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碧い銀河

作者:fw187
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煽動の黒幕

 地上8千m級の聖地は崩壊、立ち入り禁止区域に指定され厳重に封鎖された。
 太陽系の第3惑星には地震と余震、大火山活動等々の天変地異が相次いで起こった。
 一時的に地球は居住禁止区域に指定され、住民は他の惑星に疎開している。
 生活基盤と住居を提供され、数年後に帰郷の費用も全額の負担が確約されたけど。
 ラインハルトの強硬手段を非難する声は多く、民心も離れそうになった。
 対策として聖地の資料室から押収、光ディスクに記録した大量の情報が暴露された。
 地球教団は聖地巡礼者を従順な奴隷とする為、サイオキシン麻薬を使っていた。
 中毒患者の財産を奪い資金源としていた実態、衝撃的な情報を信者達は信じなかった。
 洗脳され精神操縦される末端の地球教徒には、他の選択肢は無かったのかもしれない。

 キルヒアイスに提出した報告書と、順番が違うんだけど。
 フェザーン進攻の前に連続して、様々な事件が起こった。
 リヒテンラーデ公爵の一族、エルフリーデ・フォン・コールラウシュも現れた。
 金銀妖瞳《ヘテロクロミア》の提督、オスカー・フォン・ロイエンタールが告発された。
 ローエングラム侯爵に叛逆の意図あり、リヒテンラーデ公爵の血を引く赤子が証拠だと。
 帝国軍の双璧を同士討ちさせる策謀は実らず、フェリックスは親友が預かったけどね。

 謎の黒幕が操る無差別銃撃、一般市民を巻き込む爆弾テロ等は後を絶たなかった。
 地球教徒を率いる最高権力者、総大主教《グランド・ビショップ》の狙いはわからない。
 常勝の英雄が最大の強敵と手を組み、不敗の魔術師ヤン提督を討伐に差し向ける。
 とんでもない被害妄想、としか思えない恐怖に取り憑かれたみたい。
 教団の総書記代理ド・ヴィリエ、策謀家の最終目標は権力の奪取だろうね。

 アントン・フェルナー准将も門閥貴族の部下として、ラインハルト暗殺を試みたけど。
 悪びれずに堂々と出頭して直談判に及び、帰順を認めさせた胆力と行動力が発揮された。
 情報収集の熟練者を率いて煽動者の足跡を探り、帝国の領域に潜む拠点を潰している。
 オーベルシュタインの草刈り、は自由惑星同盟の崩壊後に起きる筈なんだけど。
 冷徹な策謀家が地球教徒の残党を狩り出す為、執拗に継続した捜査の異名になった。

 専制政治に慣れた帝国の民衆は『門閥貴族の方が、マシだった』とまで言ったけど。
 社会経済再建計画の立案を命じられ、社会福祉政策の充実を図る指導者が動いた。
 カール・ブラッケ、オイゲン・リヒター。
 2人は独善的な専制君主の誕生を危惧して、市民の意識改革を推進している。
 テロを繰り返す麻薬密売組織、地球教団の洗脳は門閥貴族の搾取より酷い。
 開明派の貴族は、大勢の人達から信頼を得ていたんだ。 
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