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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1990話

「うわぁ……ちょっと、凄いわね。強いってのは分かってたけど、それでもこうして実際に戦っているのを見ると、何とも言えなくなるわ」
「わふぅ……」

 ゆかりの言葉に、コロマルが同意する。
 ……当然だろう。現在俺達がいるのは113階。
 現在行けるタルタロスの中では、最高峰の難易度を誇る場所なのだから。
 そこで行われているのは、刈り取る者による戦い。……いや、蹂躙と呼ぶに相応しい。
 どんなシャドウが現れても、それこそ魔法やらスキルやらを使って一掃するその様子は、刈り取る者という名前に相応しい。
 中には偶然耐性を持っていて、刈り取る者の魔法にも耐えるようなシャドウもいたが、そんなシャドウが相手でも、別の属性の魔法を使われればどうしようもない。

「強い……けど、強すぎるということもあって、戦闘には出せないな」

 恐らく、この世界の原作では刈り取る者が仲間になるというような事態はなかったのだろう。
 それこそ、ラスボス……とまではいかないが、相応の強さを持つ敵だったのは間違いない。
 そんな刈り取る者だが、俺との間で召喚魔法の契約が成立して、こっちの味方になったのだ。
 これは、原作とは大きく違う展開……の筈、だと思う。
 勿論、実際には原作でも何らかの条件を整えれば、刈り取る者が仲間になった可能性は決して否定は出来ないのだが。

「……」

 シャドウを倒し終わった刈り取る者は、そのまま俺の影に触れて姿を消していく。
 影に消えるという行為は、影の転移魔法を思い出すが、その辺りに問題はなく、以前のように普通に転移魔法を使えるというのは既に調べ終わっている。
 実際、今日タルタロスに来るのだって、普通に転移魔法で来たし。

「取りあえず、普通の戦闘では刈り取る者は出さないようにしようと思う。その理由は分かるな?」
「さっきアクセルも言っていた、強すぎるというのが理由でしょ?」
「正解だ」

 この世界のラスボスがどのような存在かは分からないし、タカヤのようにこっちに敵対的な奴もいる。
 タカヤはこっちで捕らえているが、ジンだったか? あの男は結局まだ見つかっていないしな。
 そう言えば、あのジンって奴……以前どこかで顔を見た覚えがあるんだよな。
 ただ、名前を聞いても初めてのものだった事を思えば、会って話したとかじゃなくて、どこかでちょっと見た程度……といった感じだと思うんだが。
 問題なのは、俺がこの世界に来てから会った奴の数はちょっと洒落にならないくらいいるって事か。
 勿論しっかりと自己紹介したような相手ともなれば、かなり少なくなる。
 だが、それこそ名前も知らない相手……つまり、ちょっとすれ違ったような相手ともなれば、それこそ世界に名だたる大都市東京にいるだけに、どうしたって数え切れない相手となるのは当然だった。
 ……それでもジンの事をどこかで見た覚えがあるかも? と思えるのは、恐らく何らかの理由で強く印象づけられたから、だと思うんだが。
 正直なところ、その辺りを完全に思い出すのは不可能だ。
 いや、今はジンについて考えている場合じゃないか。

「アクセル? どうしたの?」
「ああ、悪い。以前タカヤと一緒にいた、ジンって奴を覚えてるか? 陸軍の旧基地で会った」
「え? 何よりいきなり。……まぁ、覚えてるけど」
「わん!」

 ゆかりの言葉に、コロマルも忘れていないと吠える。
 あれだけ印象強い出来事だったし、今月の事なんだから、覚えていてもおかしくはないか。

「あの時にタカヤと一緒にいた、ジンって奴。そいつ、どこかで見た覚えがあるんだよな。名前は知らなかったから、どこかですれ違ったとか、そういう程度かもしれないけど」
「ふーん。……けど、ストレガだっけ? 影時間に適性があるのなら、タルタロスがあるこの辺で活動していてもおかしくはないんじゃない? それこそ、街ですれ違った事があってもおかしくないと思うけど。……まぁ、あのタカヤって人なら、一度見れば忘れられないけど」
「それは否定しない」

 上半身裸の男が、屋久島のような場所ならともかく、こうして街中にいれば酷く目立つのは当然だろう。
 それこそ、普通に警察を呼ばれてもおかしくはない。
 いや、でもタカヤは男だし、上半身を脱いでるだけならそこまで問題にされないのか?
 下半身ならともかく、上半身が裸の男というだけだと、その辺りの判断は結構曖昧だからな。

「ジンと名乗った男の方も、それなりに印象強い奴だったけど、どうしてもタカヤに比べるとな」
「……そうね。色々な意味で強烈な印象を残してくれたものね」
「わん!」

 ゆかりどころか、コロマルにまでこうやって同意するように吠えられるというのは、タカヤはそれだけ印象強かったという証なのだろう。
 もっとも、今となってはその辺りはあまり意味がないのかもしれないが。

「ともあれ、桐条グループの方でもジンは探していると思うし、見つかれば美鶴から連絡が来る筈だ」

 桐条グループという言葉に、ゆかりは微妙に嫌そうな表情を浮かべる。
 以前は思い切り嫌そうな表情を浮かべていたのを思えば、まだ嫌ってはいるが、以前に比べると大分桐条グループに対する感情もマシになってきたといったところか。
 この辺りは、何だかんだと美鶴との関係や……そして何より、屋久島で武治と直接会って会話を交わした事が良い方向に向いたと考えるべきか。
 ただ、相変わらず母親との仲は険悪なままだ。
 赤の他人、それどころか父親をスケープゴートにした桐条グループに対しては大分感情が和らいできたというのに、何故母親は駄目なんだろうな。
 いや、いざ嫌うとなれば、母親という近い間柄だからこそ許せないのか。
 ましてや、美鶴程ではないにしろ、若干ファザコン気味のゆかりが、その父親の妻であった母親が男に溺れているというのを知れば、やはり面白くないのだろう。
 その件もいずれどうにかする必要があるだろうな。
 特にゆかりは、まだ直接聞いた訳ではないが、これまでの感じからすると、俺と一緒にホワイトスターに来るという選択をするだろう。
 となると、やはり母親に俺達の事情を……正確に全てを話すのは、ゆかりから聞いた母親の性格からすると止めておいた方がいいだろうが、それでもある程度は話しておいた方がいい筈だ。
 ここで正確にシャドウミラーについて話したりすれば、それこそ溺れている男にその辺りの話をし、妙な面倒が起きる予感がするし。
 ……いや、妙な騒動が起きるよりも前に、桐条グループの手によって黙らせられるか?
 それが物理的に口を封じるのが、それとも脅し的な意味で口を封じるのか、その辺りは分からないが、桐条グループはこの世界でも有数の企業グループだ。当然後ろ暗い事を行うような部署があってもおかしくはない。
 実際、影時間の研究をしていた辺りはその後ろ暗い方に入るのだろうし。
 武治の性格を考えれば、その辺りがどうなっているのかは、はっきりとは分からない。分からないが……それでも、何らかの手足があるのは確実と思ってもいい。

「アクセル、それでこれからどうする?」
「どうするって言ってもな。……正直なところ、今日はもうやる事はないぞ。今日の主目的は、お前達に刈り取る者の能力を見せる事だったし。……ああ、そう言えば刈り取る者の件は美鶴達に話した方がいいと思うか?」

 美鶴に知らせれば、当然のように幾月にも知られる事になる。
 だが……ぶっちゃけ、刈り取る者の事を幾月に知られても、何が出来る? というのが正直なところだ。
 以前であれば、色々と武治辺りを誤魔化すような真似をして何かちょっかいを掛けるような真似が出来たのかもしれないが、今の幾月は桐条グループによって色々と疑われ、調べられている状況だ。
 そんな中で、俺に妙なちょっかいを出せる余裕があるとは思えない。
 まぁ、刈り取る者はシャドウとしてはかなり特殊な存在……それこそイレギュラーシャドウよりも特殊と言ってもいいかもしれないが、俺と召喚魔法の契約を結んだ以上、既に刈り取る者はシャドウという扱いではなく、召喚獣という扱いになる。
 ましてや、影時間でなくても姿を現す事が出来るんだから、とてもではないがシャドウと呼ぶのは不可能だろう。

「うーん、言った方がいいと思うわよ? 真田先輩達も死神……刈り取る者は間近で見てるし、これから協力してイレギュラーシャドウを倒したり、タルタロスを攻略しようって時に、いきなり刈り取る者を出したら危ないでしょ?」
「そうか? ……いや、そうだな」

 間違いなく、今の状況で刈り取る者を見たら、真田とか順平とかは攻撃してきそうな気がする。
 であれば、やはり今のうちにしっかりと話をつけておいた方がいいのは事実、か。

「分かった。じゃあ、今日……は影時間が終わればもう夜中だし、明日にでも巌戸台分寮に行ってその辺を話すか。時間を決めて全員揃っておいて貰うようにメールを送っておく」
「わん!」

 何故かその言葉に返事をしたのは、ゆかりではなくコロマルだった。
 いやまぁ、コロマルも俺達の仲間なんだし、しっかりと人間の言葉を理解出来るだけの頭脳を持ってるんだから、当然なんだろうが。
 ……にしても、やっぱり以前ちょっと思いついた、コロマルが何故ペルソナを使えるかの疑問で、人間に近い知能を持っているからというのは、あながち間違いじゃないような気がするな。
 動物園とかに時々いる、人間とコミュニケーションを取れる猿とかオラウータンとか象とか、そういうのって実はペルソナ使いになれる素質を持ってるんじゃないんだろうか。
 そんな風に思いつつ、コロマルを撫で……

「なら、そうだな。今日は俺が今まで見せてなかった能力を1つ、見せるか。今までは荒垣と一緒だったり、ゆかりに俺の事を話してない関係で使ってなかった奴」
「……え? まだ何かあるの?」

 驚きの表情を浮かべるゆかりだったが、実はまだあるんだよな。

「結構前から、俺が1人でタルタロスを攻略する事が多かっただろ? その時、どんな風に攻略していた……それを見せようと思ってな」
「どんな風に攻略していたか? まぁ、気になるわね」

 実際、普通に攻略……つまり歩いてタルタロスの中を探索するのでは、かなり面倒臭いのは間違いない。
 それを考えれば、当然のように俺が何か別の……特殊な手段でその辺りを探索していたのは、すぐに分かるだろう。
 それでも俺にその辺りの事情を聞いてこなかったのは、俺が色々と隠し事をしていると理解していたからか。

「そうだな、どうせなら刈り取る者にも見せておくか」

 そう言い、軽く出てこいという意思を込めて影を踏むと、それを合図にして先程同様に刈り取る者が姿を現す。
 ……グリを呼ぶ時は、今の状況でも呪文の詠唱が必要なんだが。
 それよりも遙かに素早く召喚が可能で、更にその大きさは人間とそう変わらない。
 勿論普通の人間よりも大きいが、それでもグリとは比べものにならない程の小ささしかない。

「……」

 相変わらず銃身の異様に長い拳銃を両手に持っているが、それでも何かを口に出す様子はない。
 それでいながら、俺がこれから何をするのかは知っているらしく、ただ黙ってこちらに視線を向けていた。
 俺の影に待機している以上、こっちの話もきちんと聞こえていたと、そういう事なのだろう。
 影という空間の中が具体的にどうなっているのか。そして、影の中にいる時に刈り取る者は何をしているのか。
 その辺りの事情は俺にも分からないが、いつか刈り取る者から聞かせて貰えれば、少し面白いと、そう思う。

「事情は知ってるみたいだから、説明はしないぞ」

 そう告げると、刈り取る者は微かに頷き、俺の後ろに控えるように移動する。
 ……そんな刈り取る者の姿を見て、ゆかりとコロマルは反射的に構えていたが……この辺りも、いつか対処出来るようになればいいんだけどな。

「落ち着け。さっきも言ったけど、刈り取る者はもう俺の召喚獣という扱いになったから、攻撃される心配はない」
「分かっては、いるんだけどね。……どうしても」
「わん」

 コロマルよりもゆかりの方が刈り取る者に対して強い警戒心を抱いているのは、それだけ何度も刈り取る者とゆかりが遭遇したからというのが大きい。
 そのうち、時間を掛ければどうにかなって欲しいとは思うけどな。

「さて、じゃあ話が一件落着したところで……やるか」

 実際には一件落着していないのだが、取りあえずそう言って誤魔化しておく。

「スライム」

 その呟きと共に、俺のすぐ側の空間から銀色の液体金属のような存在が姿を現す。
 そう、空間倉庫から姿を現したスライムだ。
 物を吸収すればその分だけ容量を増しているこのスライムは、既にその大きさは空間倉庫からちょっと全てを出せない程度になっている。
 よって、出てくるのは必要な分だけだ。

「行け」

 その言葉と共にスライムは薄くなって広がってタルタロスの中を移動していき……数分と経たず、シャドウは全て倒し、宝箱を持って俺の下に戻ってくるのだった。

「なによそれええええええっ!」

 そんなやり取りを見た、ゆかりの叫びと共に。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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