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十六夜咲夜は猫を拾う。

作者:ねこた
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第10話

『…む!おい霊夢!』
『なによ魔理沙、騒々しいわね…何か用?』
『何か用?じゃないだろ!この青い雪みたいなのが季節外れに降ってるんだぞ!しかも吹雪いてるし!』
『そんなの分かってるわよ。どうせ異変だって言いたいんでしょ?』
こんな猛吹雪にも関わらず自分ににくってかかる魔理沙に呆れつつも会話を続ける霊夢と、
こんな猛吹雪にも関わらず呑気にお茶をすする霊夢に呆れ、くってかかる魔理沙。
魔理沙はこの天気を異変だと思い、異変解決を促すために霊夢の博麗神社へとすっ飛んできたのだ。

『べーーーつにこんなの大したことないわよ。妖怪だって幽霊だって吸血鬼だって魔女だって、半人半霊だっているのよ?青い雪が降ったところで…』
『元も子もないことを言うなよ!こんな猛吹雪が吹くなんて今まで一度もなかっただろ!しかもさっきまで雨だったのが急にこうなんだぞ、異変以外のなにものでもないだろ!』

開き直った態度の霊夢に言葉のマシンガンを浴びせる魔理沙。
確かに霊夢の言ってることもそうなのだが、それを言ってしまうと異変を許してしまうことになる。

『うるさいわね、たかが青い雪よ!』
しびれを切らした霊夢がそう言うものの、
魔理沙は障子を開け空を呆然と眺めているだけで、
霊夢の言葉に耳を傾けようとしなかった。
『…魔理沙?ちょっと、どうしたのよ』
そんな魔理沙に不審感を抱き、おそるおそる
聞いてみるも反応は無い。
どうやら空に気を取られているようだった。

『空になにか………え?』

魔理沙の横に立ち、不意に空を見上げると そこには

『何よ、これ…』

思わず目を疑うような光景が広がっていた。


____________________________________

『白夜が雪を降らせた…って事でいいのよね?』
『は、はい。でも、吹雪にさせようとは…!』
『わかっているわ。吹雪いてしまったのは無意識だったのよね』

混乱している白夜を宥めるように優しく声をかける咲夜。

『でも…季節外れすぎるわね。誰がどう不審感を抱いてもおかしくはないわ』

今の幻想郷は、だいたい六月程度の気温と気候、天気。
だからいくら早くても遅くても、雪が降るなんてことは確実に無い。
しかも元々の天気は雨。それほどひどい雨でもなかったのだが、それが一瞬にしてやみ、しかも季節とは真逆といっていいほどの天気になってしまった。
おまけに無意識下に発動された能力により
吹雪いてしまうという結果になった。

能力を見せていいとは言ったものの、ここまでの威力があるとはあまり想像していなかった。
否、あるとは思っていたものの半信半疑だった面があったのかもしれない。

『ねえ白夜、もう1度能力を使ってこれを元に戻すことは出来ないかしら?』

白夜の能力であれば、それが可能であるということは確かなはず。ただそれがちゃんと発動してくれるかどうかが問題なのだ。

『で、出来なくはないと思います…』
『やってみてくれる?』

白夜はこくりと頷き、先程と同じように
窓を見上げる。

実際、これだけで何をしているのかは全く検討がつかない。フランはありとあらゆるものを破壊してしまう能力のため握りつぶすだけでいいのだが、白夜は事実または結果を捻じ曲げる…つまり、物理的なものではないため、咲夜の能力のように『ザ・ワールド』と声を発しないと発動されないはず。
でも、白夜はただただ無言で見つめるだけで他は何一つとして動作をしない。最早無意識下で発動されていることもあり、言葉などいらないのだろう。

『え…あ…!?』
『どう?うまくいった?』

なにか変化があったのか、と空を見上げると

『な、なんで…!?』

レミリアも、フランさえも目を見開き驚いていた。

先程まで降っていた青い雪が、光り輝く流星群の様なものに変わり、空が赤黒く染まり太陽の光を一切受け付けない、遮断している形となった。


そう、レミリアが幻想郷を支配しようとした時の空と
全く同じになったのだ。


『______ちょっと白夜!?どうして悪化させているのよ…!』

『わ、わからな…っ』

無意識下で発動した能力により、混乱し泣き出しそうになる白夜。
そんな白夜に追い打ちをかけるかのように霊夢と魔理沙が現れた。

『レミリア!これは一体どういうことなの…って、

貴方、誰…?』 
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