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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第七十八話 原始人士官学校襲来


取りあえず、さわりからです。
次回以降フレーゲルの恐怖が見られるか?
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第七十八話 原始人士官学校襲来

帝国暦480年7月29日

■オーディン 帝国軍士官学校 

 480年度入校生も士官学校の仕来りになれ始めたこの日。
士官学校校長フライエンフェルフ中将は2名の教官と1名の臨時教官の受け入れの為、また胃薬を飲むのであった。
3名とも、恐れ多くも皇帝陛下からの特命で指名された教官であったからである。

2人はシミュレーション担当アウグスト・ザムエル・ワーレン大尉とレオポルト・ライブル大尉である。
2人は校長が卒業生として送り出した教え子であった為に話しやすかったが。

もう1人を見て校長は、聞こえぬ様に溜息をつくのであった。
その人物は格闘戦専門担当、装甲擲弾兵副総監アルノルト・フォン・オフレッサー大将だからである。

先日、フライエンフェルフ中将は皇帝陛下の御召しでノイエ・サンスーシに参内し、
先だっての士官学校視察についてお言葉を賜った。
その際、陛下自らの発案による戦術シミュレーションを士官学校のカリキュラムに入れるように勅命を受けたのだ。

その為、この2名が一年間士官学校で実用試験を行い。
481年7月以降、歴代の士官学校卒業生に各勤務先で新戦術シミュレーションを行わせて、
全士官学校卒業生に新規戦術を知らしめる為だと言う事である。

また、校長の胃痛の元になっている、オフレッサー大将の臨時教師としての派遣は、
前回の視察で478年度生の格闘での余りの体たらくに陛下が憂いて、
直接オフレッサー大将を召して命じたモノである。

「ガッハハ、校長。最近の若い者はろくな格闘も出来んそうだな。
それと俺に敬語は使わないで良いぞ」
大声でオフレッサーが話すとワーレンとライブルが顔を見合わせる。
「大将、確かに私が見ても3号生は格闘能力が低い事は認めよう」

「じゃあ何故確り指導せんのか」
校長は言いにくそうな顔をしながら。
「ブラウンシュヴァイク公の甥が在籍でな」

「ふん!それが怖くて手を抜いているのか」
「大将そう言わないでください」
「しかし、この俺が来たからには大丈夫だ!」

大きく胸を張るオフレッサー。
「しかし大将、フレーゲル男爵は色々な」
オフレッサーは校長の言葉を遮る。

「フン。俺達は皇帝陛下の勅命で来ているんだ!
ブラウンシュヴァイク公と言えども、それに逆らえば逆賊になる。
早々邪魔はさせんよ」

オフレッサーの言葉を聞き、俺達の仕事は違うから巻き込むなという顔のワーレン達。
益々胃が痛くなる校長。
オフレッサーは其れを見て笑う。

「ガッハハハ、卿等気にしたら禿げるぞ」
オフレッサーが、校長の禿かけた頭を見ながらワーレンとライブルを見る。
顔を見ながら、ワーレンとライブルが苦笑いしながら。
お手上げだという感じで手のひらを胸の前で翻す。

「大将、それで何時からやるのかね?」
校長がやっと話の流れを取り戻した。
「おう、今すぐにでも良いが、まだ部下が来て居らんからな」

「部下とは?」
「おう、俺だけでも5000人を鍛えられるが時間が掛かりすぎるからな。
そこで、俺の部下を6000人呼んでいる」

「一人で一人教えるのか?」
「おう、6000居れば其れが出来るからな。
皇帝陛下もご承知の事だ」

「陛下が、ご承知なら小官は言う事はない」
「校長、それじゃ6000人の宿舎と食事を頼むぞ」
「は?」

「は、じゃない俺達を野宿させるのか」
「一寸待ってくれ、6000人も来るとは聞いてないのだ」
「皆準備して3日後には此処へ来るんだがな」

最早何を言ってもしょうがないと諦めた校長が返答した。
「判った3日で何とかしよう」
「頼んだぞ、じゃあ俺は連中の姿を見てくる」

オフレッサーは用が済んだとばかりに、
さっさとしごく連中を観察しに校長室を出て行った。
残された3人が顔を見合わせながらホッとした顔をする。

校長が気を取り直して、ワーレンとライブルに話を振り始めた。
「ワーレン大尉とライブル大尉、久しぶりだな」
「「はっ、フライエンフェルフ中将閣下」」

2人の返事でホッとした表情をする校長。
この2人までオフレッサーの様だったら校長はそのまま入院したであろう。
ワーレン大尉とライブル大尉は同じ458年生まれで士官学校でも同期であった。

「卿等は、シミュレーション担当だが、
新しい戦術というがどの様なモノなのかな。
私はよく聞いておらんのでな」

2人を代表してワーレンが説明する。
「はっ、小官等が本年4月より宇宙艦隊総司令部で研究を命じられた戦術の応用等を含めた結果を、
シミュレーションに纏め上げたモノです」
「ふむ、其れはどれ程のモノなのかね?」

「この資料を見て頂ければ宜しいのですが、
今までのシミュレーションでは、ごく普通の戦術で行われてきましたが、
硬直した理論的な戦術だけではなく、
応用や奇策に位置するモノも勉強しておくことも必要との事であります」

「正論だけでなく奇策も必要という訳か」
「正しくその通りであります。
正論だけでは戦闘時に咄嗟の判断が出来ない可能性もあります。
その為の応用や奇策も必要というのが皇帝陛下のお考えです」

「皇帝陛下のお考えか、お変わりに成られておるな」
「其処で、此処4ヶ月ほどで纏め上げて今年1年試験運用を行う訳です」
「そこで効果があれば正式採用という訳か」

「そう言う事です」
頷くワーレンとライブル。
「で卿等は何時から授業を始めるのか?」

「資材の搬入でやはり8月1日から開始できます」
「わかった、両名とも宜しく頼む」
「「はっ」」

2人が敬礼し部屋を退出後に校長は早速、胃薬を飲んだのだ。
「はーーー、フレーゲル男爵だけでも頭が痛いのに、オフレッサー大将とは」
益々胃が痛くなり、髪の毛が気になる校長であった。

■オーディン 帝国軍士官学校  アルノルト・フォン・オフレッサー 

 オフレッサーは早速、格闘場へ進んでいた。
ふむ、陛下と殿下のご期待に添える様に努力しなければな。
しかし21年経ったが殆ど変わらんな。

格闘場は此処だな。
んやって居るか、入るか。
オフレッサーは扉を開けて入る。
其処には4号生が格闘訓練を行っていた。
見た感じ4号生は非常に優れた格闘術を行っている。

ふむ、良い姿だ。荒削りだがいい動きをしている。
教官が此方を見て、慌てて敬礼を始めた。
其れを見た生徒達も慌てて敬礼を始める。

「卿等いい動きだな、装甲擲弾兵には敵わんが先ず先ずの動きだ」
教官が聞いてくる。
「大将閣下、如何致しましたか?」

「おう、皇帝陛下の勅命でこの俺達が格闘の教官をすることになった」
「はっ」
「しかし、この期はいい動きをしておる、此ならあと少し教えれば一人前の装甲擲弾兵になれるぞ」

生徒達が別に装甲擲弾兵には成りたいわけでは無いですという感じで見るが、
オフレッサーの威圧感に口に出せない。

「8月1日から俺達が教えてやるから、そのつもりで頑張るんだ」
「はっ」
其れしか言えない教官達。

「じゃあ帰るぞ」
「はっ」
4号生の動きには満足したから帰る事にしよう。

今日はズザンナの誕生日だから、プレゼントを買って帰れらねばならんからな。
何が良いであろうか。
10歳の時は弟が欲しいと言われてついつい頑張ってしまったからな。

まあ3号生は今度で良かろう、楽しみは後まで取っておくのがいいのだからな。
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変更
462年誕生年度→478年度
 
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