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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1985話

 ゴミ箱に倒れている荒垣は、明確なまでに顔に殴られた痕があった。
 それを誰がやったのかと言えば、当然あのモヒカンの男だろう。
 ……もっとも、美鶴の処刑により、あのモヒカンは色々と言うと哀れな状況になってしまったので、寧ろあのモヒカンには怒りよりも哀れみの方が強くなっているが。
 うん、処刑ってのは、別にペルソナを使えなくても十分に可能だというのが分かったのが、唯一の収穫か。
 一瞬そんな風に考えるも、とにかく俺と美鶴は意識を失ってゴミに塗れている荒垣を、ゴミ箱やゴミ袋の中から引っ張り出す。
 当然のように今は夏で、それも8月という夏も盛り――時季的にはそろそろ秋に近いが、それでも日中は十分に暑い――だ。当然のようにゴミ箱やゴミ袋の中から漂ってくる悪臭は、より強いものとなる。
 そんな悪臭の中から荒垣を引っ張り出すと、取りあえず地面に寝せる。
 固い地面に……と思わないでもないが、この夏にも関わらず厚着をしている荒垣の服装を思えば、地面が固いくらいではとくにどうということもないだろう。
 空間倉庫の中からミネラルウォーターのペットボトルと布を取り出し、それを濡らして荒垣の顔を拭いていく。

「服は……取りあえず、駄目だな。生ゴミが纏わり付いてるし、臭いもかなり染みついてる」
「うむ。しかし……何故、荒垣がこのような目に? いや、荒垣が普段からそのような場所に出入りしているのは知っていたが。こういうのも何だが、荒垣は強い。少なくても、先程のような者達にどうにかされるという事は、少し考えられないのだが」
「そうだな。それについては俺も同意する」

 完全に意識を失っている様子の荒垣を見ながら、美鶴の言葉に同意する。
 実際、荒垣は特に何か鍛えている訳じゃないが、素のままの状態でも強い。
 その上、俺達とタルタロスに挑んでシャドウと戦っていたのだから、それで弱い訳がなかった。
 そんな荒垣が、あの程度のモヒカン男に負けるとは、到底思えない。
 それこそ人質とか何かを使ったのではないか。そう思える程に、不自然な戦いなのだ。
 もっとも、あのモヒカン男から話を聞いた限りでは、特にそんな卑怯な真似をしたという様子はなかったが。
 ……実は嘘を吐いているという可能性もあるが、美鶴の処刑を受けた後での尋問で、そんな嘘を吐けるのなら、それはそれで普通に凄い相手だと思う。
 ともあれ、そんな訳で、荒垣があのモヒカンの男と戦ったのは間違いのない事実なのだ。
 だが、それで荒垣が負けるというのはやっぱり理解出来ない。

「そうなると、荒垣が本気で戦ってなかった……ってのが考えられるか? それこそ、自分の身体を痛めつけたいと思ったとか」

 M……という訳ではなく、荒垣の性格を考えれば、自罰的な意味でそんな行動をしたと考えられなくもない。
 だが、何故急にそのような真似をする?
 最近俺達と連絡が取れなくなっていたのと関係あるのか?
 ああ、でも、こうして荒垣を見つけて、1つだけいい事があるな。
 連絡しようとしても、電話には一切出ずにメールでの返事のみだったから、もしかして荒垣は実は死んでいて、誰か他の奴が荒垣の携帯を使ってなりすましてるんじゃないか? と、そんな疑惑は一掃された形だ。
 こうして生きて目の前にいる以上、その辺りの不安はしなくてもよくなった。

「何かあったのは間違いないだろうが……」

 美鶴が気絶している荒垣を心配そうに眺める。
 美鶴にしてみれば、今は別々に行動しているが、数年前までは真田と共に影時間を解決すべく一緒に行動していた仲間なのだ。
 その辺りの事情を考えれば、こうして荒垣を心配する理由も十分に分かる。

「このまま病院に連れていくか? 影のゲートを使えば、手間も掛からないし」
「ふむ、そうだな。では……」

 頼む。
 多分、美鶴は俺に対して、そう言おうとしたのだろう。
 だが、美鶴がそう言うよりも前に、事態は動いた。

「ぐっ……ぐがっ……ぬ……」

 不意に、意識を失ったままの荒垣が、苦しそうに呻き声を上げたのだ。
 そして、荒垣の口から漏れ出た呻き声は、最初はそこまで強いものではなかったが、次第に強くなっていく。

「が……がぁ……がああああああああああああああああああああああああっ!」

 意識を失ったままの状況で叫ぶその声は、それこそ表通りの方にも聞こえているのは間違いないだろう。

「おい、荒垣! どうした!」

 慌てて美鶴がそう叫ぶも、苦しむ様子を見せる荒垣が収まる様子はない。
 いや、それどころか、夏にも関わらず着ている厚い服の胸元を押さえるようにして叫び続ける。
 明らかに何らかの異常。
 そして、俺にはその異常について心当たりがあった。

「ペルソナの暴走か!?」

 そう、元々荒垣のペルソナは高い潜在能力を持つが故に、時々コントロール不能になって暴走する事があった。
 だが、それはあくまでも昔の事。
 もっとも、昔と言っても数ヶ月程度前の話だが。
 ともあれ、荒垣が俺達と行動を共にしながらペルソナを使い始めた時は、その潜在能力の高さ故に何度か暴走した事があった。
 だが、ペルソナが暴走するというのは、あくまでも荒垣の能力が低く、ペルソナの能力が高い事からくるものだ。
 である以上、タルタロスの攻略を本格的に始めて以降は、荒垣本人の能力が上がった事もあり、荒垣の能力の低さからペルソナが暴走するといった事は少なくなっていった。
 それこそ、荒垣が俺達と一緒にタルタロスに挑んでいた時は、既に完全に制御下に置いていたと言ってもいい。
 そうである以上、今のような状況になるとは到底考えられないのだが……

「ちっ、何をどうするにしても、取りあえずちょっとこのままここにいるのは面倒だ。一端移動するぞ」

 先程の荒垣の叫び声を聞いて、誰かがやって来ないとも限らないし、警察やら救急車やらを呼ばれても厄介だ。

「あ、ああ。だが、どこに移動する?」

 先程の叫び声を上げたのとは打って変わって静かになった荒垣の様子を見ながら、美鶴が呟く。
 そんな美鶴の言葉に少し考え……以前ゆかりやコロマルと共にピクニックに行った草原を思い出す。
 ここからそれ程離れていない場所だし、人も多分……まぁ、いないと思う。
 心配なのは、今が夏休みだという事だ。
 それこそ、以前の俺達みたいにピクニックに来ている奴がいても不思議ではない。
 もっとも、そうなったらそうなったで、また違う場所に転移すればいいだけなのだが。

「以前俺とゆかりとコロマルが一緒にピクニックに行った草原でいいだろう。もっとも、今の季節はそこにピクニックやキャンプにやって来てる奴もいるかもしれないから、そうなったらまた別の場所に移動する事になるが」

 基本的にキャンプというのは、キャンプ場じゃない場所でやる事も珍しくない……と言えば、都会で育った奴は驚いたりするが、それは間違いのない事実だ。
 いや、だからってその辺の公園とか、ましてや駐車場とかでキャンプをするのは問題外の話だが。
 ともあれ、あれだけの草原だ。ピクニックどころか、キャンプをやっている奴がいてもおかしくはない。
 そうなったら別の場所に行くと宣言し、美鶴が頷くよりも前に影のゲートを展開する。

「ちょっ、おい、アクセル!?」

 美鶴の驚く声が聞こえてくるが、それは無視し……次の瞬間には、俺達は見覚えのある草原に姿を現していた。
 素早く周囲を見回すが、俺達以外に誰の姿も見えない。
 ……こっちとしては嬉しいけど、まさか誰の姿もないとは思わなかったな。
 ピクニックやキャンプをするには、かなりいい場所なんだけど。
 まぁ、それはともかく……

「美鶴、荒垣の様子は!?」
「っ!? ……駄目だ、まだ目を覚ます様子がない。ただ、さっきみたいに苦しがっている様子は見られない」

 その事だけは安心出来る、か。
 もっとも、だからといって荒垣の状況が改善した訳ではない。
 騒がれては色々と不味い事になるからこの草原に連れて来たってのに、何だってこの草原に来てからは大人しくなってるのやら。
 ただ、騒がないからといって、荒垣の病状……病状? いや、病気じゃないんだし、ただの状態って表現した方がいいのか?
 ともあれ、荒垣の状態がどうにかなった訳ではない。
 である以上、ここではどれだけ騒がれても問題はないが、根本的な問題は解決していないという事になる。

「そうか。……で、これからどうする? この様子を見る限りだと……荒垣は何らかの病気って可能性もあるが。もしかすると、最近連絡が取れなかったのは、この病気のせいだったのかもしれないな」

 しれないな、ではなく。間違いなくそうだという確信が俺にはあった。
 ただし、俺の中にあるのは荒垣の様子から考えて、これは病気の類というよりは、何らかの禁断症状に近いのではないかと、そういう事だったが。
 ただ、荒垣が薬の類に手を出すとは思えない。となると……誰かに無理矢理何からの薬を打たれた?
 だが、荒垣の能力を考えれば、それにも疑問を抱く。
 今の荒垣は、素の身体能力だけでもその辺の不良が纏まってもどうにもならいだけのものがある。
 ポートアイランド駅の裏側は、まさに不良漫画の世界といった様相を呈しているが、荒垣はそんな不良漫画の世界にファンタジー系の登場人物として紛れ込んでるようなものだ。
 そんな場所に荒垣のような存在がいるのだから、パワーバランスなんてないも同然。
 しかも切り札としてペルソナ召喚すらある事を考えると……荒垣に何らかの薬を打つのは不可能に近い。
 他の可能性としては、食べ物や飲み物に何らかの薬を混ぜるといったところか?
 これに関しては、無理矢理打たれるのと違って、十分に可能性がある。
 ……まぁ、荒垣と一緒に食事をしたり、飲み物を渡したりといった時点で難易度が高いし。
 そもそも、そんな真似をした後で特に何もせずに荒垣がその辺りを歩いていたというのも、疑問だ。
 まさか、あのモヒカンの男がそんな真似をしたとは、ちょっと思えないし。

「どうするべきだと思う? 私が思いつくのは、病院に運び込むしかないのだが」
「そうだな。俺もそれがベストだと思うぞ」

 マジックアイテムの中には、完全回復させるような効果の高い物もある。
 だが、それはあくまでも体力や魔力を回復させるものだ。
 状態異常の類も回復させるが、果たして薬の禁断症状、もしくは病気の症状と思しきものを回復出来るかと言われれば……正直、微妙なところだろう。
 やるだけやってみてもいいのだが、それをするにも俺が勝手に決める訳にもいかないしな。
 それこそ、影時間の件で高い技術力を持っている桐条グループの医療技術であれば、荒垣をどうにか出来る可能性も否定は出来ないのだから。

「では、やはり病院に……?」
「それがいい。ただ、この状況の荒垣を直接連れて行っても、色々と問題が起きるのは間違いない。となると、先に病院に行って受け入れ態勢を整えておくべきだ」
「分かった。では、私を辰巳記念病院まで連れて行ってくれ」

 そう言うと思った、と美鶴の言葉に納得する。
 辰巳記念病院は桐条資本の病院であり、影時間に対する研究とか、そういうのも行われている場所だ。
 そうである以上、荒垣を入院させたり、ましてやどのような状況なのかを調べるには、辰巳記念病院に運ぶのが一番手っ取り早い。
 他の病院に運ぼうものなら、間違いなく面倒な騒動になるのは確実だったからだ。
 荒垣をこの場に残し、影のゲートで辰巳記念病院の近くにある建物の陰に姿を現す。

「用意が整ったら、電話かメールで知らせてくれ。すぐに荒垣を連れてくる」
「分かった。全く、折角の休日がこのような事になるとは。荒垣は後で処刑だ」

 文句を口にする美鶴だったが、その表情には荒垣を心配する色の方が強い。
 明らかに強がりだと、そう分かる美鶴の様子に、俺は安心させるように軽く肩を叩く。

「荒垣だぞ? 多少何かあったところで、間違いなく問題ないといった風に起き上がってくるだろ。その辺りを心配する必要はないと思うがな」
「……そう、か?」

 俺の言葉を信じたいと、そう言っているのが分かる様子の美鶴。
 いっそ、ゆかりを呼んで回復魔法を使って貰うという方法もあるかもしれないな。
 体力不足という意味では勿論、ゆかりのイオは回復のエキスパート的な存在だ。
 それこそ、ゆかりの話が正しければ、仮死状態の相手すら即座に蘇らせられるらしいし。

「ああ。いざとなったら、ゆかりを呼んでもいいしな」
「そうだな。岳羽のイオなら、もしかしたら……」

 そう言う美鶴だったが、荒垣の様子を見る限りでは、何らかの副作用的な感じに見える。
 そうである以上、ペルソナで治療出来るかどうかと言われれば……正直なところ、かなり難しいだろう。
 そう思いつつ、とにかく美鶴を落ち着かせたのを確認すると、俺は荒垣を置いてきた草原に戻るのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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