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本当の強さ

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第一章

                本当の強さ
「本当の強さって何?」
「喧嘩に強いってことだろ」
「要するに」
「そんなのでしょ」
 中学校の中で女の子が四人集まってこんな話をしていた、観れば四人共中学のセーラー服を着て顔立ちはまだあどけない。一年生の教室の中でこんなことをだべっている感じで話していた。
「喧嘩っていうか格闘技か」
「腕力が強いとかね」
「そういうので強いってことでしょ」
「結局は」
「そうよね、よく私ね」
 四人の中のショートヘアの娘がここで言った、目は黒目がちであり眉は少し垂れている。名前を星野倫子という。
「お母さんに強くなれって言われるの」
「ああ、倫ちゃんのお母さんそう言いそうね」
「そうよね」 
 倫子よりも短いショートヘアで長身の大きな目の少女と少し太った感じで黒髪を伸ばしている胸の大きな垂れ目の二人も言った、背の高い娘は夏樹凜胸の大きい娘は中林千代という。最後の一人である黒髪を長く伸ばした狐目の少女末吉春奈と同じく倫子とは小学校から同じだ。
「何かね」
「強くなれとかね」
「結構硬派なお母さんだし」
「だからね」
「うん、そのせいかね」
 倫子は自分の席から周りに席を持って来て座っている友人達に話した。
「お兄ちゃんも柔道してて」
「今初段よね」
「そうよね」
「そうなってるしね、やっぱり強いって」
「力とか技だってことか」
 春奈も言ってきた、腕と脚を組みながら言った。
「やっぱり」
「うん、じゃあね」
 それならとだ、倫子は三人に言った。
「私入る部活決めたわ」
「柔道部にするの?」
「お兄さんと同じ部にするの?」
「そうするのかよ」
「いや、柔道あまり好きな感じしないから」 
 それでとだ、倫子は三人に答えた。
「空手にしようかしら」
「ああ、空手部な」
 空手と聞いてだ、春奈はこう返した。
「うちの空手部結構強いらしいしな」
「そうでしょ、二年の人全員黒帯よね」
「そこまで強くなるらしいな」
「それじゃあね、稽古は厳しくても」
 空手は痛くて厳しい、倫子はこのイメージから言った。
「頑張ってね」
「空手はじめてそうして」
「強くなるのね」
「そうなろうかしら、黒帯なら」 
 つまり段を持てばというのだ。
「やっぱり強いわよね」
「まあね」
「そう言っていいわよね」
「黒帯位ならね」
「そこまでなったら」
「強いよな」
「だから私空手部に入るわ」 
 中学の部活では、というのだ。
「それで強くなるわ」
「じゃあ私も」
「私もまだ入ってないし」
「あたしもだしな」
 三人も倫子が入るならとなってだ、そしてだった。
 四人でその空手部の顧問の先生に入部届を出して実際に空手部に入って稽古をする様になった。確かに部活の稽古や決まりごとは厳しかったが四人には幸いにして耐えられるものでしかも部の雰囲気もよかったので。
 四人共続いて同じ昇段審査で初段となった、それでだ。
 倫子は三人にだ、初段の段位を貰った審査があった県立の体育館の外で笑顔でこうしたことを言った。
「私達強くなったわよね」
「そうよね」
「間違いなくね」
 凛と千代が笑顔で応えた、初段になったと思って。 
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