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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1987話

 荒垣が入院してから、数日……ゆかりと共に何度か見舞いに行ってはみたのだが、結局のところまだ荒垣が目を覚ます気配はない。
 ただ、何か問題のある薬の副作用らしいという話は、美鶴から聞いた。
 もっと詳しい情報も色々と美鶴の方では分かっているらしいが、何となく言いにくそうにしていた事もあり、それ以上は聞いていない。
 もしかしたら、多少強引にでも聞いた方がよかったのかもしれないが。
 ただ、武治と電話で話した限りでは、幾月に若干怪しい動きが出ているらしいという風に聞いているので、もしかしたら荒垣がああいう状態になったのには幾月が関わっているのかもしれないな。
 タカヤの方は、相変わらず特に進展はないらしいし。
 ともあれ、折角の夏休みも最後に面白くないイベントが用意されていた訳だ。
 そんな中……俺の姿は、タルタロスにあった。
 ゆかりやコロマルを引き連れている訳ではなく、俺1人で。
 いや、それ自体はそこまで不思議な話ではない。
 夏休みに入ってからも、結構な頻度で俺だけでタルタロスに挑んでは、スライムを使って宝箱を大量にゲットする……といった真似をしていたのだから。
 だが、今日は違う。……そう、念動力が何かを教えた、というのが正しい。
 いつでもあれば、命の危機にこっちに何かを教えてくる念動力だったが、今日は違う。何があるのかは明確には分からないが、それでもタルタロスに何かがある、とそう教えてくれているのだ。

「……さて」

 俺が姿を現したのは、114階。
 そう、封印がされており、満月のイレギュラーシャドウを倒さなければ、これ以上先には進めない場所だ。
 当然そこに姿を現しても、何も変化はない。
 ……実は、封印が解けていましたとか、そういうサプライズを期待したんだが。
 となると、それ以外の何かな訳だ。
 現状では115階に行けない以上、向かうのは113階か。
 そんな風に思いながら階段を下りると……俺は、何故自分が今日ここにやって来たのか、それを理解した。
 そう、何故ならそこには、まるで俺を待ち受けるかのように死神の姿があったのだから。
 いや、待ち受けるかのようにではなく、明確に待ち受けていたのだろう。
 何をどう考えて、今日ここに俺が来ると死神が判断したのか。それは俺にも分からない。分からないが……それでも、こうして俺の目の前にいる以上、それをどうこう言うのは間違いないのだから。
 それも、死神の様子は今までと全く違う。
 勿論今までも、俺は死神と戦ってきた。
 だが、それは結局のところ死神がピンチになればそのまま逃げていく……といった風に、逃亡を前提としたものだったのだ。
 だが、今こうして俺の前に存在している死神は、とてもではないがそんなことを前提にしているようには思えない。
 それこそ、命を懸けた戦いをするかのように。
 そんな死神を前に、俺は空間倉庫からゲイ・ボルグを取り出しながら話し掛ける。

「思えばお前との付き合いも、何気に結構長いんだよな」
「……」

 そう声を掛けるも、死神から返ってきたのは無言のみ。
 死神が何を考えているのかは、俺にも分からない。分からないが……それでも、意図していることだけは分かった。
 即ち、今日は全力で行くと。

「お前が何を考えてこうして俺の前に姿を現したのかは、分からない。それこそ、お互いの力の差はもう十分に理解している筈だしな」

 そう告げた瞬間、死神の身体が小さくだが、確実に動いた。
 今の俺の言葉に、何か思うところがあったのだろう。それとも、単純に悔しかったのか。
 ともあれ、俺の戦闘準備が整ったと判断したのか、死神はその手にある拳銃を……いや、拳銃と呼ぶには相応しくないだろう銃身の長さを持つその武器の銃口をこちらに向けてきた。
 俺もゲイ・ボルグの穂先を死神に向け……やがて、どちらからともなく戦闘開始だと悟り、動き出す。
 死神が持つ拳銃の重い発砲音がしたかと思えば、ほぼ同時に周囲に甲高い金属音が響き渡る。
 その金属音は、俺が振るったゲイ・ボルグの穂先が死神の放った弾丸を斬った音。
 普通なら到底無理な行為だが、ぶっちゃけネギま世界の人間ならこの程度出来る奴は幾らでも存在している。

「マハラギダイン」

 その言葉と共に、魔法が発動され周囲に大量の炎が生み出される。
 燃える天空程ではないにしろ、かなりの威力を持つ炎の魔法。
 これも、普通であれば何も出来ずに炎に包まれ、燃やしつくされてしまうのだろうが……

「それが俺に通じると思ってるのか!? 俺との戦闘経験を活かしているとは、とても思えないな!」

 混沌精霊……その中でも、特に炎の属性の強い俺は、マハラギダインで生み出された炎の中を、何でもないかのように歩いて死神のいる方に向かう。
 死神は今まで俺との戦闘でピンチになれば撤退しながら、こっちの情報を集めていた筈だ。
 だが、その割にはそれを活かしている様子がない。

「炎の攻撃なら、これくらいはやって貰わないとな」

 呟き、指を鳴らすと、俺の指が白炎となり、獅子と鷲の炎獣をそれぞれ生み出す。
 本来ならもっと多くの炎獣を生み出せるのだが、ここは113階の広間っぽい場所ではあっても、それだけの炎獣が自由に暴れるだけの空間的余裕がない。
 ……一瞬、本当に一瞬だったが、それこそこの空間を埋めつくす程の炎獣を生み出してやろうかと思わないでもなかったが、死神が決死の覚悟――恐らくだが――で来ている以上、そういう真似をするのはどうかと思い、普通に戦いを挑む事にした。

「刹那五月雨撃」

 そう聞こえてた瞬間、マハラギダインによる炎を貫くようにして無数の弾丸が飛んでくる。

「ちっ!」

 咄嗟にゲイ・ボルグを回転させ、盾のようにして防ぐ。
 だが、俺はそれで攻撃を防ぐ事が出来たのだが、炎獣の方はそうはいかない。
 獅子も鷲も、攻撃を食らって消滅したのが何匹かいた。
 鷲は元々そこまで大きくないので、それこそ1発か2発食らえばそれで消滅する。
 獅子の方は、鷲よりも防御力が高いが、鷲に比べて身体が大きい事もあって、無数に飛んでくる弾丸を回避するのが難しい。
 そんな訳で、炎獣もダメージを受け……だが、それでもまだ全滅した訳ではない以上、死神に向かって炎獣が攻撃を仕掛けていく。

「空間殺法」

 瞬間、死神が今まで俺も見たことのないスキルを発動するのが分かり……次の瞬間、周辺一帯に斬撃の雨が降り注き、生き残っていた炎獣を全て斬り刻み、消滅させる。
 こっちに何かが飛んできたのは分かっていたので、その殆どを本能に従ってゲイ・ボルグを振るい、斬撃を迎撃した。

「ちっ、やっぱり今までとは違うという事か」

 目眩まし代わりに使われていたマハラギダインの炎が消え、炎獣も全て消え……再び、この空間には俺と死神だけが残る。
 その死神はこちらに向かって拳銃を握っている手を向け……

「マハムドオン」
「それは前に見た!」

 こちらを仮死状態にする、即死魔法。
 仮死ではあるが、戦闘中に仮死になるのだから、その結末は考えるまでもないだろう。
 こちらに向かってマハムドオンが放たれた瞬間、俺は瞬動を使ってその場から退避していた。
 姿を現したのは、死神の真横。
 マハムドオンを使った状態のままの死神に向かい、ゲイ・ボルグを大きく振るう。
 槍として使うのではなく、棍として使うような薙ぎ払いの一撃。
 いや、もう少し距離を取っている状況でのなぎ払いであれば、穂先による一撃で斬り裂く事も出来たのだろう。
 だが、そうなると死神の拳銃もこっちに向かって撃つ事が出来る間合いになる為、この近距離からの一撃だった。
 その一撃は、間違いなく死神を吹き飛ばす。
 致命傷とまではいかないが、それでも軽いダメージではないのは明らかだ。
 ……まぁ、死神は身体の一部がなくなっても次に出てくる時は復活してる以上、高い治癒能力があるのは間違いない。
 であれば、今の一撃も致命傷ではない以上、ここで時間を掛ければ戦闘中でも回復するだろう。
 である以上、ここは一気に勝負を決めて、向こうに妙な真似をさせはしない!
 吹き飛んだ死神を追い、瞬動を使って一気に間合いを詰める。
 まだ空中を吹き飛んでいる状況の死神に向け、そのままゲイ・ボルグを叩き付けようとし……だが、次の瞬間、俺はその動きを止め、再び瞬動を使って死神から距離を取る。

「メギドラオン」

 そして俺がいなくなった次の瞬間、死神の口から魔法が放たれ、周囲が極大の爆発に覆われた。……咄嗟に退避した俺、偉い。

「厄介な」

 メギドラオンを使って自分諸共に爆発に巻き込んだ死神を見て、微かに眉を顰める。
 実際、今の攻撃をまともに食らっていれば、こっちの魔法障壁を貫いて相応のダメージを食らっただろう。
 また、何よりも面倒臭いのは、死神の使う魔法は呪文の詠唱を必要としない事だ。
 このペルソナ世界の魔法全般に言えるのだが、呪文の詠唱なしで魔法名を口にするだけで発動する魔法って、ちょっと卑怯すぎないか?
 ……手の一振りで炎や影を自由に操れる俺が言うのは、それこそ卑怯かもしれないが。
 ともかく、戦いは死神のメギドラオンでお互いの距離が開いた。
 こっちも向こうも、得意なのはどちらかといえば遠距離攻撃だ。
 かといって、近接攻撃が苦手な訳じゃないのは、さっきの空間殺法だったか? あれを見ても明らかだったが。
 となると、次に出る手段は……

「うん?」

 俺の口から思わずそんな声が出たのは、不意に死神がこちらに近づいてきたからだ。
 いや、戦っている以上は間合いを詰めるというのはおかしくはないのだが、そういう雰囲気ではなかったからだ。
 もし間合いを詰めるのであれば、それこそ瞬動……とまではいかないが、相応の速度で近づいてきてもおかしくはない。
 だが、今俺に向かって近づいてきている死神は、それこそゆっくりと、普通に……こちらにこれ以上危害を加えるつもりはないとでも言いたげな、そんな様子だった。
 それを俺が信じる事が出来たのは、こっちに近づいてくる死神を見ても全く念動力が危険を察知していなかったし、同時に死神から感じる殺意の類も一切なかったからだろう。
 勿論、それはあくまでも偽装やフェイクの類で、殺意を隠している可能性がある以上、本当の意味で油断は出来ないのだが……それでも、俺は何故かこのまま死神と戦いを続けるような気にはならなかった。
 そうして両手に銃身が異様に長い、異形と呼ぶに相応しい拳銃を手にした死神は俺のすぐ目の前までやってくると……不意に、跪く。

「え?」

 再び俺の口から出たのは、そんな妙な言葉。
 だが、こうまでされれば、何故かこの死神が俺に対して敵意を持っているのではないという事は明白であり、俺もこのまま一気に死神を殺してしまうという事が出来なくなってしまう。

「お前、一体何がしたいんだ? まさか、俺に降りたいとでも言いたいのか?」

 普通であれば、考えられない言葉。
 だが、俺の前に跪き、いつでも殺せるようにと首を差し出しているかの状況を見れば、それこそ今のような感想を抱いても当然だろう。

「……」

 そんな俺の言葉に、死神は何も言わずに跪いたままだ。
 魔法を使えるということは、それこそ喋る事が出来ないって訳じゃないんだろうが……どう判断すればいい?
 少し迷い……だが、死神の能力が極めて有用なのも間違いはない。
 それこそ、俺のペルソナ代わりに……いや、違うな。俺は誰だ? アクセル・アルマーだ。であれば、ペルソナに頼らずとも、敵を味方にする方法はあるし、実際それを行った経験もある。

「……お前を、俺の召喚獣とする事は出来る。だが、その為にはお前に俺の血を飲んで貰う必要があるし、それで生き残る可能性は低い。それでよければ、俺の召喚獣として契約しよう。……どうだ?」
「……」

 俺の言葉に、死神は跪いたまま小さく頷く。
 これは、俺と契約をするという事でいいのだろう。
 であれば、こちらとしてはやるべき事は1つだけだろう。

『我は汝と召喚の契約を結ばん。汝、契約に従うのならばその意を示せ』

 久しぶりにネギま世界の魔法を詠唱するな。
 混沌精霊になったおかげで、基本的に魔法の発動に呪文の詠唱を必要としない俺だったが、こういう……いわゆる、儀式魔法? となれば、話は違う。
 もっとも、始動キーを言わなくてもいいのは、混沌精霊になったからだが。
 ともあれ、その言葉に死神は頷きを返す。
 それを確認し、再び呪文の詠唱を続ける。

『汝がこの血をその身に宿した時、召喚の契約は結ばれる』

 そう告げ、指を切ってそこから血を流す。
 血の流れている指を見て、死神は顔を上げる。
 そうして……死神の顔を仮面が覆っているのに気が付き、どうするか迷うが、目の辺りの仮面は割れていて、そこから顔を見る事が出来る。
 そうである以上、そこに血を流せばいいのだろうと判断し……俺は、その仮面の中にそっと血を流し込む。
 コクリ、と死神の喉が動くのを確かに感じ……次の瞬間、死神の口からは死神らしくない悲鳴とも雄叫びとも呼べる声がタルタロスの中に響き渡るのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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