とかなら、もっと食えるだろうけど。
 ともあれ、そんなメニューを頼む。
 大食いチャレンジのメニューとかなら、何回でもチャレンジするんだが。
 荒垣も俺の食べる量については分かっているので、ジャンボエビフライセットを頼んでも、少しだけ反応したが、特に文句を言うような事はない。
 いや、寧ろ納得すらしていた。
 ちなみに荒垣が注文したのは、ハンバーグ付きのミックスフライセット。
 こちらもまた、それなりの金額がする代物だ。
 俺が頼んだエビフライ程ではないが、それなりに大きなエビフライと牡蠣フライ、イカフライ、カニクリームコロッケといった揚げ物料理があり、ボリューム的にはかなりのものだ。
 それでいて値段は1280円と結構お得なんだよな。
 ともあれ、俺と荒垣がそれぞれ注文し……そうして店員が夏には嬉しい氷水を置いていったところで、やがて荒垣が口を開く。

「急に呼び出して悪いな」
「いや、それは構わないさ。それより、そっちこそ病院はもういいのか?」

 意識不明の状態から回復して、まだ数日だ。
 普通であれば、こんなに早く退院など出来ないだろう。
 ……まぁ、影時間とかに関わってる時点で、到底普通とは言えないのだが。
 実際、病院の方では色々と騒ぎになりかけたという話は聞いているが、桐条グループの力でその辺りはどうにかしたらしい。

「構わねえよ。アクセルのあの魔法薬だったか? あれのおかげで、全く問題ねえしな。それより……」

 そこで一旦言葉を切った荒垣は店の中を見て、誰も自分達に注目してないのを確認し、それから再び口を開く。

「面倒な話は、料理が来る前に済ませておくか。……アクセル、お前の持っていた、イクシールとかいう貴重な魔法薬で俺は治った。お前には感謝している。けど……悪いが、ここで我が儘を言わせてくれ」
「我が儘?」
「ああ。……明彦達と行動を共にしたい」
「何でいきなり急にそんな気まぐれを起こしたのか、聞いてもいいか?」

 そう尋ねると、荒垣は沈黙する。
 言いたくないのか、それとも単純に言えないのか。
 その理由はともあれ、何らかの理由があるのは間違いないだろう。

「まぁ、元々荒垣が俺達と行動を共にしていたのは、半ば成り行きからだ。ゆかりのペルソナに関してのアドバイスを貰うとかな。……だが、それでも、何だかんだとここまで一緒にやってきた以上、もし抜けるんならその理由は聞かせて貰いたい。そう思うのは間違ってるか?」
「……いや、間違ってはいねえよ。そうだな、今まで世話になったんだ。アクセルには言っておいた方がいいかもしれねえな」

 気分を切り替えるようにコップの水を飲むと、荒垣はやがて重い様子口を開く。

「そうだな、何から話せばいいのか……まず、俺が以前桐条やアキ達とペルソナ使いとして行動していたのは、言わなくてもいいな?」
「ああ。けど、途中で荒垣だけ抜けたんだろ?」
「……そうだ。その理由が……天田だ」
「……は? 天田って、新しくペルソナ使いとして入った天田か?」

 何でその名前が出てくるのかは分からなかったが、俺が知っている天田と言えば、その天田しかいない。
 そして、実際荒垣が口にした天田というのは、その天田の事で間違いなかったらしい。

「そうだ。その天田だ。……アクセルも何度か遭遇したって話を聞いたが、影時間になるとシャドウは時々タルタロスから出て来て街中をうろつく。俺がアキ達と行動を共にしている時は、そういうシャドウを狙っていた」
「らしいな。その辺りは以前聞いた覚えがある」
「……アクセルも知っての通り、今はとにかく、以前の俺はペルソナを制御しきれずに暴走させる事が多かった。その暴走が、シャドウとの戦闘中に起きたら、どうなると思う? しかも、近くには影時間に適応した母親と子供がいる状態で」

 そこまで言われれば、俺も荒垣が何を言いたいのかというのははっきりと分かった。
 つまり、荒垣の暴走したカストールによって、天田とその母親は攻撃されてしまったのだろう。

「天田の母親は? まぁ、巌戸台分寮にいるって時点で、大体予想出来るが」
「ああ。……カストールの暴走によって……つまり、俺が殺してしまった」

 苦く深い溜息を吐く荒垣。
 なるほど。それで美鶴や真田達から離れていった訳か。
 無関係の天田の母親を殺した事、美鶴や真田といった仲間をカストールの暴走で傷つけたくなかった事……といったところだろう。
 そして、ペルソナを暴走させないように、どうにかして制御剤を手に入れた。
 ……その辺りのルートが非常に気になるんだがな。
 制御剤を荒垣に売っていた人物が、桐条グループの誰かと繋がってるとすれば……それが幾月である可能性も、決して否定出来ないのだから。

「それが原因で、美鶴や真田達から離れていったのか」
「ああ。……もっとも、どこかの誰かが来たから、また否応なくアキ達と一緒に行動する事になっちまったがな」

 そう言い、俺にジト目を向ける荒垣。
 まぁ、荒垣にしてみれば、俺のやった事は余計なお世話以外の何物でもなかったことか。
 個人的には、カストールを暴走させないようにしたんだから、感謝されてもいいとは思うんだが。
 ともあれ、これで荒垣がまた美鶴達に合流しようと考えた理由が分かった。

「天田を守るつもりか」
「……ああ」

 そして、あわよくば天田に母親の敵として討たれる……か。
 本当に荒垣がそんな事を望んでいるのかどうかは、俺には分からない。
 だが、荒垣の性格を考えれば、自分のミスで天田の母親を殺してしまった事に、強い後悔を抱いてるのは間違いないだろう。
 そもそも、そうでなければ巌戸台分寮から出ていくといった真似はしなかっただろうし。
 さて、それでどうするか、だな。
 正直なところ、最近は荒垣がいなければタルタロスを攻略出来ないという程ではない。
 後衛のゆかりと、前衛のコロマル。
 この1人と1匹の連携は、かなりスムーズになってきているのだから。
 勿論、荒垣がいなくてもいいという訳ではない。
 もし荒垣がいれば、より前衛は安定するだろう。
 コロマルは前衛は前衛でも、どちらかといえば敵の攻撃を回避するタイプだ。
 それに比べると、荒垣は敵の攻撃を防ぐといったタイプになる。
 つまり、同じ前衛でもタイプが違うのだ。
 であれば、当然荒垣がいた方が戦線の安定という意味では助かるのは間違いない。
 だが……荒垣の目を見れば、そこにあるのは覚悟を決めた目だ。
 それこそ、もしここで俺が駄目だと言っても、荒垣はどのような手段を使っても俺達の下から離れていくだろう。
 元々俺達は殆ど成り行きで一緒に行動するようになったのだから、抜けたいというのであれば……抜けさせた方がいいか。
 だが、もし天田に敵討ちをさせたいと思っているのであれば……さて、こっちはどうしたものか。
 個人的には敵討ちとか復讐は否定しない。
 だが……イクシールを使った荒垣が天田に復讐されて殺されるような事になると、それはそれで面白くない。
 そんな訳で、取りあえず荒垣には釘を刺しておくとする。

「分かった。お前がそこまで言うんなら、これ以上止めても無駄だろうな」

 その言葉に、荒垣が少しだけほっとしたのが分かる。だが……

「けど……」

 続く一言で、荒垣の顔が再び緊張感を持つ。

「お前を助ける為に使ったイクシール。あれは、本当に貴重な代物で、それこそ日本円にすれば数億、もしくはそれ以上の値段がついてもおかしくない代物だ」
「……ああ」

 俺の言葉に短く反応する荒垣。
 実際、ネギま世界においてもそれだけの価値があると考えてもおかしくない品なのは間違いない。
 ましてや、ネギま世界とは違うこの世界では、下手をすれば億単位ではなく兆単位の価値があると言われても、俺は不思議に思うような事はないだろう。

「そんな負債を抱えたお前が、天田に敵討ちとして殺されて、その億単位の価値のあるイクシールを使った意味が全くなかったなんて事にならないように、注意してくれよ?」

 取りあえず、こうして念を押しておけばそう簡単に荒垣が仇討ちで殺されるような事もない……筈だ。
 ここまで言っても、それを聞かないようであれば……それはもう、どうしようもないだろう。

「その言葉は、覚えておくよ。それで、俺はアキたちと一緒に行動してもいいんだな?」
「ああ。お前がそこまで考えているのなら、俺からはもう何も言わない。ただ、これだけは一応言っておくが……お前が死んで、悲しむ奴がいるというのは忘れるなよ」

 これは決して嘘という訳ではない。
事実、俺は何だかんだで荒垣に色々と料理を教えて貰っているし、ゆかりは荒垣からペルソナを操る際のコツのようなものを教えて貰っており、若干大袈裟かもしれないが、弟子に近いものがある。
 コロマルはまだそんなに荒垣と接している時間が多い訳ではないが、その短い時間でも荒垣に可愛がって貰っているのは間違いない。
 それだけに、荒垣が死ぬような事になれば、俺達は皆が悲しむ事になるだろう。
 ましてや、幼馴染みの真田や、以前は3人だけで行動をしていた美鶴なんかは、そんな荒垣が死ねば、色々と厳しい筈だ。
 天田の方も、まだ小学生で人を殺すというのは……将来的に色々と不味い事になるのは間違いない。

「……ふん」

 珍しく……本当に珍しく、荒垣は照れくさそうに視線を逸らす。
 どうやら自分が死ねば悲しむ者がいるというのは、荒垣にとってもかなり驚くべき事だったのだろう。
 まぁ、天田の母親を殺してしまってからは、後悔の中で生きてきたんだ。
 まさか、自分が死んでそんな風に思ってくれる相手がいる……というのは、完全に予想外だったのだろう。
 そんな荒垣の様子を眺めていると、やがて店員が注文した料理を持ってくる。

「ほら、食うぞ。ったく、物好きめ」

 荒垣は照れくささからか、そんな風に告げ……俺と一緒に、運ばれてきた料理に舌鼓を打つのだった。
 ちなみにエビフライは間違いなく美味かった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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