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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第九十話 憲兵隊急襲作戦


今日の最終分です。
フレーゲルの始末は明日以降です。
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第九十話 憲兵隊急襲作戦

帝国暦480年9月22日

 この日、帝国全土の憲兵隊庁舎を完全武装の装甲擲弾兵を先頭にした集団が襲撃を行った。
全隊員が集まる午前9時に突如として急襲された憲兵隊はパニックに陥っていた。
オーディンの憲兵隊総監部でも、装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将が指揮した1個師団に及ぶ装甲擲弾兵により、あっという間に占拠されてしまった。

総監室では憲兵隊総監コンスタンティン・フォン・ボルマン大将が政務を始めていたが、
騒がしい物音と共に扉が叩き壊されて装甲服を着た大男が進入してきた。

「何だ貴様は!」
「儂が装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将である!」
「装甲擲弾兵が何の用だ!」

「ん、皇帝陛下から、お使いを頼まれてな」
不敵に笑うオフレッサー。
「無礼な。陛下を騙るとは、卿を逮捕する!」

「ふん。ケスラー少佐出番だぜ」
オフレッサーの後ろから、ケスラーが姿を現し勅書を開きそれを見せながら宣言する。
「勅命である。恐れ多くも陛下に於かれましては、
憲兵隊の日頃の不正を鑑み我らに一斉捜査を命じられた、その旨承知するようにとのお言葉だ」

ボルマン大将の顔にみるみる冷や汗が流れていく。
「返答や如何に!」
「不正などあるわけがない、陛下の思い違いに相違ないわ」

「貴様、陛下の勅命を認めぬと言うのか!」
オフレッサーが怒り気味に怒鳴る。
「そこまで言うのなら、覚悟はあるのですね」
ケスラーが落ち着いた口調で話すので、オフレッサーの怖さを際だたせていた。

ボルマンも、そう言われると、しどろもどろに成る。
「そうは言っては居ない、小官はあずかり知らぬ事だからだ」
「ほう、では誰が預かっているのですかな」

「副総監のクラーマーに込み入ったことは全て任せてある」
「クラーマー中将ですな」
「クラーマーが全て任してくれと言うので、楽だから頼んであるのだが、
ここ1月半は伝染病で隔離されていて事務も滞りがちなのだ」

「では、協力して貰えますな」
「判った、協力しよう」
そう言うボルマン大将の目は浮ついていた。

「では全隊員に武器を捨てて一カ所に集まるように命じて頂く」
「判った」

その後各地の憲兵隊に突入した部隊も勅書にて憲兵隊の動きを止め拘束を始めていた。
ごく一部の憲兵隊が勅書を無視して抵抗したが、装甲擲弾兵の敵ではなく僅かな時間で鎮圧された。

その後が一苦労であった。元々民間人の検挙は憲兵隊の仕事で無いので大丈夫であるが、
軍人の検挙に必要な人材が居ない為に、装甲擲弾兵が憲兵の代わりをすることになり、
各地の酒場などで、暴れたりする兵達は普段と違い力でねじ伏せられ怪我人が続出したのであった。

それから2ヶ月に渡って、各基地では成るべく外で飲まないようにと多くの兵士が注意をしたので、
飲み屋街が2ヶ月間は閑古鳥が鳴いて、経営者が困ったのであった。

9月22日から早速取り調べと、資料の照査が行われ内偵どおり。
多数の不正や冤罪等が次々にさらけ出されていったのである。
クラーマー中将やハイドリッヒ大佐などは、公金横領や不正なども多数行っており、
その調書だけで数千ページに及ぶモノになっていた。

その課程で、人身売買組織や違法薬物組織や密輸業者などや、
不正を働く貴族達も次々に発見され、検挙されていったが、
サイオキシン麻薬の密売組織に関しては小規模の組織以外は殆ど発見されなかった。

それは、カール・マチウスの関係で482年に一斉検挙の予定がある為に、
コントロールできない組織のみが逮捕されたのである。

憲兵隊の検挙や貴族の逮捕について、門閥貴族達の中でも騒ぐ者達が出たのであるが、
門閥貴族筆頭たる、ブラウンシュヴァイク公爵が憲兵隊の綱紀粛正を全面的に支持した為、
多くの貴族が矛を収めた。

しかし、リッテンハイム侯爵は一門のオッペンハイマー伯爵が逮捕された為に、
最後まで反対していたが陛下から参内を命じられ、叱責を受けた為、矛を収めることになった。

10月に入り、憲兵隊員の取り調べと、使える隊員と使えない隊員との仕分けが終わると。
定期人事異動が行われ、その際に憲兵隊は新たなる門出を向かえることになった。
陛下の勅命により、人事は次のように決まった。

憲兵隊総監    リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン大将
憲兵隊副総監   エルネスト・フォン・モルト中将
憲兵隊査閲官   クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー中将

憲兵隊実働部長  クレメンス・ブレンターノ准将 
武装憲兵隊部隊長 オットー・パウマン大佐
武装憲兵隊部隊長 ワルター・フォン・ラフト大佐

憲兵総監副官   ウルリッヒ・ケスラー中佐
憲兵隊経理部長  アウグスト・フォン・シュターデン大佐
憲兵隊兵站班長  レオポルド・シューマッハ少佐
また司法省から、司法関係のアドバイザーとして、エーリッヒ・フォン・キルヒアイスが赴任した。

また、グリンメルスハウゼンの部下達が多数、憲兵隊に移動してきており、
宮中警備隊と共に皇帝とテレーゼの手の者が増える結果と成った。
更に皇帝陛下の特命で、武装憲兵隊は装甲擲弾兵を編入し再編する事が決まった。

旧憲兵隊で不正を働いていた者達は取りあえず軍刑務所へ収監され裁判を待つ身となった。
そして真面目な者達は再教育の末、再度憲兵隊及び各軍に配属されたのである。



帝国暦480年10月20日

 この日銀河帝国では正午に重大発表がある為、全国民は正午にTVを見るようにと発表された。
一年前には俘虜帰還のニュースがあったが今回もそのたぐいかという観測もあったが、
正午になり、国務尚書リヒテンラーデ侯爵が陛下のお言葉を代理として読み上げた。

それは、驚くべく内容であった。
1.憲兵隊が特権を利用して数々の不正を行っていた事。
2.恣意的な逮捕、監禁、暴行、強姦、などの重大事件を起こしながら悉く握り潰してきた事。
3.密輸、薬物販売、人身売買等に関係していた事。
4.敵対する組織の館を襲撃させた事。

などなど、数え切れない悪事が発表されたのである。
特に憲兵副総監クラーマー中将の悪事は凄まじく、聞いている臣民達が怒りを覚えるほどであった。
そして、クラーマーは極刑に処す旨が発表された。

今回の発表は、貴族はもとより、臣民が皆驚きを隠せない状態であった。
社会秩序維持局や内務省や警察は憲兵隊の凋落に笑いが止まらない状態であったが、
数年後の自分たちが同じ姿になるとは、この時は誰も考えつきもしなかった。



その後、皇帝陛下ご自身がマイクの前に立ち、喋り始めたときは全臣民が大いに驚いたのである。
「親愛なる臣民達よ、予フリードリヒ四世は此所に腐りきった憲兵隊の綱紀粛正を行う、
臣民達よ予の為しようを見ていて欲しい。決して卿達の期待を裏切らせはせぬ」

この宣言が為された直後から、帝国全土で皇帝陛下万歳の大合唱が始まり、
多くの臣民がフリードリヒ四世の勇気と徳と正義感を感じ、
益々軍人や下級貴族や平民達の敬愛と尊敬を受けるのであった。

ブラウンシュバイク公も今回ばかりは、陛下の凄みを感じながら、
我が家があの犠牲の羊にならなくて良かった安堵しているのであった。

リッテンハイム候は、未だ納得が行かずにいたが、陛下の怒気に薄ら寒さを感じていた。
多くの貴族も不平不満は有ったが、ブラウンシュバイク公が全面的な支持者であり、
リッテンハイム候は叱責されたと有っては、何も言えなくなり。

さらに、今回クラーマー子爵を始めとして、少なくない貴族が逮捕されたため、
そして軍部が全面的に陛下に協力しているために動くに動けない状態なのであり、
又、怒気を放った。陛下が恐ろしくて、精々サロンで愚痴をこぼす事ぐらいしか出来ない状態であった。




■ノイエ・サンスーシ   テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

 今回の憲兵隊大掃除は大成功に終わりました。
クラーマー以下多数の犯罪行為が白日の下に晒されて、
それによりラインハルトがリップシュタット戦後に行った改革が出来てしまいましたからね。

早い者勝ちですから、二番煎じないですよ、やった者勝ちですからね。
父様の玉音放送で臣民の敬愛度は益々あがりましたからね。
OVAのナレーションの様に、在位30年でも確たる業績もないなんて、言わせませんよ。

憲兵隊の人事は思うように出来ましたよ、ケーフェン爺様だけは宥めながら頼み込みましたけどね。
後は、シューマッハをスカウトしましたよ、彼は後方支援のエキスパートですからね、
ジャンジャン育ってもらいたいですね。

あとは、理論家がよい兵站や経理に、シュターデンを呼び返しました、
お父様が呼んでくれたと、知った時のシュターデンの感動ったら有りませんでしたよ。
『小官のような者を特命で呼んでいただき、感嘆の極み皇帝陛下の御為にこの命擲つ所存で御座います」
だって、お父様は完全に敬愛さてますよ。

彼は理論家だから補給とかをやらせれば確実に決まりますからね、
シューマッハやアデナウアーと共に帝国の兵站を背負って貰いたいのですよ。 

それとキルヒアイスの父親を装甲擲弾兵の法務教育のために司法省から引き抜きました。
まあ、キルヒアイスは、親から改革の状態を知れと無く聞くでしょうから、
どのように悩むかがで、此からの彼の人生が変わりますね。

あとはフレーゲル一派と478年度生の始末だけですね。
恐ろしい期末テストを行いましょうかね。
それとクラーマーの脱走を計画しないとですね。
同盟さんクラーマーを宜しくお願いします。
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4.敵対する組織の館を襲撃させた事。は4.オフレッサー邸襲撃をゴロツキに頼んだ事。変更してくれと来てますが、それは態々オフレッサー邸を襲撃した事を隠す為にしている事です。
 
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