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ジオン公国転生記

作者:正博
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第20話 マクロスフロンティア編

 その晩、俺の快気祝いが行われた。
 オズマの妹がバイトをしている『娘娘』である。

 ランカ「お兄ちゃんを助けてくれたそうで、ありがとうございます」
 ユーリ「お兄ちゃんって、誰?」
 アルト「馬鹿、オズマ隊長だよ。それで妹さんのランカ・リーちゃん」
 ユーリ「嘘だ、あのひげ親父と兄妹。こんなにかわいいのに」
 ランカ「ありがとうございます。冗談でも嬉しいです」
 ユーリ「冗談!? 違う、違う、本当にまじだって。あのTVでやってる奴に出ても、いい線行けるって」
 
 TVでは、ミス・マクロスの出場者を募集していた。

 ランカ「私もね、本当は出たいんだ。でもお兄ちゃんがダメだって言うの」
 ユーリ「ランカちゃんはお兄ちゃんが決めた道を歩むの、それじゃあ自分の人生じゃないよね。自分の人生は自分で決めなくちゃね。自分の目標は自分で決めて1度の失敗が何、ランカちゃんは若いやりたい事なら何度でもアタックすればいいと俺は思うな」
 ランカ「ユーリさん、私がんばってみます。うん」

 後日、ランカはミス・マクロスへ出場したが、最終選考で惜しくも落選した。
 しかし小さいプロダクションだが、気に入られ歌手としてデビューした。


 補給作業も順調に進んでいる中、遂にバジュラがやって来た。
 新統合軍のVFー171が出撃していくが、練度が低く当てに出来ないとオズマが言っていた。
 ジオンもバリアを張りたいがフロンティア船団と接続している為、出来ないでいた。
 久しぶりにMSの出撃である、だがバジュラの高速攻撃になかなか対応出来ない。
 超合金NZαを混ぜた新しい装甲で、損傷は出ないが撃破も難しかった。
 ただVF-1Sが、唯一撃破しているが武器が弱いのか数が少なかった。
 俺もフルバーストで落としているが4,5匹落とすのが限界であった。
 新統合軍もようやくSMSに救援を求めた。
 マクロスクォーターからVF-25が飛び立って行く。
  
 ユーリ「ラルさん、ここの防衛任せていい」
 ラル「はっ、了解しました」

 俺は自分専用発着場に降り立つと機体から降り言った。

 ユーリ「ブラッディの発進準備をしろ!」

 周囲が凍り付いた。
 整備員達の顔が青ざめている。

 ユーリ「早くしろ。コロニーがやられてもいいのか!!」

 機体が運び出されてきた、ジオン製VF-25つまり俺が死にかけた機体である。
 ブラッディ物騒な名前は、コックピット内と機体先端部に俺の血がこびりつき取れない為交換しょうとしたのを俺が『不要である』と言い、自分の血で汚れているのでそのまま「ブラッディ」と名付けたのである。
 当然機体は前のままでは無い、取れるだけの安全性を取り付けたが、逆にも進化している。
 つまり、攻撃性UPと機動性、前はスーパーパック6.5で死にかけたのに8にしたのである。
 整備士長は止めるように言ったが「皆の危機である」と言って俺は取り合わない。 
 遂に、VF-25改ブラッディの発進準備が出来た。

 ユーリ「お前が俺の血を欲しがるなら、その代わり敵は殲滅せよ。ブラッディ発進」

 血に濡れた機体が戦場へ飛び立った。


 SMSは善戦していたが、敵の数が多いのである。

 アルト「隊長、このままじゃジリ貧だ!」
 オズマ「分かっている。だが耐えるしかない」
 ルカ「隊長、後方から1機来ます」
 オズマ「バジュラか!」
 ルカ「違います。ジオンですがMSの速度じゃない。僕等の3倍の速度で近づいてきます」
 オズマ「!ユーリだ。あの馬鹿死にかけた機体を出してきゃがった。帰れと言ってやれ」
 ユーリ「やーだね」

 もうスカル小隊に追いついたのである。

 オズマ「ユーリ。今度は本当に死ぬぞ!!」
 ユーリ「死ぬのは敵だ。こいつは又俺の血を欲しがるかもしれない。だが血が無くなる前に敵を殲滅する。見てな」
 オズマ「馬鹿止めろ」
 ユーリ「『輝くゼウスの名の下に』行けブラッディ、殲滅せよ」

 ユーリの機体が突然、金色に輝きながら速度が増していく。

 オズマ「何だ?この光は」
 アルト「バジュラを切り裂きながら飛んでやがる・・・・すげー」
 ルカ「あり得ませんよ!!僕等のMAXスピードの7倍なんて」

 それはまるで、光り輝く鳥の様に宇宙を飛び回り、優雅にそして猛々しくバジュラを駆逐していく。
 無数と思われたバジュラが物凄い勢いで数を減らし気付けばいなくなっていた。
 そして、光り輝く鳥も。

 オズマ「探せ!ユーリを死なせるな」
 ルカ「でもユーリ機の信号がありません」
 アルト「そんな筈が無い。きっと故障して漂ってるだけかも」
 ミハエル「はぁー・・・ユーリ、いい加減そこから出ないと撃ち落とすぞ」

 その時

 ユーリ「さすが良い目をお持ちで。出ますから撃たないで」
 オズマ「ミハエル。ユーリは何処だ」
 ミハエル「ルカの真下にいますよ」
 オズマ「何!」
 アルト「えっ」
 ユーリ「一緒に飛んでたのにルカって冷たい。ほーら」

 俺はルカの真下を背面飛行しながら飛んでいたのである

 ルカ「うわあ!もう脅かさないでくださいよ」
 アルト「ユーリてめえ」
 ユーリ「ケホ、ケホ 『バシャッ』」
 オズマ「ユーリ、どうした?」
 ユーリ「ケホ・・・・・ドリンクでむせただけ。それじゃ帰るね」

 ブラッディはジオンへ帰投した。

 オズマ「ミハエル。どうだった?」
 ミハエル「ハッキリとしませんでしたが、最後に血を吐いた様に見えました」
 アルト「血を吐いたって、どうして分かる」
 ミハエル「隊長の指示でな、あいつのコックピットを最大望遠で見ていた。最後にむせたと言う前に何かを吐いてた」
 オズマ「明日、艦長と一緒に総帥に会って来る。あの機体は危険すぎる」

 ユーリ専用発着場でも問題が起きていた。

 整備員「ユーリ様がお戻りになられたぞ」
 ユーリ「ご苦労さん。じゃあ後はよろしく」
 整備員「今回は何も無かったみたいですね」
 整備士長「お前・・・・中を見てみろ」
 整備員「うわああ、又血が整備士長」
 整備士長「誰か! カメラ持って来い。ギレン総帥に会いに行って来る」
 整備員「何しに?」
 整備士長「このままじゃ、ユーリ様のお命に係わる。整備はやっておけ」

 整備士長はコックピットの写真を数枚撮ると総帥府に向った。


 翌日、ジェフリー艦長とオズマ少佐がギレン総帥に面会に訪れた。
 執務室にはすぐ通された。

 ギレン「2人して今日は何の用でしょ」
 オズマ「総帥。茶番は止めましょう。貴方は私達の来た目的を知っておられる筈だ」
 ギレン「この事かな?」

 ギレンは胸のポケットより写真を数枚取り出した。
 それはユーリの機体のコックピットの写真だった、血塗れの。
 
 オズマ「これは酷い。総帥あの機体は危険です。ユーリ様のお命に係わります」 
 ギレン「ユーリは幸せ者だな。色々な人が心配してくれる」
 ジェフリー「総帥。他にも誰か?」
 ギレン「ユーリ付きの整備士長だよ、この写真もその者が。そして今貴殿が言われた事を、寸分たがわず進言していった」
 オズマ「それならあの機体は封印か破壊するべきです。ユーリ様のお命の為にも」
 ユーリ「そんな事はさせないし無駄だよ」

 執務室には俺が入り込んでいた。
 俺は壁にもたれかかり立っているのがやっとだった。

 ギレン「まずは座れ」

 俺は顔色も悪く動きにも精彩が無く、やっとの事でギレン兄の横の椅子に腰かけた。

 ユーリ「ブラッディは妖刀。だから俺の血を代償に、俺に敵対する者を殲滅する」
 オズマ「そんな無理をしなくても、バジュラは撃退する」
 ユーリ「撃退じゃダメなんだ、必ず殲滅しないと」
 ジェフリー「何故殲滅にこだわるのかね?」
 ユーリ「奴らは独自のネットワーク通信で相手の特徴、武器等の情報を他の仲間に伝えその個体が進化する。進化した個体には情報で伝えられた武器等が効かなくなるか効き目が弱くなる。今回どうやら1匹逃がしたみたい。新しい武器の開発が間に合えばいいけど」
 オズマ「でも逃したのは1匹だけだろう。多少強いのが出て来ても」

 オズマの発言に俺は立ち上がって叫んだ。

 ユーリ「奴らの通信はフォールド通信だ! つまり銀河系規模で通信が出来る。だから進化するのは1つの群れじゃない銀河中のバジュラが進化するんだ・・・・グハァ」

 俺は魂から叫ぶように言った直後、大量に吐血しクタリと倒れ意識を失った。
 ギレンはデスク上の端末で救護班を大至急呼ぶ様に言った。
 ギレンの手は固く握りり締められていたが微かに震えていた。

 その日の話は俺が倒れた事により終わりとなった。

 オズマ「ユーリの奴、やっぱり無茶してやがった」
 ジェフリー「だが彼は我々にとても重要な情報を提供してくれた」
 オズマ「ええ、我々も何か対策を取らないと」
 ジェフリー「ルカ君の家、LAIと協議してみよう」

 2人はそのままクオーターへ帰って行った。


 3日後、バジュラ対策協議が行われた。
 新統合軍技術者、LAI、SMS、ジオニック社とキシリア、ガイアが参加した。
 話し合いは最初からダメしか出ない不毛なものとなった。
 時間だけが無意味に進み2時間後1度休憩となった。

 ガイア「こんな時ユーリ様がいてくれたら」
 キシリア「言うな。それは私達全員が思っている事だ。今あ奴の体はボロボロで動かすと命に係わると言うそれでも抜け出そうとしたらしく、今サスロが見張っておる」
 ガイア「ペンダントでも治らないんで」
 キシリア「試したが治らん」

 そこへ連絡員が駆け寄って来てキシリアに耳打ちをした。
 キシリアの顔が青ざめていた。

 キシリア「あの馬鹿者が!」
 ガイア「キシリア様どうなさたんで?」
 キシリア「あの馬鹿、ユーリが病院を抜け出したそうだ」

 キシリアは護衛、使用人全てを集めた。

 キシリア「病院からユーリが抜け出したと連絡が来た。全員でユーリを探し出し病院に連れ戻せ」
 ユーリ「探さなくていいよ。もう来てるからね」

 俺は病院服のままで壁にもたれながらふらふらとしていた。

 キシリア「何をしに来たユーリ。お前は呼ばれいない病院へ帰りなさい。誰か連れて行け」

 俺は歯を食いしばりながら言った。

 ユーリ「キシリア姉みんなの危機なんだ。病院には帰らない。今にもバジュラが攻めて来るかもって時に寝ていられない。ここで対策案が出せなければ、俺は又飛ぶよ。みんなを守る為に命尽き様とも」

 『パーン』
 キシリア姉が俺のほほを叩いた。
 俺はよろめき倒れそうになったが、キシリア姉が俺の体を優しく抱き留めてくれた。
 キシリア姉が涙を流しながら言った。

 キシリア「馬鹿者、馬鹿者。誰がお前を死なせるものか。お前の前に私が乗って出撃してやる」
 ユーリ「それは無理かな。あいつは俺以外乗せないよ、イレギュラーだからかな。まあいいじゃない俺がいなくなっても原作通りになるだけだし」

 その言葉を聞いたキシリア姉は、烈火の如く怒り俺を叩いた。
 『パーン・パーン・パーン・パーン・パーン』
 そして涙を流しながら俺に言った。
 
 キシリア「イレギュラーとは誰の事です。ザビ家にイレギュラーな者はいません、6人兄弟です。死んでも良い、そんなに死にたければ私が撃ち殺して私も死にましょう。末弟を失うくらいなら生きていても仕方ないですからね」
 ユーリ「キシリア姉ごめん死ぬなんて金輪際言わない。でもお願いだこの会議だけには参加させて」

 キシリア姉は長い間考えて俺に答えた。

 キシリア「分かりました認めましょう。ただし途中で倒れた場合文句を言わず病院に戻る事、これは約束ですよ」
 ユーリ「キシリア姉ありがとう」
 キシリア「それと戻ったら兄全員に謝る事。特にサスロには」
 ユーリ「何発殴られるかな」
 キシリア「ふふふ、知りませんよ。貴方の撒いた種です」

 キシリア姉はギレン兄に会議へ参加させると連絡し、捜索隊の引き上げを頼んだ。
 ギレン兄は不思議と何も言わずに了承した。
 まるで今回の結末を予測してた様に。

 
 

 
後書き
『輝くゼウスの名の下に』これはリニューアル版マジンガーZで使われたセリフです
 
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