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十六夜咲夜は猫を拾う。

作者:ねこた
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第9話

『フ、フラン…白夜は遊ぶためにここに居るんじゃないのよ?』
『フランお嬢様…!ケーキのお味はどうでしたか?』
『うん、美味しかった!咲夜、ありがと!』

咲夜がとっさの機転を効かせ、さり気なくフランの気を白夜から自分に向くように仕向けた。
単純なフランはそれに気づかず、すぐに咲夜の方へ向いて話していた。

その間、白夜はぽかんとした様子でその光景を眺めていた。頭にはてながたくさん浮かんでいて、状況を把握しきれていないみたいだった。

『…それで、白夜ってゆーの?』
『!あ、えっと……そ、そうです…』

ぼうっとしていると不意に声をかけられる。
声の主はフランで、咲夜が気を引いたものの結局白夜に興味が戻ってしまったようだった。

『目が青いー!すごく綺麗ね!髪の毛も、白くてつやつやしてて、ながい………』

フランは白夜の髪の毛をぎゅっと握りしめた。
でも、握りしめたはずの髪の毛は散らずに原型をとどめ、変な動きは何一つとしてなかった。

『なんで右の目は包帯してるの?怪我してるの?』
『フ、フランお嬢様…』
『ねー咲夜、取り替えてあげたら?この包帯、ぼろぼろだよ……』

白夜は白く血色のない肌を更に白くした。
血の気が引いた、とはこのことを表しているに等しいくらいに血の気がなくなり、ひどく混乱し怯えている。

『だ、大丈夫です…!隠せれば、それで…』

白夜は右目をさっと手で覆い隠した。
だが、フランが白夜の手をぎゅっと握り、
したに下ろしてしまう。

『だーめ!汚いから咲夜に取り替えてもらわなくちゃ…』

白夜の手を握るレミリアの力が強く、白夜は少しだけ顔を歪ませた。
フランは、握りしめたはずの手をずっと見つめていた。

『包帯…解きますね。白夜』
『………………はい』

無駄に抵抗はせず、多少躊躇ったものの
包帯を解く事に素直に従った。

咲夜は跪き、険しい表情で白夜の目の包帯をしゅるりしゅるりとゆっくり解いていく。
解いていく内に、隠されていた包帯の下の"不幸を齎す瞳"が顕になった。

『………!』

一度ナイフで刺され失明しているため、
瞳は光沢を無くし暗く深く、虚ろだった。
満点の星空を映したような綺麗な左目とは正反対の目に、
思わず少し身じろいでしまう。

右目は、血をそのまま写しているかのように紅黒く、
見ているだけで吸い込まれそうになる。

『…本当に、真紅色なのね…』
『ご、ごめんなさい…こっちの目はもう潰れていて、大丈夫なので…。』

そうして、白夜に新しい包帯を目に巻き付ける。
目を覆うために包帯を巻く、というのは些か難しく、何度も何度も微調整を繰り返した。
包帯を巻き終わると、フランがすぐ白夜に声をかけた。

『白夜白夜!私はフラン、フランドール・スカーレットよ!よろしくね!』
『フ、フランさん…?』
『さんはいらないの!フランって呼んで?』
フランの無邪気さに翻弄される白夜。
『フラン…よろしくお願いします』

『ねぇねぇ、白夜と遊びたい!あなたの能力で、私を楽しませてみせてよ!』
『えっ…で、でも』
『だめー…?』

戸惑う白夜に、咲夜がひっそりと耳打ちした。
『…大丈夫、小さな事でいいから。1回だけやってみて』
咲夜は止めなかった。実を言うと咲夜もレミリアも、皆がその能力を見てみたかったのだ。
どれほどの威力なのか、どれほどの規模までできるのか…

『…わかった。じゃあ…』

白夜がすっと小窓を見上げた、その刹那。

『え……っ!?』

降っていた雨が一瞬にして止み、雪となった。

『ゆ、雪…?私、止ませようと思っただけなのに…』

しかもその雪は白ではなく青色をしていて、
たちまち猛吹雪となった。

『え…』

『…まずいわね……霊夢が異変解決に来るかもしれないわよ……』
レミリアと咲夜、白夜は深刻な表情をしている中、
フランはただ1人だけ、とても目を輝かせ窓を見上げていた。 
 

 
後書き
フランのキャラクターが全くわからなかったゆえ、少々キャラ崩壊が含まれているかも知れません…ご了承ください 
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