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十六夜咲夜は猫を拾う。

作者:ねこた
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第6話

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バスルームから大広間にある、いつもレミリアが
使っているテーブルに移動し、咲夜は紅茶とお菓子を用意し、レミリアはそれをすまし顔で待っていた。
白夜は、戸惑いながらも少しずつ落ち着きを取り戻しているようだった。

かちゃり、と置かれた紅茶がはいっているティーカップ。
それを見た白夜は好奇心に満ち溢れた目を輝かせ、
鼻腔をくすぐる甘い香りに顔を緩めた。
ティーカップはレミリアの趣味であまり派手でなく、
気品のある綺麗なものが多い。
紅茶も様々な種類が置いてあるが、レミリアが愛飲しているのはアールグレイティーを使ったミルクティ、アッサムミルクティ。
基本的に甘い紅茶等を好むレミリアは、特にミルクティが好きらしく、比較的アイスティー向きのアールグレイでさえもミルクティにして飲んでしまう。唯一紅茶として飲むのはダージリン程度だろう。今回はレミリアに新しく手に入れた茶葉で入れた紅茶を出した。

白夜には定番のアッサムミルクティ。
定番中の定番で、あまり癖がなく甘い香りが特徴的な人々に好まれる味のミルクティだ。
あまいものが苦手でなければ比較的飲みやすく美味しいと感じやすい味だと思った為これを淹れた。

お菓子はスコーン。いろんなものに良く合い、紅茶と合わせると美味しく食べれるお菓子だと個人的に思っている。

一通り準備が整ったところで、レミリアが本題に入った。

『さて、咲夜も座ったところだし…聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?』

『…は、はい』

縮こまる白夜。最初からずっと怯えているが、何をそんなに怯えているのだろうか。

『…咲夜も聞こうとしていた、その包帯の巻かれた目。それはファッションなのかしら?それとも…他になにか、怪我とか、あるいは隠さないといけない理由でもあるのかしら?』

『…!』

核心を突かれたかのように、顔をこわばらせた。

『…この右目、変に紅くて、血の色をしているんです。
私が前いた人里では、髪も目も皆黒いのが当たり前でした。…でも、そんな時に、髪は白く目は左右違う色をした私が生まれたんです。』

『………』

躊躇いながらも、淡々と話していく白夜を
真剣な顔で見つめるレミリア。

『人々は私を恐れ、忌み嫌いました。』

話していくうちに下を向き何かを堪えている白夜。
下唇を噛み締め、服の裾をぎゅっと握りしめ話すのを再開した。

『私が生まれてから、平和に、慎まやかに流れて言った日常は大きく変わってしまったんです。

田畑は荒れ、人々は不可解な死を遂げ、助け合って暮らしていた人々は争うようになり、終いには私を見た人は皆荒れ狂ってしまったんです。』

『……』

『それから数日も経たないうちに私は不幸の元凶とされ、お父様やお母様の元では無く地下牢獄に閉じ込められたんです。

…この目は、その時私を閉じ込めた人が

「その気味悪い不幸の象徴とされる紅い眼のせいでこの村はこんなに荒れたんだ!!あの方々の子供だから手を出されずに済むと思えよ!!普通の人間だったら閉じ込められてすぐ殺められてしまうんだからな!!」

…そう言って、私の目に強引に包帯を巻き付けたんです。

そのあと結局この右目はナイフで刺され失明してしまったんですが…。』

『…あの方々…っていうのは?』

『私のお父様とお母様はその村…いえ、街全体を統べる
神様みたいな存在だったんです。幸せの象徴とされる青い眼をもつ私達は、その村、街に存在するだけで幸せを齎すと言われていたんです。でも…』

『その娘である白夜が、不幸の象徴とされる紅い眼と幸せの象徴とされる青い目をもって生まれてきてしまった…ということね』

レミリアが続きの言葉を紡いだ。

『はい…でも、実際この赤い目は確かに不幸を齎しているらしく、この目を見た人はほんとうに荒れ狂い、殺人鬼となった人や自殺する人も増えてしまったんです。他にもそれだけじゃなく、感情を失う人や私に感情を操られてる人?とかもいて…』

『…その左目の幸せの象徴とされる青い目は、何も無かったのかしら?例えば…その不幸を緩和する…とか』

レミリアの言葉を聞いた白夜は、また顔を俯かせ
暗い表情で首を横に振った。
『…ありませんでした。赤い目が強すぎるせいで、青い目がなにかしていても気づけないのだと思います…
でも、包帯をしてからそういう人はぱったりいなくなったんです。ただ………………』

『………ただ?』



なかなか話の続きを切り出さない白夜に痺れを切らしたのか、レミリアが聞き返した。

それに後押しされたように、白夜はゆっくりと
話の続きを切り出した。


『……そのせいで、この能力が明らかになり、私は………殺されかけたん、です…』 
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