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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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第26話

~ハーメル廃道~



「あはは、なかなかいいじゃん!」

「フン、さすが皆伝に至っただけはありますわね……!」

それぞれが対峙している相手と距離を取ったシャーリィは不敵な笑みを浮かべ、デュバリィは鼻を鳴らして忌々しそうな表情でラウラを見つめた。

「そちらはそちらで更に腕を上げたようだ。」

「……まだ、届いていないか。」

敵の評価に対してラウラとフィーはそれぞれ静かな表情で答えた。

「うーん、”重剣”や”殲滅天使”に”ヴァンダールの槍”も相当だし、楽士のお兄さんや”聖竜”に”魔弾”のお姉さんの支援もいいけど……―――ねえ、灰色のお兄さん。どうして本気を出さないのさァ?しかもお兄さんの使い魔……じゃなくって婚約者だったか。何でその人達も呼ばないの?もしかしてシャーリィ達を舐めているのかなぁ?」

「………!」

それぞれの評価をしたシャーリィは不敵な笑みを浮かべてリィンを見つめ、対するリィンがシャーリィから漂う凄まじい殺気に気づいたその時

「させない!」

フィーがシャーリィ目がけて突進したが、斜め上方から自分に襲い掛かる狙撃の矢に気づき、シャーリィへの突進を中断して回避行動に専念した。

「狙撃………!」

「それも”矢”という事は、まさか……!」

狙撃による矢を見たステラが驚き、ある事を察したセレーネが真剣な表情で仲間達と共に狙撃が放たれた方向に視線を向けると、そこにはデュバリィと同じ騎士装束を纏った女弓騎士と斧槍(ハルバード)を持つ女騎士がいた。

「も、もしかして”鉄機隊”の……!?」

「ああ……他の隊士だ。」

「うふふ、”やっぱり”出て来たわね。」

「予想通りの展開ですが、”赤い星座”の援軍はいないみたいっすね。」

女騎士達の正体を察したエリオットの言葉にリィンは頷き、レンは意味ありげな笑みを浮かべ、フォルデは敵の援軍で”赤い星座”の猟兵達がいない事に気づいた。



「我が名は”剛毅”のアイネス。音に聞こえしアルゼイド流の後継者と遥か昔に失われたヴァンダール流の”槍”の後継者と(まみ)えて光栄だ。」

「”魔弓”のエンネア――――ふふっ、うちのデュバリィがお世話になったみたいね。」

斧槍(ハルバード)を持つ女騎士と狙撃を行った弓女騎士―――デュバリィと同じ”鉄機隊”の隊士であるアイネスとエンネアはそれぞれリィン達に名乗り上げた。

「こ、子供扱いするんじゃありませんわ!それとアルゼイドの娘と卑劣な手段ばかり取るヴァンダールの槍相手に礼儀など無用です!」

するとその時、転移魔術が込められた魔導具で転移したデュバリィが二人に注意し、シャーリィは驚異的な身体能力でデュバリィ達の所まで下がった。

「―――ま、それはともかく。改めて9対4……”対戦相手”も様子見みたいだし、とことん殺り合おうか?」

「まあ、いいでしょう。上手くいけば”起動条件”もクリアできそうですし。」

「”対戦相手”……?」

「”起動条件”だと……?」

リィン達との戦闘を再開しようとしたシャーリィとデュバリィの言葉にエリオットとアガットが眉を顰めたその時!

「ハッ、もらったぜ!!」

「おっと……!」

何とドラッケンを操縦するアッシュがシャーリィの背後から現れてシャーリィに奇襲し、奇襲に逸早く気づいたシャーリィは間一髪のタイミングで前方に跳躍して回避した。

「その声―――Ⅷ組のアッシュか!?」

「うふふ、”やっぱり”来たわね。大方演習の最中にランディお兄さん達の目を盗んでここまで来たんでしょうけど………どのタイミングでレン達の後を追って、しかも”自分達”どころか機甲兵(ドラッケン)をランディお兄さん達の目を盗んでここまで来た方法は純粋に気になるわね♪」

「か、感心している場合ではありませんわよ……というかどうしてその事をわたくし達に教えてくれなかったのですか………あら?”達”という事はまさかとは思いますが――――」

ドラッケンから聞こえてきたアッシュの声を聞いたリィンは驚き、小悪魔な笑みを浮かべたレンの言葉に呆れた表情で溜息を吐いたセレーネだったがある事に気づいた。

「あたしたちもいます!」

「参る――――!」

するとその時セレーネの予想通り、ユウナとクルトの声が聞こえた後ユウナとクルトは”鉄機隊”の側面から現れ

「ほう……!?」

「あら……!?」

アイネスとエンネアはクルトとユウナの奇襲攻撃をそれぞれ回避した後二人と対峙した。

「くっ、雛鳥ごときが―――ぐっ……!」

そしてユウナとクルトの奇襲に唇を噛みしめたデュバリィが何かに気づいて視線を向けたその時、片腕にアルティナを乗せたクラウ=ソラスがデュバリィを殴り飛ばした!



「”黒兎(ブラックラビット)……!貴女がいましたか……!」

「久しぶりですね、”神速”の。」

唇を噛みしめて呟いたデュバリィの言葉に対してアルティナは淡々とした様子で答えた。

「アルティナ……クルトにユウナまで……!駄目だ、下がってろ……!」

ユウナ達の登場に驚いたリィンはユウナ達に警告をしたが

「聞けません―――!貴方は言った……!”その先”は自分で見つけろと!父と兄の剣に憧れ、失望し、行き場を見失っていた自分に……間違っているかもしれない―――だが、これが僕の”一歩先”です!」

「………!」

「クルトさん……」

意外にもクルトが反論し、クルトの反論にリィンとセレーネはそれぞれ驚いた。

「クルト君……」

「―――命令違反は承知です。ですが有益な情報を入手したのでサポートに来ました。状況に応じて主体的に判断するのが特務活動という話でしたので。」

「それは………」

「ア、アルティナさんまで……」

「クク、1年半前の時とは比べものにならないくらい、”人”に近づいているようだな。」

「そうですね………それもリィンさん達――――”シュバルツァー家”での生活や第Ⅱ分校での学生生活によるものでしょうけど、この場合のアルティナさんの”判断”は褒めるべきか、叱るべきなのか迷う所でしょうね……」

クルトの意志を知ったユウナが静かな表情でクルトを見つめている中、クルトに続くように反論をしたアルティナの言葉にリィンは答えを濁し、アルティナまで命令違反に加えて反論までして来たことにセレーネは表情を引き攣らせ、口元に笑みを浮かべたフォルデの言葉にステラは苦笑していた。

「アル……すみません、教官。言いつけを破ってしまって。―――でも、言いましたよね?『君達は君達の”Ⅶ組”がどういうものか見出すといい』って。そしてセレーネ教官は『わたくし達に対する意見や注意して欲しい事があれば、遠慮なく言ってくださいね』って。自信も確信もないけど……3人で決めて、ここに来ました!」

「「…………………」」

「ハハッ……」

「君達……」

「……なるほど。確かに”Ⅶ組”だな。」

「しかもリィンとセレーネの言葉が全部ブーメランになってる。」

「クスクス、二人とも見事に返されたわね♪」

ユウナの主張に返す言葉がないリィンとセレーネが黙っている中、アガット達は苦笑し、レンはからかいの表情で呟いた。



「くっ、何を青臭く盛り上がってるんですの!?」

「あはは、愉しそうでいいじゃん。折角だからまとめて全員と殺り合ってもよかったけど……―――これだけ場が暖まってたら行けそうかな?」

自分達の存在を忘れているかのようなリィン達のやり取りにデュバリィが唇を噛みしめている中呑気に笑ったシャーリィは懐からボタンがついた何らかの装置を取り出した。

「おっと、イカした姉さん。妙なことはやめてくれよな?化物みてぇに強そうだが……勝手な真似はさせねえぜ?」

シャーリィの行動に逸早く気づいたアッシュはドラッケンを操作してドラッケンが持つ自分と同じタイプの得物の切っ先をシャーリィに向けて警告した。

「ふふっ、面白い子がいるねぇ。機甲兵に乗ってるのに全然油断してないみたいだし。」

「ハッ、戦車よりは装甲が薄いって話だからな。昨日みたいに対戦車砲(パンツァーファウスト)喰らったらヤバいってのはわかってんだよ。その化物みたいなチェーンソーもむざむざ喰らうつもりはねぇぞ?」

「ふふっ、パパが生きていたら君の事を気にいりそうだけど……今は引っ込んでてくれないかな?」

「てめえ……!」

そしてシャーリィがアッシュの警告を無視して装置のボタンを押したその時、何らかの駆動音が広場に聞こえてきた。



「な、なんだァ……」

突然の出来事にアッシュが戸惑ったその時アッシュが操縦するドラッケンの背後にドラッケンの何倍もの大きさがある人形兵器が現れ

「後ろ―――!?うおっ……!」

ドラッケンを一撃で殴り飛ばした!

「アッシュ……!?」

「大丈夫ですか……!?」

「ま、まさかこれも……?」

「結社の……人形兵器?」

「なんという巨きさだ……」

「……巨人機(ゴライアス)以上みたいだね。」

「………結社の”神機”。クロスベル独立国に貸与され、第五機甲師団を壊滅させた……」

「そしてパパ達に壊されたらしいけど……どうやら、それの後継機みたいね。」

「確か話によると”至宝”の力で動いていたらしいが……まさか”至宝”の力なしで動けんのかよ!?」

新たに現れた超弩級人形兵器―――”神機アイオーン”TYPE-γIIの登場にリィン達がそれぞれ驚いている中レンは真剣な表情でアイオーンを見つめ、アガットは信じられない表情で声を上げた。



「あはは、見事成功だね!」

「あとはどこまで機能が使えるかのテストですが―――っ……!」

アイオーンの起動成功にシャーリィが無邪気に喜んでいる中何かに気づいたデュバリィがリィンに視線を向けるとリィンは集中し、リィンに続くようにレンも集中した。

「リィンさん、行くんですね?」

「ああ―――こんなものを人里に出す訳にはいかない」

「後は任せたぜ。」

「わたし達がリィンがヴァリマールで実際に戦っている所を見るのはこれが初めてになるね。」

ステラの問いかけに頷いたリィンをフォルデは静かな表情で見つめ、フィーは興味ありげな表情でリィンを見つめ

「………!」

「まさか……」

一方リィン達の様子を見て何かに気づいたユウナとクルトが驚きの表情でリィンを見つめたその時

「来い―――”灰の騎神”ヴァリマール!!」

「来て――――パテル=マテル!!」

リィンはヴァリマールの名を呼び、レンも続くようにパテル=マテルの名を呼んだ!



~演習地~



「応!!」

「――――――!!」

それぞれの呼びかけに応えたヴァリマールとパテル=マテルは操縦者無しで起動し、2体が起動すると2体を収納していた列車の屋根や装甲が開いた。

「ええっ……!?」

「な、なんで勝手に……!?」

「ほう?オルキスタワーでの”神機”以来のようだなぁ?」

「あの時も疑問に思ったが、マジでどうなってやがるんだ!?」

突然の出来事に生徒達が驚いている中ランドロスは不敵な笑みを浮かべ、ランディは困惑の表情で声を上げた。

「ヴァリマール!リィン君から呼ばれたの!?」

するとその時トワがヴァリマールに近づいてヴァリマールに状況を訊ねた。

「―――うむ。尋常ではない敵が現れたらしい。生徒達もいるようだ。そなたらも征くといいだろう。」

「………!」

トワに助言をしたヴァリマールはパテル=マテルと共に空へと飛びあがり、主であるリィンの元へと向かい始めた!



「す、凄い……」

「ふふっ……選ばれし者の(はたら)きですか。」

その様子を見守っていたティータは驚き、ミュゼは静かな笑みを浮かべた。

「くっ、あそこまでの機動性があるとは……」

「―――ミハイル少佐、ランドロス教官とランドルフ教官も!TMPと領邦軍に連絡――――この場をお願いして総員、現場に向かいましょう!」

予想外の出来事にミハイル少佐が唇を噛みしめたその時トワが振り向いてミハイル少佐達に今後に行動を提案した。

「な、なんだと!?」

「ハッ……合点承知だ!」

「さぁて……悪ガキ共を連れ戻すついでに、俺達も加勢に行こうじゃねぇか!」

トワの提案にミハイル少佐が驚いている中ランディとランドロスはそれぞれトワの提案に頷いた。



~ハーメル廃道~



「あれは……!」

「ヴァリマールとパテル=マテル………!あの2体をリィンさんとレンさんが呼んだという事は、それ程の相手が”ハーメル村”に……!?」

廃道を進んでいたプリネとツーヤは空を飛んでハーメル村に向かっているヴァリマールとパテル=マテルに気づいて驚きの声を上げ

「…………――――急ぐぞ。”ハーメル”を”実験”の場に選んだ事…………奴等に必ず後悔させるぞ。」

「レーヴェ………ええ、急ぎましょう―――!」

「くふっ♪エヴリーヌは誰と遊ぼうかな♪」

目を伏せて黙り込んだ後静かな怒りを全身に纏ったレーヴェの言葉を聞いたプリネは少しの間目を伏せて黙り込んだが決意の表情になってツーヤとレーヴェ、そしてこれから結社の使い手達と戦う事を楽しみにしているエヴリーヌと共にハーメル村へと向かう足を速めた。



「あ、あれは……!」

「リィン教官とレン教官の……」

「”灰の騎神”とパテル=マテル……久しぶりですね。」

「ハハ、まさか演習地から飛んでくるとは……!」

空を飛んで近づいてきたヴァリマールとパテル=マテルに気づいたユウナとクルトは驚き、アルティナは静かな表情で呟き、アガットは感心した様子で苦笑していた。

「あははっ!これが噂の”騎神”だね!」

「来ましたわね――――パテル=マテルは少々予定外でしたが、想定の範囲内ですわ!」

地面に着地したヴァリマールとパテル=マテルの登場にシャーリィが興味ありげな様子でいる中デュバリィは真剣な表情で声を上げた。そしてリィンは光に包まれてヴァリマールの操縦席へと入り、レンはその場で集中をしてパテル=マテルの操縦を始めた。

「リィン、ヴァリマールも!」

「レン教官とパテル=マテルも御武運を……!」

「相手はクロスベル独立時に機甲師団を壊滅させた機体……」

「くれぐれも気をつけるがよい!」

「「おおっ……!」」

「うふふ、後はレン達に任せなさい♪」

「――――」

仲間達の声援に応えたヴァリマールとパテル=マテルはそれぞれの操縦者の操作によってヴァリマールは太刀を、パテル=マテルは両腕を構えて格闘の構えをした。



「ふむ、久々の実戦だが尋常な相手ではなさそうだ。」

「ああ、騎神とも機甲兵とも違う、奇妙な力の流れを感じる……まずはパテル=マテルと協力しつつ、様子を探っていくぞ!」

「承知……!」

そしてヴァリマールはパテル=マテルと共にアイオーンとの戦闘を開始した!大きさは数倍以上もあるアイオーン相手にヴァリマールとパテル=マテルは果敢に戦ったが、いくら攻撃しても全くダメージが通っている様子はなく、攻めあぐねていた。



「くっ、デカブツ相手に大したモンだが……」

「”神機”とやらもまた別格のようだな……」

「クロスベル解放の時にオルキスタワーで戦ったデカブツと比べても別格じゃねえか?」

「ええ……加えて、あの”神機”の操縦者は戦闘に縁がなかった”人”―――――ディーター元大統領でしたから……」

ヴァリマール達の攻撃が効いている様子がない戦いを見守っていたアガットは唇を噛みしめ、ラウラは真剣な表情で呟き、フォルデの推測に頷いたステラは考え込み

「途轍もない質量と装甲……それ以外にもあるみたいだね。」

「ええ……ヴァリマールの”太刀”は以前内戦終結の為に旧Ⅶ組の皆さんがわたくし達”特務部隊”の指揮下に入った際に、レン教官が皆さんに支給したウィルフレド様直々に作成された武装と同じ”オリハルコン”を始めとした様々な高位の鉱石で作られているのですから、攻撃が通らないなんて幾ら何でもおかしいですわ。」

「ど、どうしたら……」

フィーの推測に頷いたセレーネは真剣な表情で考え込み、エリオットは不安そうな表情で呟いた。するとその時デュバリィ達から離れたユウナ達がアガット達の元に到着した。



「結社が開発した合金、”クルダレゴンⅡ”。ですが”匠王”―――ウィルフレド様が直々に開発したオリハルコンを始めとしたゼムリアストーンよりも高位のディル=リフィーナの鉱石で作られた太刀が通らないのは妙です。」

「ああもう……!流石に相手が悪いでしょ!あんなデカブツに二機じゃ無理があるわよ!」

「そうか……!」

アルティナが淡々と分析している中ユウナは信じられない表情で声を上げ、何かに気づいたクルトは声を上げた後ある場所に向かって走り始め

「クルト君……!?」

クルトの行動に驚いたユウナはアルティナと共にクルトを追って行くと、アイオーンにふっ飛ばされたドラッケンに近づいたクルトはドラッケンの操縦席を開放した。

「……ク、クソが……」

「大丈夫か……!?」

「……ああ……だがクラクラしやがる……インパクトは外したから機体のダメージは軽いはずだ……不本意だが任せた……ブチかましてこいや……!」

「ええっ!?」

「もしかして――――」

クルトに向けたアッシュの激励の言葉を聞いてある事を察したユウナとアルティナが驚いたその時

「ああ―――任せてくれ!」

クルトは決意の表情で頷いた。



「おかしい……幾ら何でも硬すぎる……!クロスベル独立騒ぎの時には超常的な力を振るったが……レン教官、何かわかりませんか!?」

「そうね……機体から感じる膨大な霊力からして、”零の至宝”程ではない何らかの”力”があの機体に働いているわ。多分、ヴァリマールも気づいているのじゃないかしら?」

「うむ、どうやら機体そのものに不可解な力の働きがあるようだ。何とかして流れを断てれば――――」

「――――助太刀します!」

リィン達がアイオーンの攻略法について相談しているとアッシュと操縦を変わったクルトがドラッケンを操作してヴァリマールやパテル=マテルと並んだ。

「その声―――クルトか!?クルト、下がれ!機甲兵の敵う相手じゃない!」

「百も承知です!ですが見過ごすことはできない!幼き頃に育ったこの地を災厄から守る為にも……僕自身が前に踏み出すためにもヴァンダールの双剣、役立ててください!」

「君は………」

クルトの意志を知ったリィンが呆けたその時リィンの懐が光を放ち始めた。

「これは……」

「戦術リンクと同じ……!?」

「ラウラお姉さん達も光っていて、アガットだけ光っていない。もしかしてこの光は――――」

それぞれが所有しているARCUSⅡが光を放ち始めている事に気づいたリィンとクルトが驚いている中二人同様光を放っている自身のARCUSⅡやユウナ達に視線を向けたレンはある仮説をたてた。

「こ、この感覚って……!?」

「ARCUSⅡを介して……?」

「内戦でトールズ士官学院を奪還した後に起こった旧校舎での出来事の時にもあった……」

「……いや、その時よりも強い繋がりを感じるな。」

「この光の正体は一体……」

「ま、少なくてもリィンや俺達にとって悪い効果ではないだろうな。」

「はい。ARCUSⅡの性能を考えると恐らく戦術リンクに関係する何らかの機能でリィンさん達を援護できると思うのですが……」

「ん、新しいⅦ組の子たちまで……」

「おいおい……魂消たな。」

それぞれ光を放っているARCUSⅡを取り出したユウナ達が驚いたり呆けている中、その様子を見守っていたアガットは信じられない表情で呟いた。

「―――小言は後だ。あのデカブツを無力化する。奇妙な”力”の流れを見極め、断ち切って刃を突き立てるぞ!」

「ええ―――!」

「了解です―――!」

そしてドラッケンを加えたヴァリマール達はアイオーンとの戦闘を再開した!



「パテル=マテル、銃で頭を狙いなさい!」

「―――――」

レンの指示によって異空間から大型の機関銃を召喚して両手にそれぞれ一丁ずつ持ったパテル=マテルはアイオーンの頭目がけて機関銃を連射し

「――――――」

パテル=マテルの銃撃を頭に受けたアイオーンは”溜め”の態勢に入った後両腕を振り上げた。

「!――――ブースターを起動させて側面に回避しなさい!」

「―――――」

「―――――!」

アイオーンが振り上げた両腕をパテル=マテル目がけて振り下ろした瞬間、レンの操作によってパテル=マテルは両足についているブースターで側面へと移動してアイオーンが放ったクラフト―――ギガースハンマーを回避した。

「下がれっ!」

「ハァァァァァァ……!―――斬!!」

アイオーンがパテル=マテルへの攻撃が失敗に終わったその時、アイオーンの注意がパテル=マテルに逸れている事を利用し、アイオーンの左右から襲い掛かったヴァリマールはクラフト―――弧月一閃で、ドラッケンはクラフト―――レインスラッシュをアイオーンに叩き込んだ。

「!?」

「そこだっ!」

「もらった!」

左右からの強襲攻撃で態勢が崩れたアイオーンにヴァリマールとドラッケンは追撃し

「今の内に追撃よ、パテル=マテル!」

「――――――」

パテル=マテルも二体に続くように異空間から巨大なハルバードを召喚した後ハルバードをアイオーンに叩き込んだ。



「―――――」

「く……っ!」

パテル=マテルの攻撃が終わるとアイオーンは反撃にドラッケン目がけてパンチを放ち、襲い掛かるパンチを見たクルトが衝撃に備えようとしたその時

「やあっ!」

「――――!?」

ドラッケンとリンクを結んでいるアルティナが反射結界を付与するEXアーツ――――ノワールバリアをドラッケンに展開させてアイオーンに攻撃を反射させて攻撃したアイオーン自身にダメージを与えた。

「援護しますわ、お兄様!」

その時ヴァリマールとリンクをしているセレーネの思念を受け取ったヴァリマールは剣に霊力(マナ)によって発生した雷撃を纏わせ

「サンダーストライク!!」

雷撃を纏わせた強烈な突きを勢いよくアイオーンに叩き込んだ!

「――――!!??」

強烈な雷撃を受けた事によって一時的に麻痺状態になったアイオーンは動けなくなり

「えいっ!」

「うふふ、パテル=マテルにまで効果があるなんて、便利な機能ね♪――――ダブルバスターキャノン発射!!」

「―――――!!」

そこにパテル=マテルとリンクを結んでいるユウナのEXアーツ――――クイックスターによって一時的に全体的な動きが”加速”状態になったパテル=マテルは両肩についている砲口に一瞬でエネルギーを溜めた後溜めたエネルギーを解き放ってアイオーンに命中させた!



「―――――――」

「パトリオットフィールド展開!」

「――――――」

パテル=マテルが放った凄まじいエネルギー攻撃を受けたアイオーンは両腕を動かしてパテル=マテルを捕えようと両腕を伸ばしたがパテル=マテルが展開した絶対防壁の展開に阻まれてパテル=マテルを捕える事ができなかった。

「援護する―――洸翼陣!!」

「受け取りなぁ―――蒼龍陣!!」

「唸れ――――おぉぉぉ……螺旋撃!!」

「ハァァァァァァ……!―――斬!!」

「――――!!??」

そこにそれぞれとリンクを結んでいるラウラとフォルデが発動したEXアーツによって一時的に様々な能力が上昇したヴァリマールとドラッケンが再びアイオーンの左右からクラフトを叩き込み、左右からの強烈な攻撃にアイオーンはダメージを受けると共に態勢を崩した。

「崩した――――二人とも、頼んだ!」

「ええ!」

「レンに任せて♪」

態勢を崩したアイオーンの様子を見て好機と判断したヴァリマールはドラッケンとパテル=マテルと共に連携攻撃を開始した。

「―――下がれ!」

「ハァァァァァァ……!そこだっ!」

「パテル=マテル、ダブルバスターキャノン発射!!」

「―――――!!」

ヴァリマールがクラフト―――弧月一閃を叩き込むとヴァリマールに続くようにドラッケンはクラフト―――双剋刃を、パテル=マテルはクラフト―――ダブルバスターキャノンをアイオーンに叩き込み

「連ノ太刀―――――箒星!!」

止めに太刀に闘気を溜め込んだヴァリマールが太刀をアイオーンに叩き込むとアイオーンの上空からアイオーン目がけて無数のエネルギー弾が降り注いだ!」

「――――――!!!???」

ヴァリマール達が放った連携技による大ダメージを受けた事と今までの戦いで蓄積したダメージによってついに限界が来たアイオーンは全身をショートさせながら戦闘の続行が完全に不可能になった―――――!
 
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