FAIRY TAIL 魔道を歩む忍
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
二人の救世主の章
第五十三話 驚天動地
長門とキョウ。かつて自来也に師事していた二人の弟子が戦っていた。長門はキョウの中に眠る九尾を捕えるため。キョウは長門を倒しこの戦いを止めるために戦っていた
(自来也先生のと同じ仙術ならば接近戦は不利だな...)
長門は蛙組手を警戒し素早く口寄せの印を結ぶ
「口寄せの術!!!」
ボンと巨大な白煙が出現し舞い上がる。それを払い除けそこらの建物よりも巨大なサイが現れる。頭のてっぺんに杭が埋め込まれ、眼は長門同様輪廻眼になっている。出てきて早々にキョウ目がけて突進した。しかしキョウはサイの一本角をがっちりと掴む。サイはそれ以上前に進むことなく上空に放り出された
『影分身!!』
影分身を作り、その分身体はサイ目がけてジャンプした
『仙法・大玉螺旋丸!!!』
それをもろにくらったサイは白煙とともに消え去る。しかし長門はそれを見るや否やすぐさま口寄せをする。今度ははたまた巨大な犬と水牛、それにコンドル。三体とも先程のサイと同様に体のどこかに杭を打ち込まれており輪廻眼を有している
「同時に三体も...!!くそっ...!!」
歯を食いしばるキョウ。今の魔力では妙木山から三体の蝦蟇を口寄せするのはやろうと思えばできなくもない。しかしそれをやってしまうとかなりの魔力を消費してしまい長門に対応できなくなってしまう。加えて仙人モードもあと数分しか持たない。悩んだ挙句キョウは答えを出した
「口寄せの術!!」
白煙が上がるとそこには巨大な蝦蟇が三匹。キセルを銜え背中に『蝦』と刻まれた羽織を着ている蝦蟇。青い体色に刀を背負い腹巻をしている蝦蟇。大きな盾と刺又を武装した蝦蟇
「何じゃぁ!!ワシらを呼ぶとはかなりの厄介事かキョウ!!!」
キセルを加えた蝦蟇ことガマブン太。なかなか気性が激しい
「これはまた...」
腹巻をした蝦蟇。ガマヒロ
「自分..不器用なもんで...」
ブン太に比べると大人しい性格のガマケン
「あぁその通りだブン太!!みんな!!目の前のでかいのを頼む!!!」
「オッシャ!!!」
「うん」
「承知...」
ブン太はドスを、ガマヒロは背中の二本の刀を、ガマケンは刺又を構え、蝦蟇特有の跳躍力で三匹へと飛んでいった。キョウは長門の口寄せ動物たちを気にすることはなくなったが、問題は仙術チャクラ。三匹の蝦蟇を口寄せした影響で消えかかっていたのだ
(まずいな...このままでは...)
少し自信を無くしてしまう。それもそうである。相手は膨大な魔力と自身の写輪眼の究極形態である輪廻眼まで有している。しかし自身はというと片目の写輪眼、消えかけの仙人モード。勝負は眼に見えていた。だが、今目の前に起きていることをキョウは驚愕した
「火竜の鉄拳!!!」
キョウにとって思いもよらない増援が来たからだ。ナツが長門を思いきりぶん殴っていたのだ。それをくらう長門は吹き飛ばされ壁に激突した
「ナツ!!お前どうしてここに!!?」
「あの野郎はぶん殴ってやらねぇと気が済まねェんだよ。それによ...」
「なんだ...?」
ナツはニカッと笑い
「また一緒に皆でラーメン食おうぜ!」
「ナツ...」
ナツは不安など微塵も感じてはいないのだろう。それにあきらめてもいない。その姿勢にキョウは感化され師である自来也の言葉を思い出す
『キョウ..お前に一つ教えておいてやる。忍びの才能で一番なのは持ってる術の数なんかじゃあねェ。大切なのは諦めねぇド根性だ!!!』
(そうだったな師匠。危うくあんたの教えを見失うトコだった...)
キョウから不安は取り除かれ晴れ晴れしい表情になる
「あぁ..そうだな...!!」
長門が立ち上がる。さほどダメージは受けてはいないようだった
「増援が来たところで無駄だ」
その言葉にナツがキレる
「うるせぇっ!!やっぱてめぇは何度もぶん殴ってやらねぇと気が済まねェ!!!」
「落ち着けナツ!!いいか...?」
ナツに輪廻眼の能力を伝える。吹き飛ばす術神羅天征。術との間にインターバルが約3秒程存在していること。他の能力を伝えようとしたがナツは長門に突っ込んでいってしまった
「三秒あれば十分!!」
「おいナツ!!まだ話は――ったく..」
キョウの静止も聞かずに突っ込んでいったナツに呆れると同時に安堵する
(だがこれで仙術チャクラを練れる...)
その場で座禅を組み目を閉じ集中する
「火竜の咆哮ッッ!!」
ナツの吐き出した炎が長門へ向かうがそれも弾き飛ばされるが、肘から炎を噴射しその勢いで長門に殴りかかる
「火竜の炎肘!!!」
「グッ..!!」
無防備な状態で攻撃を受けた長門は吹き飛ばされながらも体制を立て直す。すかさずにナツは攻撃を仕掛ける
「滅竜奥義・紅蓮爆炎刃!!」
フルパワーの滅竜奥義を放つ。インターバルの三秒はとっくに過ぎているがそんなことはお構いなくそれを放った
(神羅天征は間に合わないか..では餓鬼道でいくか)
長門の周りに薄い膜のようなものが出現しナツの炎を吸い取っていた
「ガッ!!」
ナツが驚いている隙にナツの首をつかみ持ち上げた。ナツは抵抗し暴れれるがそれと同時に先程の魔法を吸い取る術、封術吸引でナツの魔力を吸い取っていた。
「て..てめぇ..放し..やが..れ..」
徐々に力が抜けていき、ついには暴れる気力すらなくなり動きが止まってしまった
「仙術・螺旋連丸!!!」
仙術チャクラを溜め終わったキョウが技を放つが長門はナツを放しバックステップでそれをよけた。長門との距離が取れたのを確認するとぐったりしたナツを抱えさらに距離をとった
「ブン太!!ガマヒロ!!ガマケン!!」
三匹の蝦蟇に呼びかけナツを安全な所へと運ぶ
「こっちはとっくに終わっとる!!!いくでぇ!!!」
ガマヒロとガマケンはうなずいて長門へ向かっていく。しかし巨大すぎるその身体が仇となりなかなか攻撃が当たらない
「チィ!!ウロチョロしよってからに!!!」
だんだんと焦りが見えてきた。その焦りを煽るかのようにひらひらと攻撃をかわしていく
「むぅ...これではキリがありませんな...」
「どうする...?」
「だったら一斉攻撃じゃあっ!!」
三匹はそれぞれの武器を構え長門へ振り下ろす
「やるなら今だな…神羅天征!!」
三匹の攻撃は当たることなく三匹は三方向へ吹き飛ばされた。ガマヒロは外れの森へ、ガマケンは町はずれに、ブン太はギルドに吹き飛ばされた。その巨体ゆえに建物は一部崩れてしまった
フェアリーテイルのギルドにいた者たちも驚きを隠せなかった
「何だありゃあ!!!」
ガジルが吹き飛ばされてきたブン太をみて驚愕する
「で..でっかいカエル...!?」
「...が飛んで来たぁーーッ!!?」
「い...一体どんな戦いしてんだ...」
皆はもう人間の戦いではないことを察知し誰も加勢に行こうとはしなかった
「ワ..ワシは...家族が傷つき倒れているというのに...何もできんとは情けない...」
マカロフは自分の力の無さを悔やんでいた。しかしそんな中ただ一人だけ覚悟を決めた者がいた
「ウェンディ様...?」
マサムネがウェンディに問いかける
「まさか行くつもりでは...?」
その場にいた皆が驚愕しシャルルはやめるように説得を試みる
「なに言ってんのウェンディ!!!あんな戦いに巻き込まれたら死んじゃうわよ!!!」
それに続いてマサムネも続く
「そうです!!あの戦いに入ってもキョウ様の足手纏いになるだけです‥‥!」
「私はこのギルドの一員なんだ!!それにいつまでもキョウさんの後ろじゃなくて横に立っていたいの。だから私は行く!!!」
ウェンディはナツの壊した箇所から外へ出て戦場へ走っていった
「ウェンディ...」
「信じましょう。キョウ様を。そしてウェンディ様を...」
シャルルたちはただ静かに走り去るウェンディを見ているしかなかった
第五十三話 完
ページ上へ戻る