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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第七十七話 テレーゼの原始人のお宅拝見


オフレッサーの家族登場です。
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第七十七話 テレーゼの原始人のお宅拝見

帝国暦480年7月15日

■オーディン オフレッサー邸

 この日、任官以来、装甲擲弾兵として敵陣のまっただ中で、
21年戦い続けてきたオフレッサー大将であるが、
この日は、朝から落ち着かない様子で、家の中を彷徨いていた。

「うむー、やはりこのグリズリーの剥製は、
倉庫にしまった方が良いかもしれんな、
殿下が泣き出すやもしれない」

「いやしかし、ありのままを見せてくれと言われて居るしな」
「んー、兎の方が良いかも」
「いやいや、かわいい兎を剥製にしたと気分をお悪く為さるかもしれんし」

数日前から、オフレッサーが独り言を言いながら。
部屋の中をウロウロと悩んでいる姿を見ながら妻と執事やメイド達は、
まるで動物園の熊が檻の中でウロウロしているように見えて思わす笑ってしまっていた。

しかしそれを見ていた者達も、この日になると朝から同じように緊張して居る姿が見られるのである。

今日7月15日に恐れ多くも銀河帝国第三皇女テレーゼ様が、
オフレッサー大将邸に御臨御為さるからである。
通常、皇女殿下といえども、臣下でしかもたかだか帝国騎士の邸宅に御臨御するなど余りない事である。

2ヶ月半前の5月1日に装甲擲弾兵のご観覧があり。
その際皇女殿下をエスコートしたのが、オフレッサーであった。
そして、殿下がオフレッサーをいたく気に入り、
自宅への御臨御の栄誉を受ける事となったのである。

「ヴァーリア、料理の方は大丈夫であろうな?」
「貴方大丈夫ですよ」
「殿下がお前の料理をお召し上がりになるのだ細心の注意をするんだ」

オフレッサーが妻に心配そうな顔で注意を行っている。
妻のヴァーリアが長い金髪を束ねた状態で料理をしている。

通常であれば、贅を尽くした料理を料理人達によって作られ、
それをお召し上がり頂くのであるが、
殿下が、是非オフレッサー家の家庭料理を是非食してみたいとの事で、
料理自慢のヴァーリアが腕によりをかけて家庭料理を作っているのである。

「んーすでに8時か、ご到着まで後1時間だぞ。
玄関先はギリギリまで掃き掃除をして、塵一つ無いようにするんだぞ」
「承知いたしました旦那様」
オフレッサーの言葉にメイド達がてきぱきと動きまくる。

「旦那様もそろそろお着替えの準備を為さいませんと」
執事のバウムガルテンが時間を告げてくる。
「おうもう15分も経ってしまったか、そろそろ着替えるとしよう」

結局剥製はそのままの状態で置かれたのである。
オフレッサーの心配事を残したまま。
それが杞憂に終わるのは、殿下が応接室へ入室後の事であった。

午前8時45分、オフレッサー邸に先触れの使者が到着し、
皇女殿下があと15分で到着すると伝えた。
恭しく報告を受けたオフレッサーの姿は普段見慣れた姿ではなかった。

普段であれば、ロックアイスもかみ砕くほどの顎の持ち主のオフレッサーが、
ハンカチで顔を何回も拭きながらジッーと直立不動の状態である。
妻のヴァーリアと娘のズザンナも緊張した趣である。
邸宅前は凄まじい緊張感に包まれていた。

息子のエアハルトのみは未だ幼いため、
乳母が付いて、別棟で待機していた。

午前9時丁度にテレーゼ皇女様が乗った専用車がオフレッサー邸前に到着した。
愛らしい姿で地上車から降りてくる皇女殿下を見て皆が恭しくお辞儀を行う。
そして屋敷の主たる、オフレッサーが皇女様に挨拶を行うのである。

「皇女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。
我が屋敷へ御臨御いただきこれほどの栄誉はござません、
末代までの誉れとしとう存じます」

皇女殿下がにこりとして。
「オフレッサー、大儀である。今日は大変楽しみにしていたのじゃ頼むぞ」
「御意」

妻と娘を紹介して、息子が未だ小さいため昼餉の時にご挨拶する旨を伝え。
その後、殿下からにこやかに了承の挨拶を返されたのであった。

そうして挨拶が済むと、オフレッサーの案内で応接室へと向かうのであった。
妻と娘は別行動で台所へ向かった。

「オフレッサー、剥製は凄い数なのか?」
「はっ多数有りまする」
「うむ楽しみじゃ」

そう、皇女は言うが、オフレッサーの心の中は不安を残した状態であった。

「此方にございます」
オフレッサーが応接室へ案内すると中には、
多数の剥製と武器類が所狭しと並べられていた。

入るやいなや、皇女殿下が無言になった。
オフレッサーはやはり刺激が強すぎたかと、後悔し始めていたが。

「おーー、これは凄いのー」
皇女殿下の一声が、応接室に響いたのである。
皇女殿下は目を輝かせながら剥製を見て、オフレッサーに質問を始めた。

「オフレッサーこの熊は凄く大きいノー、どうやって倒したのじゃ?」
片付けようかと考えていたグリズリーの剥製を指して殿下が質問してくる。
片付けなくて良かったという安堵と共に、
全く殿下が怖がらないという胆の強さが印象に残るのである。

「はっ、この熊は、アルタイルグリズリーと申しまして、
アルタイル星系に生息している熊でございます。
旧来の地球の熊に比べて生活環境が良いのか大型化しておりまして、
この熊はその中でも特に大型でございます」

下手に永い説明に成ってしまい、殿下が退屈するのではと思ったが。
目をランランと興味津々に話を強請ってくるのである。
「ほう。そう言う熊が居るのか。
それで、オフレッサーであるから、素手で倒したのか?」

殿下がジョークを出してくる。
「いえ、さしもの臣も素手では無理でございます。
猟銃を使いまして一撃で仕留めました」

「おーそちは、銃の腕も一流なのじゃな」
「お恥ずかしい限りです」
「謙遜せずとも良い」

殿下は、非常ににこやかで質問をぶつけてくる。
「このライオンも凄いの」
「はっ、ヴァガライオンでございます」
「ほう、これがあのヴァガライオンか、これも銃か?」

「これは、ボーガンで倒しました」
「ほー、凄い物じゃ」

「虎もいるの、しかも白虎も居るではないか」
「はっ、オリオンタイガーでございます」
「うむー、オフレッサー見事じゃ。
いずれ私も一緒に狩猟へ連れて行って貰いたいの」

「御意。お許しがございましたら、臣がご案内致します」
「うむ、オフレッサー約束じゃぞ」
「御意」

その姿を見てオフレッサーもついつい。
つもの厳つい顔は何処へやらで、
にこやかな顔に成るのであった。

「武器も凄いの」
「銃に剣でございます」
「これは古式銃じゃな、マスケットかの?」

「よくご存じで、18世紀のマスケット銃でございます」
「こちらは、マウザーGew98ではないか」
「その通りでございます」
「素晴らしいコレクションじゃの」

「ほうほう。これは、アリサカタイプ38ライフルではないのか?」
「殿下素晴らしい、まさしくアリサカタイプ38ライフルでございます」

「うむ、やはりか、写真で見た事があったのじゃ。
しかし本物を触れるとはおもわなかったぞ」
「偶然にも手に入れまして、同じ物が2つ有ります」

頷くテレーゼ、しばらくすると剣の方を見始めた。

「これは、サーベルじゃな」
「これは、バスターソードではないか」
殿下の剣を見る目は真剣そのものである。

「おーこれは、日本刀ではないのか?」
「よくご存じで、東洋の島国に伝わります、侍ソードでございます」
「これはよい物じゃな」

お付きの者があわてる中、刀を抜き刀身を出して波紋や研ぎ具合などを確認する皇女、
少し異様な姿である。
あまりに見続けるため、オフレッサーが先ほどのアリサカライフル共々献上しようと考え始めた。

「皇女殿下」
「おっ、オフレッサー、ついつい見とれてしまった」
「宜しければ、そちらの日本刀とアリサカライフルを殿下に献上いたします」

えっと言う感じで、オフレッサーの顔を見る皇女。
危ない物を皇女に献上しないでくれと見ている侍従達。
皇女もそろそろ覚えるのかという顔の武官達。

それぞれがそれぞれなりの考えをしていたのである。
殿下が満面の笑みを浮かべて。

「オフレッサー、良いのか」
「はっ、日本刀は臣には小さくただ飾って有っただけどございますし、
アリサカライフルは2丁有りますので是非に」

「オフレッサー、こんなに良い物をありがとう」
皇女殿下がお礼を言う事に、オフレッサーも驚きを隠せない。
「勿体のうございます」

「しかし、この日本刀は、手入れが行き届いているのう。
オフレッサーが研いだのか?」
「いえ、シュミット星系に未だに、
古式の製造法で制作している場所があります。
そちらで研いでもらった物です」

考えだす、テレーゼ。
「成るほどの、伝統工芸という訳じゃな」
「はっ、その通りでございます」

テレーゼとオフレッサーは時間が経つのも平気で談義を続けた。
「そうじゃ、先だって士官学校へ視察に行ったのじゃが、
その時に478年誕生年度候補生の格闘訓練を見たが酷い物であった」

「殿下それはどのような状況でしょうか?」
やはり格闘は気になるらしい。
「全然基本が出来ていないのではないかな、
以前見た474年度の格闘とは話に成らないほどの差であった」

「それは、ゆゆしき事ですな」
「フレーゲル男爵が総代なのだが、皆の格闘を見たが皆へっぴり腰であった、
あれでは、叛徒共の格好の餌食に成ってしまうの」

「殿下、我ら装甲擲弾兵が特別コーチをしても良いかと存じますが」
「うむ、父上に相談してみよう。
父上が良いと言ってくれたら、オフレッサー達に頼むとしよう」
「御意」

話している内に12時になり昼餉に向かうために、
食堂へと殿下を案内していく。

「殿下、狭い食堂でございますが、どうぞご勘弁をお願いいたします」
恐縮するオフレッサーだが、十分に広い食堂である。
食堂では、妻のヴァーリアと娘のズザンナが準備を整えていた。

「殿下のお口の合いますか不安でございますが」
ヴァーリアが、恐縮したように話してくる。
「オフレッサーの奥方が作った料理です、大変楽しみにしていました」
にこやかにテレーゼが話しかける。

早速昼餉が始まる。

ロードネルソン風にしん
アボカド、ザリガニ添え

ハンブルク風ジャガイモスープ
ハンブルク風海老スープ
コールラビ・クリームスープ、クルトン添え

グリーンアスパラのサラダ
ソーセージ・サラダ

グリューンコールと塩付豚のあばら肉、コールヴルスト
鮭フィレ・白ワインクリームソース
ラム肉ロースト・いんげんのベーコン巻き・グリルトマト添え
レングフィッシュ、マスタード・デイルソース

腕によりをかけた料理がところ狭しと並んでいる。
テレーゼは、目を輝かせながらお上品に食しているが、
ほめる事も忘れない。

「見事な料理じゃ、素晴らしい、しかも美味じゃ」
「ありがたき幸せ」
「皆も食すのじゃ」

みんな遠慮していたが、是非にというテレーゼの言葉に笑顔を作って食べ始めた。
オフレッサーは大食している。
朝まで食事が喉を通らなかったのだが、
皇女とのお話で胸の閊えも取れて当たり前のように食べているのである。

テレーゼも大変喜んでいる、
娘のズザンナとも仲良く話している。
又未だ幼い息子を見ていたりする。

オフレッサーは今日が良い日であると実感を感じていた。

デザートを食べ終え、昼餉が終わると妻がピアノの演奏を行い殿下がそれを褒め称えた。
妻は高校時代音楽活動をしていたのである。

長いようで短い時間が過ぎ午後3時になり殿下は帰宅の途についた。
その際に家族全員に殿下のお印の付いた、
品物が下賜されオフレッサー以下恭しく受け取ったのである。


■オーディン オフレッサー邸   アルノルト・フォン・オフレッサー

 ふう、殿下の御臨御は光栄な事で有った。
ヴァーリアも確りとしてくれたし、子供達も良い子でいてくれた。
儂が貧乏騎士から士官学校を卒業し早21年、色々あったが今日ほどの事はなかなかあるまえ。

役職がら皇帝陛下のお近くに居る事はあるが、
自宅に殿下が来ていただけるのは、そうざらには居ないからな。
本当にありがたい事だ。

殿下が恐ろしがるかと思ったが、杞憂に済んでよかったわい。
以前来たご婦人が気絶して大変な事になったから怪うんだが返ってお喜びであったからな。
あの胆力はなかなかの物だ、殿下はひとかどのお方の様だな、
我らの忠誠の対象として良きお方だ。

妻や子や使用人にも事細かい気配りは流石王者の感覚だ。
おしむらくは、殿下が皇女という事か、
男子であれば次期皇帝陛下の素質が十分なのだが。
いやいやこのような事を考えるのは不敬だな。

さあて、殿下が陛下にお頼みする。
士官学校生の根性をたたき直す事を力を入れるとしよう、
猛者共を連れて行くかの、久々に暴れられるかもしれんな。


■オーディン ノイエ・サンスーシ テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム
 
 本日オフレッサー邸に行ってきました。
OVAで見ていた通りの家でした。

家族を始めてみましたよ、4人家族で奥さんを見たとき沢庵を思い出しました、
何と眉毛が沢庵眉毛で誰かさんみたいです。
娘さん13歳で可愛くて、お父さんに似ないで本当に良かったねでしたよ。
息子さんは未だ2歳で眠そうでしたが、彼はお父さん似ですね。

けどこの家族、原作で行くと謀反人の家族だからラインハルトに酷い目に遭わされる訳ですよね。
一緒に食事してお話ししましたが、ごく普通の家族でしたよ。
ラインハルトはこういう普通の家族をどれだけ不幸にしたんでしょうか、
益々ラインハルトには負ける訳にはいけないと思いましたよ。

しかし、剥製は凄かったですね迫力満点です。
あれほどとはエリザベートが気絶する訳を納得しましたよ。

しかし日本刀を貰えるとは凄くラッキーですね。
刃渡り50cmほどの脇差しですが、見た感じでは本作りの刀ですね。
しかも波紋が三本杉ですよ、関の孫六系の刀と思われますね。
これは良い物です、長さも現在の身長ならピッタリですからね。

しかも製造している星まで判ったし、
何故かあれだけ探して貰ったのに発見できてないと聞いたけど、
実は未だ私には、危ないからと隠してるんじゃないかと疑惑が沸いてきましたよ。
今度ケスラーを問い詰めてみよう。

三八式まで手にはいるとは驚きですが、レプリカの可能性も有りますね。
槓桿《ボルトハンドル》が下方に曲げられているのに刻印は三八式のまま、
しかも刻印が非常に怪しい漢字と16弁菊花ですからね。

しかしオフレッサーが41歳だとは知らなかったね。
奥さんは29歳で、高校時代にオフレッサーが危ないところを助けてくれて一目惚れしたそうです。
良いとこのお嬢さんだけど16歳の時に押しかけて来たそうです。

オフレッサーとも非常に良い関係を築けたと思いますよ。
父様に頼んで478年度のしごきを頼んでもらおう。
料理も美味しかったし今日は本当に良い一日でした。

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ヴァーリアの名前の元は紬ですが、ドイツ語で判らなかったので。
紬で木綿と出たので、ドイツ語の木綿、バオムヴォレ Baumwolle
から語呂の良さそうなものにしました。

 
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